クレジットカードの利用状況は住宅ローン審査に影響がある?

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家を購入する際の住宅ローン審査に、「クレジットカードの利用状況」が大きく影響してしまうことがあります。

ここでは、便利なクレジットカードが、なぜ住宅ローン審査に影響を及ぼしてしまうのか、解説していきます。


もくじ

クレジットカードが住宅ローン審査に影響する理由

クレジットカードを利用する場合は、「カードで商品を買う」と考えがちですが、実際には「カード会社に一時的にお金を借りている」という状態になります。

他のローンと同じ様に、クレジットカードの利用も「借入」の部類に入るため、住宅ローンの審査にクレジットカードの利用状況も影響してくることがあるのです。

しかし、クレジットカードの所有・利用そのものが住宅ローン審査に悪影響となることはなく、むしろクレジットカードの利用と確実な返済は、返済能力があることの証明となるため、住宅ローン審査の良い判断材料となってくれるでしょう。

しかし、次のようなクレジットカード利用状況の場合、住宅ローン審査通過が難しくなったり、借入可能額が少なくなってしまうことがあるので注意が必要です。

・クレジットカードの返済で延滞履歴がある

・クレジットカードにキャッシング枠が設定されている(キャッシングを利用している)

・クレジットカードを複数所有している

・クレジットカードでリボ払いや分割払いをしている

クレジットカードの返済で延滞履歴がある

クレジットカードなどで、長期的な延滞履歴があると、住宅ローン審査通過はほぼ難しいと考えていいでしょう。

金融機関では、確実に返してくれる人にお金を貸したいと考えているからで、特に住宅ローンは大きな金額を貸すわけですからなおさらです。

過去に延滞をしたことがあるということは、今後も延滞する危険性があると考えられるため、「延滞」の事実を知った時点で住宅ローンの審査はストップしてしまう可能性が高いのです。

クレジットカードで延滞したことを隠したり、嘘をつけばいいのでは?と思うかもしれませんが、隠すことはできません。

住宅ローンの申込をすると、信用できる方なのか、返済能力のある方なのか等を確認するため、申込者に対する審査が行われます。

<申込者に対する審査>
・年齢
・年収
・職業
・雇用形態
・勤続年数
・健康状態
・家族構成
・他社からの借入状況
など

これらのうちどの項目も重要ではありますが、特に「他社からの借入状況」については慎重に審査されることになり、その借入状況は、「個人信用情報の開示」によって知ることができます。

個人信用情報とは、個人のローンやクレジットについての情報(契約・申し込み・返済・延滞など)のことで、金融機関では、住宅ローンをはじめ、車のローン、カードローン、クレジットカードなど、借り入れの申し込みを受けた際に、必ず申込者の個人信用情報を開示し確認しているのです。

⇒指定信用情報機関(JICC・CIC・全銀協)とは?開示方法は?

個人信用情報を確認すると、以下のようなことがわかります。

・他社からどれくらいの借入額があるのか(多重債務ではないか?他社からの借入額と今回の借入希望額の合計が年収に対して妥当か?)

・他社に借入申し込みをしているかどうか(多重申込ではないか)

・借入に対する返済が確実に行われているか?(返済能力があるのか)

・延滞していないか(信用できる人物なのか)

など

延滞に限らず借入やクレジットカードの利用に関する情報は全て、隠しても嘘をついても、個人信用情報を見ればすぐにわかってしまうので嘘をつくのは禁物です。金融機関に嘘がばれた時に、信用性は0となってしまうからです。

⇒クレジットカード審査時に虚偽申告したら?年収など嘘つくのはダメ

ですから、過去に2カ月以上の延滞をしたことがある、今現在も延滞中である、と言う場合は、住宅ローンなどの高額融資を受けるのは難しいと思っておいた方がいいでしょう。

ただし、クレジットカードの支払い分を、うっかり入金し忘れていた、残高が足りていないことに気づかなかった、等と言う理由で数日延滞してしまう場合もありますね。

短期間で延滞が解消された、過去に1回だけの延滞だ、などのケースはきちんと話すとそれほど審査に影響しないこともあるので、その場合は審査前に金融機関へ説明しておくことが大切です。

また不安な方は、自分で自分の個人信用情報を開示することもできるので、申し込み前に確認しておくと安心ですね。

クレジットカードやローンの延滞がある場合は「異動」という表示があるので、その表示がないか確認してみましょう。

⇒指定信用情報機関(JICC・CIC・全銀協)とは?開示方法は?

