過払い金返還請求がクレジットカードの審査に影響するパターンは?借金が残るとアウト!
過払い金返還請求は、払いすぎた利息を戻してもらえる制度ですが、クレジットカードにも過払い金はあるのでしょうか?
またそもそもなぜ、「利息を払いすぎてしまった」なんていう事態になっているのでしょう?
この記事では、過去のどのようなクレジットカードの利用方法が過払い金に該当するのか?その解説や、過払い金返還請求がクレジットカード審査に影響を与えるパターンと影響を与えないパターン、過払い金請求の事実が信用情報機関に掲載されないようにする(ブラックリストにならないようにする)方法などを紹介します。
過払い金請求には時効がありますので、少しでも気になることがあるなら、是非本記事で確認してみてくださいね。
過払い金とは?
まずは過払い金とは何か?というところから確認しておきましょう。
過払い金は「払いすぎた利息」になります。
なぜ利息を払いすぎるなんてことになってしまうのかというと、それは過去に存在した金利を定める2つの法律の上限金利に乖離があったためなんです。
「利息制限法」と「出資法」では上限金利が異なる
利息制限法では、貸付を行う金額によって以下のように上限金利を定めています。
・元金が10〜100万円未満:年18%まで
・元金が100万円以上は:15%まで
一方、出資法では29.2%を上限金利としていました。(改正前)
この利息制限法による上限金利と出資法による金利の差が「グレーゾーン金利」と呼ばれるものになります。
利息制限法には違反するけど出資法には違反しない利率ということで、白でも黒でもないからグレーゾーンというわけですね。
グレーゾーン金利であっても一定の要件を満たす場合は貸付を行なっても良いとされていたので、貸金業者は出資法の29.2%を採用していたのです。
ちなみに出資法は刑事罰の対象になるため、29.2%を超える金利を取ることは貸金業者も行なっていませんでした。
規定通りに返済しないと延滞扱いになっていた
消費者金融などからお金を借りると、「毎月○円の返済をお願いします」と約定返済額が定められます。
この仕組みは今も昔も変わっていないのですが、以前は金利が29.2%になることもあったため、現在よりも高い金利で利息を支払っていたことになります。
弁護士をはじめとした有識者の中には、この金利はおかしいと声を上げていた人も達もいます。そういった方々の尽力によって貸金業法が改正されたと言っても良いでしょう。
しかし、一般の利用者はたとえグレーゾーンであっても設定された通りの金額を支払わないと延滞扱いになってしまいますし、お金に困っている一般人にとっては言われるがままに返済しないといけないという状況だったんですね。
現在はグレーゾーン金利が撤廃されている
2006年に最高裁判所によってグレーゾーン金利は認められないという判決が出ました。
これによって29.2%で融資していた貸金業者は15%〜20%に金利を引き直して、オーバーしていた利息は返還しないといけないということになったんです。
「過払い金とは何か?」というところに話を戻すと、出資法と利息制限法の上限金利の差によって生まれた利息、つまり払いすぎた利息が過払い金となり、金利引きなおしによって払いすぎていた利息を返してもらう手続きを「過払い金請求」と言います。
現在は出資法の上限金利も20%に引き下げられているので、利息制限法との差分によるグレーゾーン金利はなくなりました。
今現在上限金利が20%を超える貸金業者は皆無と言って良いでしょう。
逆に年20%以上の金利で貸付を行なっている業者は違法業者ということになるので、近づかないようにしてくださいね。
過払い金請求ができないケース
過払い金がある可能性がある人は、「2010年にグレーゾーン金利が撤廃される前に29.2%で貸付を行なっていた業者を利用していた人」になります。
当時お金を借りたことがある人であれば過払い金が発生している可能性は非常に高いのですが、全員に過払い金が返ってくるわけではありません。
過払い金が発生する条件に当てはまっているのに、過払い金請求ができない例をご紹介します。
過払い金請求の時効を迎えている場合
テレビコマーシャルでもよく見かけるのでご存知の方も多いと思いますが、過払い金請求には時効があります。
最終取引を行った日から10年をすぎてしまうと請求の権利がなくなってしまうので、完済している人は確認が必要です。
現在も同じ貸金業者からお金を借りている場合は時効を迎えていないことになりますが、判断が難しい場合もあります。
例えばクレジットカードのキャッシング枠で過払い金請求をしたいケースです。
完済した後も年会費を払い続けていたという場合は、その期間も取引があったと解釈することもできます。
しかし、借り入れに関する取引は終わっているという見方をすれば過払い金返還請求の時効を迎えていると考えることもできるわけです。
いつをもって「取引終了」とするのか曖昧なケースは他にもたくさんあります。
心当たりがある場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
過払い金請求したい貸金業者が倒産している場合
貸金業者にも無限の財力があるわけではないですし、多くの人が過払い金請求をしたことによって経営不振に陥り、倒産してしまった業者もあります。
非常に有名な例としては武富士が挙げられるでしょう。あれだけの大手でも倒産したくらいなので、過払い金請求を検討しているなら専門家への相談だけでも早急に行うべきでしょう。
もし、会社が破産の手続きをはじめたとすると、破産管財人が会社の財産を管理することになります。
破産管財人が管理する会社の財産は、過払い金返還請求者を含めすべての債権者に債権額にあわせて平等に分配されます。そのため、取り戻せる過払い金の金額は非常に低くなります。
金融会社が吸収合併している場合は?
