クレジットカードの途上与信とは?強制解約されることも!

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持っていたクレジットカードの利用可能枠が、いつの間にか増えていた、もしくは減っていたという事はありませんか?

その他にも「クレジットカードが突然利用停止となってしまった」「カードが強制解約になった」等という経験をした方もいるかもしれませんね。

実は、このような変化は「クレジットカードの途上与信」によるものなのです。

ここでは、クレジットカードの途上与信とはどのようなものなのか?途上与信と法定途上与信の違い、審査する頻度・タイミング、どういうケースで強制解約・利用停止されるのか?途上与信の際は在籍確認が行われるのか?その他、途上与信が行われたかを確認する方法などを詳しく解説していきます。


もくじ

途上与信とは

途上与信と言うのは、簡単に言うと「中間審査」です。

クレジットカードの申し込みをすると「初期審査」が行われますね。

初期審査では、この人にお金を貸しても大丈夫なのか、信用できる人なのか、返済能力があるのか、等について様々な角度から調査され、その結果、大丈夫だと判断されて初めてクレジットカードが発行されるのです。

このような、申し込み時の初期審査は有名なので知っている方が多いと思いますが、実は、カード会社が行う審査は最初の1回だけではないのです。

途上与信とは、クレジットカードが発行されてからも、利用状況に問題がないか、信用情報に変化がないか等を確認するための定期的な審査のことをいいます。

途上与信の内容

途上与信では、個人信用情報を照会し、以下のような点に問題がないかチェックしています。

▼クレジットカードの利用歴に問題がないか(延滞や遅延履歴、延滞回数等)
▼他社のクレジットカードや借入の利用歴に問題がないか(高額キャッシング、延滞、遅延履歴等)
▼収入に変化はないか
▼他社も含め借入額の合計が年収の3分の1を超えていないか
▼高額な増枠申請、クレジットカード発行直後の増枠申請を行っていないか
▼クレジットカード等の不正利用がないか
▼クレジットカード等の利用規約違反をしていないか

など

個人信用情報には、照会したクレジットカード会社の利用分だけではなく、他社の借入状況なども記録されているため、そのクレジットカード会社は、他社の借り入れ分の利用状況も審査の対象とします。

そのクレジットカード会社での利用状況が良好でも、他社で延滞等が発生していると、途上与信で利用停止・強制解約などの処分を受けることもあるかもしれません。

ですから、途上与信で利用停止・強制解約されたくない方は、全てのクレジットカードの利用状況、その他ローンの利用状況にに気を付けることが大切です。

ただし、クレジットカード会社は、いつ途上与信を行うかも、どの様な審査内容なのかも公表しないので、私たちは知ることができないのです。

もし途上与信の結果、強制解約になったとしても「何がいけなかったのか」「どの部分が審査基準を満たしていなかったのか」等と質問しても、クレジットカード会社は答えてはくれないでしょう。

今後もクレジットカードを使っていきたい場合は、途上与信で突然厳しい措置を取られることのないよう、きちんとした利用を心がけることが大切です。

途上与信が行われる理由

①返済リスク回避

クレジットカードでショッピングをするだけだと、お金を借りているという感覚が薄れますね。

しかし、実際にショッピングしてからクレジットカード会社の引き落としがあるまでの期間は、一時的にカード会社にショッピング代金を立替てもらっている(お金を借りている)ことになるのです。

クレジットカード会社はお金を貸している以上(実際にカードを利用していなくても、貸せる状況がある以上)その人にお金を貸しても大丈夫か確認する必要があります。

貸しても大丈夫かどうかは、申し込み時の審査で判断できるのですが、カード利用者の状況がずっと変わらない保証はどこにもありません。

転勤や転職等によって収入に変動が起こることも考えられますし、倒産やリストラなどで収入がなくなって返済できなくなってしまうこともあるかもしれませんね。

利用者の状況が申し込み時と大きく変化しているのに、クレジットカードの利用可能額が当時と同じままだと、使いすぎて返済が困難になってしまう危険性が出てしまいます。

このようなリスク回避のため、カード会社では申し込み時だけではなく、カード発行後も定期的な途上与信によって、問題がないか確認しているのです。

②限度額の見直し

クレジットカードの限度額は、申し込み当時の利用者の状況を判断して決定されます。

しかし利用者の状況が変化していれば、その都度、クレジットカードの限度額の見直しも必要になります。

収入減となっていれば、クレジットカードの限度額を引き下げることもありますし、その逆で勤続年数が増え、年収も上がっているという場合は、限度額を引き上げることもあります。