クレジットカードにキャッシング枠が設定されている(キャッシングを利用している)

クレジットカードには、キャッシング枠が設定されていますが、住宅ローンの審査に影響がある場合があります。

元々キャッシング枠のないカードもありますし、申し込み時に「キャッシング枠は不要」とした場合は、ショッピングのみのクレジットカードとなっているので安心ですが、キャッシングを使ったことがないけれど持っているクレジットカードにキャッシング枠がついているという場合は注意が必要です。

借入希望額について審査する際、クレジットカードにキャッシング枠があると、キャッシングをしていてもしていなくても、限度額まで借りていると仮定し、キャッシング枠や他の借入額と、今回の借入希望額を合計し、年収に対して妥当かどうか判断される場合もあるからです。

つまり、クレジットカードのキャッシング枠が高く設定されていればいるほど、住宅ローンで融資してもらえる金額が減らされる危険性があるということです。

もしキャッシング枠付きのクレジットカードを複数所有していると、それぞれの限度額を合計して審査され、希望の金額を借りられなくなってしまうかもしれません。(1度も利用したことがないキャッシング枠は借入として含まない金融機関もあります)

金融機関では、借入可能額を出す際にその判断目安として、以下のような計算式に当てはめて返済負担率を出します。

<返済負担率の計算式>
年間返済額÷税込み年収×100=返済負担率(返済比率)

ここでの「年間返済額」には、住宅ローンの返済額はもちろんのこと、他社からの借入に対する返済や、クレジットカードのキャッシングの返済額も含まれます。

実際にキャッシングを利用していなくても、キャッシング枠付きのクレジットカードを持っている場合は、満額を借りた場合の仮の返済額を算出し、計算式に当てはめる場合があります。

もしも計算した結果、その金融機関で設定している目安の数字を超えてしまうようであれば、住宅ローンの審査通過が難しくなるか、もしくは融資額が減らされることとなるでしょう。

目安の数字は金融機関によって異なりますが、フラット35の場合で見てみると次のようになります。

<返済負担率の目安>
フラット35の場合(平成19年10月1日以降の申込)
年収400万円未満:30%以下(基準)
年収400万円以上:35%以下

実際にキャッシングしている場合や、使っていないけれどクレジットカードにキャッシング枠がついているという場合は、その返済額を当てはめて目安の返済負担率を超えないかどうか、事前にチェックしてみるといいでしょう。

また実際にキャッシングをしている場合は、その使い方についても審査が行われます。

過去に何度もキャッシングしている、キャッシング額が多いなどと言う場合は、返済能力の面で不安を感じ、住宅ローンの審査通過が難しくなってしまうこともあります。

クレジットカードを複数所有している

カードを店舗ごとに使い分けたりポイント等の特典を受け取るため、クレジットカードを2~3枚程度持っているという方は、多いかもしれませんね。

もちろん「クレジットカードを2~3枚持っているから住宅ローンの審査に通過できない」ということはありません。

しかし、それぞれのクレジットカードにキャッシング枠がついていると、先ほども述べたように借入可能額が少なくなってしまうことがあります。

全て必要なクレジットカードであれば仕方ないのですが、もし「付き合いで何枚もカードを作ったけど使っていない」「特典目当てで年会費無料のクレカをたくさん作った」などという場合は、申込前に1度、クレジットカードの整理をしておくことをお勧めします。

不要なクレジットカードをたくさん持っているせいで住宅ローンで希望の金額を借りられなくなってしまうかもしれませんし、あまりにもカードの枚数が多いと返済能力の面で不安を感じ、住宅ローン審査に通過できなくなってしまうかもしれません。

クレジットカードでリボ払いや分割払いをしている

クレジットカードの支払い方法は「一括払い」「2回払い」「分割払い」「ボーナス払い」「リボルビング払い」などいくつか用意されていますね。

これらのうち、どの支払い方法を選んでも、毎月の返済を確実に行っていれば、住宅ローン審査に問題はないように感じますが、「リボルビング払い」と「分割払い」は少し注意が必要になります。