私たち利用者には判断が難しいのですが、倒産したように思えても実際は社名の変更や吸収合併というケースもあります。
会社が吸収合併される場合、吸収合併される会社がもっている債権は買収した会社に渡されることになり、「債権譲渡」とよばれています。
会社が吸収合併され、債権譲渡が行われると、吸収合併後の会社に過払い金返還請求をできる場合とできない場合があります。
こういった、過払い金請求先がわからなくなってしまったようなケースも専門家に相談することをおすすめします。
クレジットカードの過払い金請求
ここからは、クレジットカードの過払い金請求について見ていきましょう。
クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠のふたつがあり、さらに支払い方法には一括払い、分割払い、リボ払いなどがあります。
いずれも過払い金はあるのでしょうか?
クレジットカードショッピング枠は過払い金の対象になる?
クレジットカードのショッピング枠は、お買い物や飲食時、スマホ代金の支払い、公共料金の支払いなど、「代金の支払い」に利用できる枠になります。
ショッピング枠の利用は、お金を借りたのではなく「クレジットカード会社に一時的に立て替えてもらった」という扱いになるため、借金ではなく立替金になります。
手数料を払ってショッピング枠の支払いを分割払い・リボ払いで行なっていたとしても、払っていたのはあくまでも「手数料」になり、法律的にも「利息」にはなりません。
そのためクレジットカードのショッピング枠では過払い金は生まれず過払い金請求の対象外になります。
クレジットカードキャッシング枠は過払い金の対象になる?
クレジットカードのキャッシング枠を利用したことがある人は過払い金が発生している可能性があります。
クレジットカードキャッシング枠は、現金を借りることができる機能なので、キャッシング枠を利用するということは、クレジットカード会社からお金を借りることになります。
グレーゾーン金利で返済をしていれば、それは過払い金請求の対象にできます。
クレジットカードリボ払いの過払い金は対象になる?
リボ払いは、毎月の支払い額を一定にして返済していく支払い方法です。
分割払いとの違いは、リボ払いが「支払い額」を固定することに対して、分割払いは「支払い回数」を固定するというところ。
分割払いは回数を決めるので、少ない回数で支払いをするなら月々の返済額は大きくなります。対してリボ払いは支払い額が一定になるので、お買い物をしすぎてしまったとしても毎月の支払い額は変わりません。
リボ払いの是非はここでは省略しますが、ショッピング枠をリボ払いで支払っていた場合は、過払い金の対象にはなりません。
その理由は上の項目で説明したとおり、ショッピング枠の手数料はあくまでも手数料で利息にはならないからです。
キャッシング枠をリボ払いで返済していて過払い金がある場合は、過払い金請求ができます。キャッシング枠は借金と同じで「元金+利息」を返済することになるため、過払い金の対象になるからです。
グレーゾーン金利を設定していたクレジットカード会社一覧
以下は2010年の貸金業改正前にグレーゾーン金利を適用していたクレジットカード会社です。
・ライフカード
・セゾンカード(クレディセゾン)
・オリコ(オリコカード、アメニティ、アプティなど)
・セディナ(旧OMC、旧セントラルファイナンス、旧クオーク)
・イオンカード
・ジャックス
・アプラス
・三菱UFJニコス(旧日本信販)
・ニッセンマジカルカード
・JCBカード
・新生カード(GCカードやGEカード)
・ポケットカード
クレジットカード会社の中には2007年以前に金利を引き下げた会社もあります。たとえば、ライフカードは2006年11月に金利を利息制限法に合わせて引き下げています。
2010年に新しい法律が施行されるまでのどのタイミングで金利が引き下げられているかによって、過払い金請求が可能かどうかが変わってくることになります。
過払い金請求でブラックリストに載ることがあるって本当?
過払い金請求をするとブラックリスト入りするって聞いたことありませんか?
こういう噂があると、過払い金があっても請求することが本当に自分にとってプラスになるのかわからなくなりますよね。
余計な噂に惑わされないように、過払い金請求とブラックリストについて理解しておきましょう。
過払い金請求で不利益を被るのはおかしい!
