家族(親、兄弟、夫、妻)がブラックリストだとクレジットカード審査に通らない?
自分の家族が債務整理をしたことがあると知るとびっくりしますし、自分の将来やクレジットカード審査にも影響するのでは?と思えてきます。
口コミなどでも「親が自己破産してるとクレジットカードを作れない」などの噂を目にしたことがあるのではないでしょうか。
でも、これって本当なのでしょうか?
今回は家族(親、兄弟、夫、妻)が債務整理した場合や、ブラックリスト入りしている際のクレジットカード審査についてわかりやすく解説しています。
気になる人はチェックしてみてくださいね。
家族がブラックリストだとクレジットカード審査はどうなる?
実際に家族にブラックリストしている人がいると、自分のクレジットカード審査も不安になりますよね。
今現在不安を抱えている人もいると思うので先に答えから言うと、家族(親・兄弟・夫・妻)がブラックリスト入りしていても、基本的には本人のクレジットカード審査が不利になることはありません。ただし注意点はあります。
クレジットカード審査と個人情報の扱いの関係
家族がブラックリスト入りしていることが本人のクレジットカード審査に影響するとしたら、クレジットカード会社が申込者の家族がブラックである事実を知る必要がありますよね。
クレジットカードやローンに詳しい人なら、私たちのクレジットカード利用歴やローンの返済歴などは指定信用情報機関に記録されているということをご存知だと思います。
クレジットカード会社が家族のブラック情報を知るとしたら、信用情報機関から情報を得ることになるのですが、クレジットカード会社の人が申込者以外の情報まで閲覧することはできません。
正確に言うと、やろうと思えばできるのですが、これをやってしまうと「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」に反することになるんです。
例えば個人情報保護法に以下のような文言があります。
・第15条1
個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。・第16条1
個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
私たちはクレジットカードなどに申し込みをする際に自分自身の情報を取り扱われることに同意を求められ、承諾しているはずです。(承諾しないと先に進めないようになっています)
しかし、この承諾には家族の個人情報を扱うことは含まれていないんです。
家族の信用情報は類似情報として表示される?
信用情報の参照機能として、「申込者の情報を表示したら家族の情報も類似情報として表示される」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
この点も安心してください。表示されるのは同居の家族名くらいで、その中身までがズラズラっと表示されることはまずありません。
ですので、クレジットカード会社が信用情報機関を通して申込者の家族がブラック入りしていることを知る方法は皆無と言えるんです。
信用情報の開示記録は残るので、もしクレジットカード会社が本人に無断で家族の情報まで閲覧したことがわかればそれこそ大問題になってしまいます。
信用情報機関からバレるかも・・・という不安はいますぐ捨てて大丈夫です!
家族のブラック情報が審査に影響することはないの?