クレジットカードの「リボルビング払い(リボ払い)」も「分割払い」も手数料や利息によって支払総額は多くなりますし、返済が長期的になるため、完済が困難になる危険性があります。

そのため、住宅ローンの申し込みを受け付けた金融機関では、「リボ払い」「分割払い」を利用している方に対し慎重な審査を行う傾向にあります。

特にリボ払いは、審査で重視され、リボ払いは分割払いと似ていますが、分割払いが「購入した商品の代金を分割する」のに対し、リボ払いは「利用総額を分割にする」という違いがあります。

毎月残債が減っていく分割払いと違い、リボ払いは毎月利用や返済のたびに総額が変動していくため、残債や支払い総額がわかりにくくなるという欠点があるのです。

その他、クレジットカードのリボ払いは以下のような欠点も多くなります。

・利息がどんどん増えていく

・どんなにクレジットカードを使っても返済額が一定のため、借入している意識がなくなる(借金への意識が甘くなる)

・残債がいつまでも減らない(完済できない)

・残債がどれくらいか把握できなくなる

リボ払いだからと安心してクレジットカードを使っていると、気づいたときには残債が大きくなりすぎて返済が困難になってしまうということも十分考えられますね。

そのような、将来的に返済が困難になる危険性も秘めていますし、残債が多いと返済能力に不安が残るため、住宅ローンの審査に影響してしまうのです。

さらに、1回払いにしていたのに後からリボ払いに変更している、分割払いやリボ払いを頻繁に利用している、と言う場合も、計画性がないとして信用性を失いやすくなります。

またリボ払いの残債が多いと、例え住宅ローンの審査に通過できたとしても返済負担率によって融資金額を減らされてしまうかもしれません。

可能な限り、クレジットカードでは、一括払いを利用するようにしましょう。

クレジットカードの一括払いは住宅ローン審査に影響しないため、金融機関へ悪い印象を与えません。

また、住宅ローンはクレジットカードと違い、後から気軽にリボ払いに変更すると言うことができないので、今後住宅ローンを組んだ場合の計画的な返済の訓練のためにも一括払いに慣れておくと良いでしょう。

住宅ローン審査に通過するためのクレジットカード事前対策

ここでは、住宅ローン審査をなるべくスムーズに進められるよう、クレジットカードに関する事前対策についてお話していきたいと思います。

※ただし住宅ローン審査は、様々な角度から行われるため、クレジットカードの使い方だけに気を付けても、審査に通過できるわけではありません。審査通過を目指すためには、クレジットカードの使い方はもちろんのこと、その他の審査項目も基準を超えられるよう努力することが大切です。

延滞履歴が消えてから申し込み

もし、クレジットカードで長期的な延滞をしてしまったという場合は、延滞の事実が個人信用情報から消えてから申し込んだ方が安全です。

ただし、うっかり入金し忘れてしまった、クレジットカードの返済が数日遅れてしまっただけ、という場合は、申し込みする金融機関に説明すると問題なく審査を進めてくれる場合もあるので、「延滞期間が短い」「延滞したのは過去に1~2回程度だけ」と言う場合は申込前に相談してみるといいでしょう。

もし延滞が現在進行中の場合は、まずは延滞を解消することを最優先しましょう。

信用情報の保有期間

①CIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関)
申し込み情報:照会日から6カ月間
クレジット情報(個人情報・契約・延滞などの支払い状況):契約終了後5年以内
利用記録:利用日から6カ月間

②JICC(指定信用情報機関 株式会社日本信用情報機構)
本人特定情報:契約内容に関する情報が登録されている期間
申込情報:照会日から6カ月以内
契約情報:契約終了後5年以内
返済情報(延滞も含む):契約終了後5年以内(※2019年9月30日以前に契約した場合は、延滞情報については延滞事実の発生日から1年を超えない期間)

③KSC(全国銀行個人信用情報センター)
本人情報:他の情報が登録されている期間
取引情報(延滞も含む):契約終了後5年以内
照会記録情報(ローンやクレジットの申込、契約):利用日から1年以内