そもそも過払い金は、グレーゾーン金利で設定された利息を言われるがままに払わされた結果生まれたものです。
その当時「グレーゾーン金利はおかしいから私は利息制限法で定められた金利でしか払いません!」と言ったとしても、延滞扱いになっていたことでしょう。
払いすぎた利息を戻してもらうための手続きが過払い金請求なので、過払い金がある人が請求することは当然の権利です。過払い金返還請求をしたからといって、不利益を被るようなことがあるのはおかしなことだといえます。
実際、金融庁は2010年に過払い金返還請求の履歴を信用情報機関に登録することを禁止することを発表しました。
そのため、現在では過払い金返還請求をしても信用情報機関には原則として登録されないようになっています。
ただし、過払い金請求が信用情報機関に載ってしまう(ブラックリスト入りしてしまう)ケースも存在します。
払いすぎた利息を返してもらうために行うのが過払い金請求ですが、過払い金請求が結果的に債務整理になってしまうことがあるんです。そうなってしまうとブラックリストに載ってしまうことになります。
なぜそうなってしまうのかを確認する前に、債務整理について知っておきましょう。
債務整理はブラックリストの対象になる
債務整理は抱えている借金を減らす、またはゼロにするための手続きで、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類あります。
債務整理に成功すると借金の返済が非常に楽になり、前向きに早期完済を目指せたり生活を立て直すことができるという大きなメリットがあるのですが、「信用情報機関に一定期間記録が残る」というリスクもあります。
債務整理を行う人というのは、貸金業者やクレジットカード会社からすると「貸したお金を返済しなかった人、クレジットカード利用代金を踏み倒した人」ということになります。
本来であれば元金と利息・手数料はきちんと支払わないといけないのに、それを行わなかったということで、要注意人物ということになるんです。
そのため、債務整理を行うと最長5年(自己破産の場合は最長10年)の間、信用情報機関に記録が残ることになります。いわゆるブラックリスト入りと言われている状態ですね。
この記録がある間は、新しいクレジットカードを作ることもできませんし、貸金業者からお金を借りることもできません。
決して「ブラックの人にクレジットカードを発行してはいけない」という法律があるわけではないのですが、要注意人物にクレジットカードを発行してしまうと、また貸し倒れを起こすのでは?と判断されてしまい審査に通ることができないんです。
過払い金請求でブラックリスト入りするたったひとつのケース
過払い金請求がブラックリスト入りするケースはひとつしかありません。
そのケースとは「借金が残っている状態で過払い金請求を行ったが、借金が残ってしまった」場合です。
過払い金請求によって払いすぎたお金は戻ってきたけど、それを相殺しても借金が残ってしまうと、手続き上は過払い金請求ではなく借金の減額を行なった債務整理として扱われることになります。
債務整理はブラックリストの対象になってしまうので、このケースだけは過払い金請求をした結果「債務整理を行なった人」として信用情報機関に記録が残ってしまうのです。
過払い金請求によるブラックリストを回避する方法はある?
過払い金請求がブラックリストの対象になるのは、過払い金請求をしても借金が残ってしまった場合だけなので、この状況を避けることができればブラックリスト入りすることはありません。
1.完済してから過払い金請求する
ブラックリスト入りしないためのもっとも確実な方法はこちらです。完済してしまえば過払い金請求後に借金が残ることはありません。
なお、過払い金請求の時効は最後の取引から10年間なので、基本的に返済を続けている間は時効を迎えるこもありません。
2.過払い金が戻ってくることを確認してから手続きに入る
弁護士さんなどに相談すると、きちんと過払金の計算をしてもらうことができます。
過払い金請求をすることで借金が完済できる(過払い金が戻ってくる)ことを確認できれば、ブラックリスト入りすることはありません。
万が一、過払い金請求をしても借金が残る場合は、それでも手続きを行うかどうかを必ず事前に確認されますのでこの時点で過払い金請求を取りやめることも可能です。
なお過払い金請求をすることで借金が大きく減額される場合などは、ブラックリスト入りしたとしてもまずは借入金を減らすことを優先した方が良いでしょう。
自分ではなかなか判断が難しいと思いますので、やはり弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
過払い金返還請求するとクレジットカード審査に影響が出る?
クレジットカードキャッシング枠の利用分で過払い金請求に成功して、お金が戻ってきたとします。
しかし、その後のクレジットカード審査やクレジットカードの利用そのものに影響することはないのでしょうか?