家族がブラックであるということが本人のクレジットカード審査に影響することは基本的にはないのですが、残念ながら影響が考えられるケースもいくつかあります。
ブラック入りしたクレジットカード会社に申し込むと不利になる
例えば、親がブラックリスト入りした理由がイオンカードの支払いを長期間延滞したことだったとします。
この場合、イオンカードという会社には半永久的に親のネガティブな情報が「社内ブラック」として残ることになります。
同居している子供がイオンカードに申し込みをしてしまうと、社内に記録されている住所や固定電話などの類似情報から家族の延滞歴が分かってしまいます。
信用情報機関に記録されている家族の情報を無断で閲覧することは許されていませんが、社内の記録までは制限がないので、家族が社内ブラックであることから審査落ちとなるケースは考えられます。
ただ、この状態には簡単な解決策があります。
社内ブラック情報を閲覧できるのは、あくまでもその社内の人だけなので、別の会社の人が知ることはできません。
イオンカードでブラック入りしたのであれば楽天カードに申し込むなど、別のクレジットカード会社を利用すれば、家族がブラックであるために審査落ちするケースを回避できます。
未成年・学生は親がブラックだと審査落ちする確率が高い
クレジットカードは18歳以上(高校生を除く)から作ることができるのですが、18歳・19歳の人または学生で、親がブラックリストだと審査に通らない可能性が非常に高いです。
なぜかというと、未成年のクレジットカード審査には親権者の同意が必要で、本人ではなく親の信用情報を元に審査が行われるから。
親の信用情報を審査されることになるので、ブラック入りしていることがクレジットカード会社にわかってしまうんです。
ブラックリスト入りしている人がクレジットカード審査に通ることはまずないので、残念ですが「親がブラック入りしている未成年・学生」は、
・成人して自分が収入を得られるようになってから
または
・親のブラックリストが解消されてから
じゃないと、審査通過はかなり難しいでしょう。
配偶者がブラックリストしている専業主婦も審査に通りにくい
「専業主婦がクレジットカード申し込みをするときに、配偶者がブラック入りしている」ケースも審査に通過しにくくなっています。
本人に収入がない専業主婦の場合は、クレジットカードの支払いも配偶者の収入から行うのが一般的なので、審査では配偶者の年収や信用状態も確認されることになります。
そのため、専業主婦本人の信用状態は問題なくても配偶者がブラックリストだと審査に落ちてしまうことがあります。
解決策は専業主婦が収入を得られるようになってから申し込みをするか、配偶者のブラック解消を待って申し込みをするなどの方法があります。
家族のクレジットカード利用状況を途上与信された場合
クレジットカード会社は申込者の家族の信用情報を勝手に見ることはできませんが、家族本人がクレジットカードを利用している場合、「途上与信」という方法で利用状況を確認することはできます。
途上与信は発行しているクレジットカードをきちんとした使い方をしているかなどを調べることで管理の一環となります。
例えばAさんがクレジットカードに申し込みをして、Aさんのお父さんであるBさんがブラックリスト入りしているとします。
クレジットカード会社はAさんの家族だからという理由でBさんの信用情報を扱ってはいけませんが、Aさんが申し込みをしたクレジットカード会社のカードをBさんも持っていれば「Bさんの途上与信」という形でチェックすることはできるんです。
これによりBさんがブラックリストであることがわかり、審査結果に影響してしまうこともあります。
ここまでは家族がすでにブラックリスト入りしている場合のクレジットカード審査の影響を見てきました。
ここからは「家族の債務整理」とブラックリストについて解説していきます。
債務整理とブラックリスト。親や兄弟・夫(妻)が債務整理すると不利になる?
債務整理は債務(返済)を軽減するための手続きになりますが、具体的には4つの方法があります。ここでは簡単に特徴だけ説明しますね。
任意整理
クレジットカード会社などの債権者と話し合いの場を設け、今後の返済についての交渉を行う方法です。
裁判所を通さずに行いますが、法律に詳しい借入先の担当者を相手に個人で交渉を行うのは困難なため、弁護士や司法書士を代理人とすることもあります。
特定調停
簡易裁判所による調停手続きにより、クレジットカード会社などの債権者と返済方法を決める手続きです。
任意整理は裁判所が関与しないため私的な方法となりますが、特定調停は簡易裁判所が仲裁役となるので、公的な手続きになるという違いがあります。
個人再生(民事再生)
個人再生は裁判所に申し立てをして借金の返済が困難であることを認めてもらい、減額した上で分割返済するための手続きです。
自己破産
自己破産は裁判所に申し立てをして、財産がなく支払いができないことから借金の返済額をゼロにしてもらう方法です。
一定額以上の預貯金、住居や車などの財産と言えるものは手放すことになりますが、債権者への返済は文字通り0円になります。(税金など非免責となる例外もあります)
債務整理をするとブラックリストに載るの?