不要なクレジットカードは解約、もしくはキャッシング枠を0に

クレジットカードを複数持っているという場合は、それらが全て必要なものかどうか一度確認してみましょう。

特にキャッシング枠がついているカードは、借入可能額を左右してしまう可能性があるので、不要な場合は解約しておくことをお勧めします。

クレジットカードにキャッシング枠がついていなくても、不要だと思われるカードは解約して減らしておいた方が、住宅ローンの審査もスムーズに進められる可能性が高まります。

ただし、クレジットカードの解約にもいくつか注意点があります。

クレジットカード解約時の注意点

①クレカを解約しても個人信用情報にすぐ反映さない

クレジットカード会社それぞれの事務処理締め日があり、解約などに関する情報は、締め日後に個人信用情報機関に伝わることになります。

つまり、締め日後に解約してしまった場合は、次の締め日まで保留となってしまうのです。

さらに、それぞれの個人信用情報機関でも、登録情報の更新時期が決まっていますので、解約情報がクレジットカード会社から個人信用情報機関へ渡されたとしても、更新直後だった場合は、次回の更新日まで情報が反映されないことになります。

更新は、1か月に1回と決めている個人情報機関もあるため、場合によってはクレジットカード解約の事実が個人信用情報に反映するのは1~2か月後になってしまうことも考えられます。

せっかくクレジットカードを解約しても、個人信用情報に反映されていない段階で住宅ローンの申し込みをしてしまうと、解約していない状態で申し込むのと同じになってしまうので注意しましょう。

②クレカの利用残高がある場合は反映が先延ばしに

分割払いやボーナス払い、リボ払いなどの支払い方法を選択していて、クレジットカード解約時にも利用残高がある場合、カード会社から一括請求されるのが一般的ですが、解約後も分割払い等が可能なクレジットカードもあります。

しかし利用残高が残った状態でクレジットカードの解約が可能だったとしても、利用残高を完済しなければ個人信用情報へ解約の事実は掲載されません。

完全な解約を目指す場合は、クレジットカードの利用残高もしっかり完済しておきましょう。

③クレジットカードは契約も解約も慎重に

「住宅ローン審査通過のため」と無理にクレジットカードを解約するのはあまりお勧めしません。

もちろん、クレジットカードの枚数は多いより少ない方が借入可能額も増える可能性がありますし、住宅ローンの審査通過率も上がる傾向にありますが、一度解約してしまうと同じカードの再申し込み時は審査が厳しくなることがあるのです。

後からやっぱり、そのクレジットカードが必要と思っても作れなくなってしまうかもしれません。

クレジットカードを解約する際は「本当に不要なのか」としっかり考えたうえで慎重に行うことをおすすめします。

特に契約後間もないカードは「入会時の特典が目当てで、使うつもりなく作ったのでは?」と判断され、クレジットカード会社からの印象が悪くなります。

もし契約間もないクレジットカードの解約を複数行うと、様々なカード会社から不審に思われ、今後新たなクレジットカード作成が難しくなってしまうこともあるのです。

今後もクレジットカードの利用・新規作成の可能性がある場合は、カード会社の信用を失うような解約はしない方がいいでしょう。

また、複数のクレジットカードの契約や解約が個人信用情報に反映されていると、住宅ローンの申し込みをした金融機関でもあまり良い印象は持たないはずです。

契約する際は「本当に必要なものなのか」、クレジットカードを解約する際は「本当に不要なのか」と、いずれにしても慎重に行うことが大切です。

もし、クレジットカードの解約はしたくないけれどキャッシング枠によって借入可能額が減るのは困ると言う場合は、キャッシング枠を0円に設定しておく方法もあります。

こうすることで、クレジットカードを解約せずに借入可能額が減ってしまう危険性を回避することができます。

④クレジットカードのポイント等は移行、もしくは使い切る

クレジットカードは利用することでポイントやマイルを貯めることができる場合がありますね。

せっかく貯めたポイント等も、そのままクレジットカードを解約してしまうと失効してしまうことが多いので、ポイント数を確認し、残っているようであれば使い切ってしまいましょう。