ここからは、クレジットカード過払い金に関して、手続きを開始する前に絶対に知っておきたいことと、今後のクレジットカード審査への影響について解説します。
同じ会社のクレジットカードが2枚以上ある場合
同じクレジットカード会社が発行するカードを所有していて過払い金請求をする場合、すべてのカードが対象になります。
1枚だけ過払い金請求を起こして、もう1枚はそのまま使い続けるということは基本的にできません。
原則として、同じ会社のクレジットカードが複数あるなら、その全てに対して過払い金請求をするものとなります。
過払い金請求をするとそのクレジットカードは解約することになる
クレジットカード会社にとって、過払い金請求をする人というのは「やっかいな客」ということになります。
わかりやすく言うと貸金業者やクレジットカード会社は、高い利益を出すためにグレーゾーン金利で貸付を行なっていたわけで、後から「返して!」と言われることは望ましいことではないんです。
そのため過払い金請求を行うと、基本的にはそのクレジットカードの利用はできなくなります。
また、過払い金が戻ってきても解約することになるので、今度利用できなくなります。
ブラックリスト入りすることを避けるためにもショッピング枠の支払いは終わらせておいて、債務を残さないようにしましょう。
前の項目でもご紹介したとおり、同じカード会社の複数のクレジットカードがある場合は、すべてのカードが対象となります。
もれなくショッピング枠の利用残高が無いようにしておくことをおすすめします。
ETCカード、家族カードなどの付帯カードも確認してくださいね。
細かい話ですが、ポイントを貯めている場合は過払い金請求前に使ってしまうか、移行するなどの手続きをとっておきましょう。
公共料金やスマホ利用料金の支払いなどに使っているメインカードの過払い金請求を行う場合は、他の決済方法に変える準備も進めておくようにしましょう。
過払い金請求の記録はクレジットカード会社社内リストに残る可能性はある
過払い金が戻ってきてクレジットカード会社との関係が終了しても、そのクレジットカード会社の社内リストには、過払い金請求をした客という情報が残ってしまいます。
新たなカードを発行してもらうことはほぼ不可能でしょう。
金融庁は、信用情報機関に過払い金請求の履歴を残すことは禁止していますが、業者が自社の情報として保有しておくことまでは禁止していませんので、半永久的に記録が残っている可能性も決して低くはありません。
この社内リストから考えられる可能性としては、以下のようなものが挙げられます。
・クレジットカード会社が保証会社を務めている貸金業社、銀行カードローン審査に通らない
・このクレジットカード会社が他の会社と合併した場合に社内リストを共有するケースも考えられる
など
ただ、これは社内情報なので、全く関係ない他のクレジットカード会社に漏れることはありません。
A社に過払い金請求をしたからといって、無関係なB社のクレジットカード審査に落ちるということはありませんので、その点は安心してくださいね。
まとめ:過払い金請求はクレジットカード審査に影響する?しない?
過払い金請求がクレジットカード審査に影響するケース
過払い金請求をしても借金が残ってしまった場合
このケースでは過払い金請求が債務整理扱いとなり、信用情報機関に記録が残ってしまうのでブラックリスト入りすることになります。少なくとも5年間はクレジットカード審査に通ることは難しいでしょう。
過払い金請求をしたクレジットカード会社の審査には通らない
過払い金請求をした客はクレジットカード会社にとっては「招かれざる客」になり、その情報は社内リストに半永久的に残るでしょう。
印象は最悪なので、クレジットカード会社が再度契約をするとは考えにくいです。クレジットカード会社にとってよほどのメリットがない限り、審査通過は難しいと思っておきましょう。
また、社内リストはグループ会社も参照できる場合があります。同じクレジットカード会社の別ブランドカード審査にも影響する可能性が考えられます。
過払い金請求のその他の注意点は?
・過払い金請求をしても借金が残る場合はある
・過払い金請求をしても借金が残るとブラックリスト入りする(それでも手続きをとった方が良いケースもあります!)
・クレジットカードショッピング枠には過払い金は存在しない
・ショッピング枠の返済は済ませておいたほうが良い
・同じクレジットカード会社で複数のカードがある場合、原則すべてのカードが過払い金請求の対象になる
過払い金について少しでも気になる点があればまずは相談!
情報サイトでもよく「専門家に相談することをおすすめします」と記載されていますが、これは本当のことですよ。
個人で過払い金請求をすることもできなくはないですが、相手となる会社は専門家をたててきて、なるべく少ない金額の返済で済むように手はずを整えてきます。
一般の利用者が有利に交渉できるとはとても思えません。
また、過払い金請求には時効もあります。悩んでいる間に時効を迎えてしまうのはとてももったいないです。
弁護士や司法書士に依頼すると、もちろん費用はかかりますが、私たちができない戦いを代理でやってもらえるわけです。しかもできるだけこちら有利になるように!
相談だけなら無料でできるところもありますので、お近くの窓口を探してみてください。
全く心当たりがない場合は「法テラス」や、お住いの地域の弁護士会や司法書士会を頼ってみるという方法もあります。
過払い金請求は正当な権利です。可能性がほんの少しでもあるなら是非検討してみてください。