債務整理で返済額が減ると、暮らしが楽になったりこれからの生活の目処が立つなどの大きなメリットがあります。
しかし債権者からすると正当な方法で貸したお金やクレジットカードの支払い分が返ってこなくなる「貸し倒れ」という状態になるわけです。
売り上げの減少や会社の倒産にもつながるので、クレジットカード会社は非常に貸し倒れや踏み倒しを嫌います。
債務整理歴がある人に安易にお金を貸したりクレジットカードを発行することはできないので、債務整理の記録は信用情報機関が「事故情報」として保管して、クレジットカード会社や消費者金融などの加盟店から確認できるようになっています。
事故情報はブラックリストと同等なので、「債務整理をするとブラックリスト入りする」ということになりますね。
債務整理の情報がブラックリストに載る期間
日本には以下の3社の信用情報機関があり、それぞれの基準で信用情報を保管しています。
株式会社シー・アイ・シー(CIC)
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
債務整理の記録は「最長5年間」、ただし、自己破産に関してはKSCには「最長10年」記録されると考えておきましょう。
ちなみに、自己破産すると「官報」という国が発行する機関紙に氏名と住所が記録されるので、探そうと思えば参照することができます。
会社の人やご近所さんがわざわざ官報を閲覧することはないと思いますが、悪意のある詐欺グループなどは官報を使って自己破産者の情報を得ることもあります。
親や兄弟・夫(妻)の債務整理とクレジットカード審査
家族に債務整理をした人がいる場合のクレジットカード審査がどうなるのかというと、それぞれの続柄によって影響度が変わることになります。
ここでは現在も事故情報が信用情報機関に載っているものとして影響度を解説します。
親が債務整理した場合のクレジットカード審査
親が債務整理をしても子供が自分の名義で申し込むクレジットカード審査に影響することは基本的にありません。
ただし最初の方で説明した通り、以下の場合は影響することがあります。
・申込者が未成年または学生
兄弟が債務整理した場合のクレジットカード審査
兄弟の信用情報がクレジットカード審査に影響することはまずないので、兄弟が債務整理をしたことで審査落ちすることはありません。
これは逆に言うと、良い影響もないということになります。
例えば兄が国家公務員で弟が無職ニートだとします。弟がクレジットカード審査に申し込みをしても、兄の信用情報が良いからといって弟に安定収入がなければ審査に通過することはないということになります。
夫または妻が債務整理した場合のクレジットカード審査
この場合はいくつかのケースに分かれます。
夫が債務整理をして専業主婦がクレジットカード審査を受ける場合
夫が債務整理をしてブラックリスト入りしている場合に、専業主婦の妻がクレジットカード審査に通ることは厳しいでしょう。
専業主婦のクレジットカード審査では配偶者の信用情報も重要になるので、夫がブラック入りしていると審査も厳しくなるんです。
妻が債務整理をして夫がクレジットカード審査を受ける場合
債務整理歴がある妻が専業主婦でも働く主婦だとしても、夫自身の信用情報に問題がなければクレジットカード審査に影響はありません。
夫が債務整理をして働く妻がクレジットカード審査を受ける場合
この場合も問題がないような感じがしますが、影響してしまうこともあるんです。
クレジットカード会社はリスクを回避するために少しでも疑わしい人にはカード発行をしません。
そのため、「夫がブラック状態でクレジットカードを作れないから妻名義で発行しようとしているのでは?」と思われることがあるんです。
一般的には家計の主力となるのは夫と考えられているので、夫に債務整理歴があると審査も慎重になってしまうのでしょうね・・・。
クレジットカード審査は本人次第!(まとめ)
家族の債務整理情報が間接的に審査に影響してくることはありますが、「家族がブラックだから自分のクレジットカード審査に通らない!」と自暴自棄になるのは間違っています。
なぜなら審査において最も重要なのは自分自身の属性と信用情報だから。
もし審査に通らなかった経験があるとしたら、かなり多くの場合「自分の属性と信用情報」に問題があるはずです。
人のせいにしてしまうと本当の理由がわからなくなるので、まずは自分のことを見直すことから始めてみてください。