クレジットカードのポイントの種類によっては他社のポイントやマイル等へ交換できる場合もあるので、使いやすいポイントに交換しておいてもいいですね。

クレジットカードのリボ払い、分割払いは完済しておく

リボ払いや分割払いがあると住宅ローン審査に通過できないということはありませんが、リボ払いや分割払いをしていない方に比べると審査に時間がかかったり、審査通過が難しくなる危険性もあります。

無理にお金をかき集めたり、完済させるために他からお金を借りるということはする必要はありませんが、可能な限りリボ払いや分割払いは終わらせておくと安全です。

特にリボ払いは、分割払いのように「残りいくら」「あと何か月」という終わりが見えないので、金融機関でもあまりいい印象は受けません。

借入可能額も少なくなってしまう危険性があるので、可能であればクレジットカードのリボ払いだけでも終了させておくと良いでしょう。

クレジットカードのキャッシング枠も完済しておく

クレジットカードのキャッシング枠を利用してお金を借りている場合や、消費者金融などからもキャッシングしているという場合は、住宅ローン申し込み前に完済しておくことをお勧めします。

クレジットカードのキャッシング枠の利用も、リボ払い同様「あまりいい印象を与えない」「借入可能額が減ってしまう」と言う理由からです。

完済証明書の発行

キャッシングやリボ払い、分割払いなどを完済した場合は、クレジットカード会社から完済証明書を発行してもらい、住宅ローンの申し込みをする金融機関に提出すると、審査がスムーズに進められます。

完済証明書は完済すると自動的に発行されるものではなく、カード会社に依頼する必要があるのですが、証明書があると金融機関も安心して住宅ローンの審査を行うことができるでしょう。

また、金融機関によっては完済証明書の提出を必須としている場合もあります。

住宅ローンの借入希望額を減らす

キャッシング枠のあるクレジットカードを複数持っていて、どれも解約できない場合や、キャッシングやリボ払いを完済できないという場合は、返済負担率を計算してみましょう。

もし返済負担率が目安よりも低い場合はそれほど心配しなくても大丈夫ですが、高すぎるようであれば、住宅ローンの借入希望額を少なくすることで返済負担率を下げることができますね。

以下のような方法で、住宅ローンの借入希望額を減らせないか検討してみましょう。

①頭金を用意する
頭金をたくさん用意できるのであれば、金融機関から借りるお金を減らすことができますので、返済負担率が下がります。

②安い物件を購入する
もし購入する物件を決める前段階だという場合は、返済負担率や自分の借入状況を踏まえたうえで、借入可能だと思われる価格の物件を探すといいでしょう。

③配偶者の収入を合算する
安い物件に変えることもできないし、頭金も用意できないけれど、自分1人の収入だけでは返済負担率が高くなりすぎてしまうという場合、配偶者の収入も合算して申し込みをすると審査に通過しやすくなるかもしれません。

金融機関によっては、次のような収入合算方法が用意されています。

▼連帯保証(主たる債務者が返済できなくなった場合に、連帯債務者が返済を請け負う仕組み)
▼ペアローン(夫婦それぞれがローンの契約を行う。契約は2つ)
▼連帯債務(契約は1つだけれど、夫婦それぞれに支払義務がある)

ただし、収入合算する配偶者がパートやアルバイトと言う場合は、連帯債務やペアローンは難しくなりますし、将来的に妊娠・出産・病気などによりどちらか一方が働けなくなった場合、片方への負担が大きくなってしまう危険性もあるので、そのようなデメリットも含めたうえで慎重に検討することをお勧めします。

クレジットカードも時には必要

「所有するクレジットカードの枚数は少ない方がいい」「キャッシングやリボ払いはない方がいい」とお話しましたが、逆に「クレジットカードを持ったことがない」「分割払いをしたことがない」「借り入れそのものをしたことがない」と言う場合は注意が必要です。

このような方は、個人信用情報を確認しても、当然のことながら真っ白な状態(クレジットヒストリーなし)となっています。

この真っ白な状態は「スーパーホワイト」と呼ばれているのですが、このような方が住宅ローンの申し込みをした場合、以下のような理由から、審査が慎重に行われる傾向にあるのです。