このように、途上与信はカード利用者にとって不都合なものとも限らないのです。

途上与信は、利用状況が良好で収入も増えている方が、クレジットカードをより快適に使えるように変えるための審査でもあるのです。

③不正利用の防止

クレジットカードの不正や偽造などが行われていないかをチェックするためにも途上与信は行われています。

途上与信を行うことでクレジットカードのの不審な利用状況がないかを確認することができるので、不正や偽造の早期発見につながるのです。

途上与信の頻度・タイミング

途上与信の頻度や途上与信が行われるタイミングは、クレジットカード会社ごとに異なります。

毎月行うクレジットカード会社もあれば、3カ月や6か月サイクルで行う会社もありますし、不定期の場合や、経費節減のために途上与信をほとんど行わないというクレジットカード会社もあります。

途上与信を行う際、事前に利用者へ連絡することもないので、どのクレジットカード会社がどれくらいの頻度でいつ行っているか等はわからないというのが実際のところです。

しかし、カード更新のタイミングに途上与信を行うクレジットカード会社は多いようです。

クレジットカードの有効期限が近付くと、自動的に新しい更新カードが郵送されることになるのですが、更新カード発行時に「信用力」「返済能力」を再度確認するために途上与信を行う傾向にあるようです

その他、以下のようなタイミングでも途上与信が行われる傾向にあります。

・カードの増枠申請をした際
・キャッシング枠の追加申請をした際
・定年退職時

増枠やキャッシング枠の追加時は、お金を貸しても大丈夫な人なのか再度確認するのが一般的でしょう。

また、定年退職の際も、退職金や年金が入るとしても、毎月の収入額は減少することになりますので、今までと同じ利用限度額のままで大丈夫なのか、途上与信を行うカード会社が多いようです。

途上与信後のクレジットカード会社の対応

途上与信後の対応はクレジットカード会社によって異なりますし、途上与信を行っても何の変更もされないという場合も多いのですが、利用状況によっては以下のような措置が取られることもあります。

・利用状況が良好
⇒クレジットカードの利用可能額が増える

・利用状況が悪い(高額借入、延滞あり、収入減など)
⇒キャッシング枠・ショッピング枠の上限が低くなる、利用停止、強制解約など

途上与信でクレジットカードの利用停止となった場合は、遅れている返済分をきちんと入金することで解消されることが多いのですが、強制解約となってしまうとそれまでの借り入れ分を一括請求されてしまいますし、そのカードを使うこともできなくなってしまいます。

また、クレジットカードの強制解約の情報は個人信用情報にも記録され、今後新たなカードを作りたい時にも悪影響となってしまうので避けたいですね。

しかし、うっかり入金が遅れてしまった、1回だけ延滞してしまったというだけで、突然カードの強制解約をされることはありません。

延滞期間が長い、何度も返済が遅れている、借入残高が多すぎる等、様々な要因によって厳しい措置を取られるケースがほとんどなので、それほど途上与信を怖がらなくてもいいでしょう。

たいていは、わからないうちに途上与信は終了しているはずです。

以下のような場合は、途上与信を気にする必要はないでしょう。

・申し込み時と勤務先に変更なし
・収入が安定している
・収入が増えている
・毎月定期的にカードを利用し確実な返済を行っている

クレジットカードの利用状況が良い方には、利用可能枠の増額などの対応が待っているので、きちんと使っている方にとっては途上与信は嬉しい審査でもあるのです。

ただし延滞をしていなくても、クレジットカードを全く使っていない、発行だけして1度も使ったことがないという場合も注意が必要です。

年会費無料の場合は特に、クレジットカードを使ってもらえないとカード会社にとってメリットはなく、逆にカード発行料や郵送料などの経費がかかるため、赤字となってしまうのです。

そのため途上与信の結果、クレジットカードを全く利用していない方に対しては、更新カードを送らないと決めているカード会社もあるのです。

途上与信で在籍確認は行われる?

クレジットカードに新規で申込むと、あなたが申請した勤め先にちゃんと在籍しているのか?電話をして在籍確認が行われる時がありますが、途上与信でも、在籍確認は行われるのでしょうか?