▼返済能力がある人なのか確認できない
▼クレジットカードなどの審査に通過できない理由があるのでは?と疑われる
▼過去に債務整理などを行った方では?と疑われる(債務整理をした方も、一定期間を過ぎると個人信用情報は真っ白になります)

20代など若い方の場合は、クレジットカードを持ったことがない方もまだ多いためそれほど心配はありませんが、30代後半~50代でクレジットヒストリーが全くないという場合は、上記のような理由から審査に時間がかかったり、審査落ちとなってしまうことがあるのです。

スーパーホワイトの方は、審査の緩いクレジットカードを作り、返済実績を作っておいた方が、住宅ローンの審査に通過しやすくなるかもしれません。

クレジットカード利用状況と住宅ローン審査への影響について3つの銀行に質問してみた

大手の「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「みずほ銀行」へ住宅ローンの審査にクレジットカードの利用状況が影響するのかどうか、電話で確認してみました。

金融機関では、住宅ローン審査に関することは話せないことになっていますし、実際に審査を行っているのは銀行ではなく保証会社になるため、皆さん口をそろえて「詳しい内容についてはわかりかねます、申し訳ございません」とおっしゃっていました。

しかし、住宅ローン審査とクレジットカードについて、銀行員の方が話せる範囲内で教えてくれたこともいくつかあるので、参考にしてみてください。

①クレジットカードをたくさん持っているのですが住宅ローン審査に影響しますか?

<三菱UFJ銀行の回答>
審査は保証会社が行うことになっているため、私どもでは詳細は分かりかねるのですが、カードローンやキャッシングなどのお借入れができるカードであれば、持っているよりも持っていない方がよろしいかと思われます。

<三井住友銀行の回答>
クレジットカードのあるなしに関わらず、審査は総合的な判断となるため、たくさん持っているから審査に通過できない、持っていないから審査に通過できる、と言う単純なものではございません。

<みずほ銀行の回答>
保証会社がどのように判断するかはわからないので、ハッキリしたことはお話できないのですが、全く使っていないクレジットカードであれば、持っていてもそれほど大きく影響しないのでは・・・と思われます。

②リボ払い、分割払い、キャッシング等、クレジットカードの使い方についても審査されますか?

<三菱UFJ銀行の回答>
申し訳ございません。保証会社がどの部分まで審査を行っているかについては分かりかねます。しかし、キャッシングなどのお借入れについては、少なからず審査は行われると思われます、お借入れはあるよりもない方がいいかと思われます。

<三井住友銀行の回答>
審査は保証会社が行うこととなっていますので、何とも言えません。

<みずほ銀行の回答>
どこまで保証会社が審査を行うかはわからないのですが、一般的にはキャッシングを利用しているなどの借入がある場合、住宅ローンとしてお貸しできる金額に影響してきてしまいます。

使っていないクレジットカードのキャッシング枠まで借入可能額に影響するかどうかはわかりかねるのですが、使っていないカードであれば、それほど心配する必要はないのではないでしょうか。

一括払いで毎月滞りなく返済が行われているのであれば、その利用状況についてはそれほど心配する必要はありません。

③使っていないカードを一気に解約すると住宅ローン審査に影響しますか?

<三菱UFJ銀行の回答>
解約したことについて、保証会社が審査を行うかどうかについてはわかりかねます。しかし、キャッシングやカードローンができるカードであれば、解約せずに持っているよりも、解約してしまってから住宅ローンのお申込みをした方がよろしいのでは?と思われます。

<三井住友銀行の回答>
先ほどもお話したように、カードあるなしに関わらず、審査は総合的な判断となります。解約するかしないかも、お客様ご自身の判断でお願いいたします。

<みずほ銀行の回答>
解約についてまで保証会社が審査するかどうかはわかりかねますが、解約する際も、キャッシング等をご利用されていたのであれば、何かしらの審査が行われるかもしれませんが、全く使っていないカードであれば、解約したとしてもそれほど影響はしないと思われます。

この記事の監修者

この記事の監修者 この記事の監修者は、株式会社タンタカの代表取締役「丹野貴浩(⇒プロフィールはこちら)」で、簿記1級の資格を持ち、10年以上、クレジットカードやローンなど金融系のWEBメディアを運営・管理している実績があります。
   

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