途上与信の内容については、各クレジットカード会社で公表していないので確実なことはわかりませんが、ネット上の口コミや情報サイトで調べた限りでは、在籍確認を行われたという事実は記載されていませんし、筆者自身も聞いたことがありません。

途上与信は、いつどのタイミングで行われるかかわらないのに、在籍確認の電話があったら大変ですよね。

それに、CICなど、個人信用情報機関を閲覧すれば、勤務先情報の変更等も確認できるので、コストをかけてまで在籍確認する意味もそれほどありませんよね。

途上与信で在籍確認はない?2つのカード会社に聞いてみた

2つのカード会社に「カードを発行した後も、そちらから勤務先へ確認の電話をすることはありますか」と質問してみました。

<三井住友カードの回答>
「いえ、何か特別な事情や連絡事項がなければ、こちらから勤務先へご連絡するようなことはありません」

私「審査の一環として、勤務先へ連絡することもないですか?」

「ご入会時の審査以外の審査ですか?そちらに関しては私どもにはわかりかねますが、もしよろしければお調べいたしましょうか」

私「いえ、大丈夫です」

<MUFGカードの回答>
「よほどのことがなければ勤務先へ連絡することはありません。もし何かお伝えしたいことがあってもご本人様へ直接連絡します」

私「審査の一環として、勤務先へ連絡することもないですか?」

「審査等ついてはこちらではわかりかねるのですが・・・ご本人様からお電話いただければお調べたしますが」

私「いえ、大丈夫です」

これ以上の質問ができなかったのですが、途上与信の場合、特別な事情がなければ、在籍確認も含め、勤務先への電話連絡はしないと考えていいのではないかと思います。

途上与信および、この後説明する法定途上与信でも、基本的に在籍確認は行われないものと思って大丈夫だと思われます。

途上与信と法定途上与信

実は途上与信には、クレジットカード会社が行う「途上与信」の他に、貸金業法で定められている「法定途上与信」があります。

通常の「途上与信」はクレジットカード会社が任意で行うものなので、回数もタイミングもカード会社ごとにそれぞれ異なりますが「法定途上与信」は法で定められた条件に沿ってカード会社が行わなければならない決まりとなっているのです。

法定途上与信とは

法定途上与信については、「貸金業法第十条の二十四」「第十条の二十五」等で、以下のように定められています。

・1カ月の貸付金額の合計額が5万円以上で、その末日の極度方式貸付の残高の合計額が10万円以上の場合、1か月ごとに指定信用情報機関に個人信用情報の提供の依頼をすること

・極度方式貸付の残高合計額が10万円を超えた場合、3カ月ごとに個人信用情報を使用して調査すること

参考:貸金業法施行規則

極度方式貸付と言うのは、極度額の限度内で貸し付けを行うことで、カードローンやクレジットカードのキャッシングがこれにあたります。

つまり、クレジットカードでキャッシングをする場合に、法定途上与信の対象となるのです。

その月の利用が無くても、常に10万円以上のキャッシングをしているという場合は定期的に途上与信が行われるので、延滞等が発生しないよう注意しましょう。

途上与信と法定途上与信は審査するタイミングが違う

途上与信と法定途上与信では、行う審査内容に大きな違いはありません。

途上与信も法定途上与信も、利用者がお金を借りすぎていないか、返済能力があるかどうかについて確認するために行うものになります。

ただし、途上与信が行われるタイミングや条件は以下のように異なってきます。

<途上与信を行うタイミング>
途上与信は、クレジットカード会社が任意で行うものなので、不定期の場合もあれば、毎月行う場合もあります。増額申請時やカード更新時期だけ、途上与信を行うカード会社もあり、キャッシングをしていなくても行われます。

<法定途上与信を行うタイミング>
法定途上与信は、キャッシングを利用している方が対象で、貸金業法で定められた条件の対象となる方に対し、定期的に行うことになります。

毎月法定途上与信を行うケース 5万円以上(1カ月の貸付合計額)、かつ10万円以上(貸付残高合計額)
3カ月に1度法定途上与信を行うケース 10万円以上(貸付残高合計額)

 

途上与信が行われたかを確認する方法

自分のクレジットカードに対し、途上与信が行われたかどうかは、自分の個人信用情報を開示するとわかります。

個人信用情報機関は3つありますが、その中でも「CIC」は主に割賦販売やクレジット事業を営む企業を会員とする指定信用情報機関になるため、気になる方は「CIC」の信用情報を開示してみるといいでしょう。

CICの個人情報を開示すると、信用情報報告書の「利用記録」から、途上与信が行われたかどうかがわかります。

また、銀行や消費者金融などからも借り入れをしていて、途上与信だけではなく、自分がブラックかどうかも確認しておきたいという場合は、CICだけではなく、JICC(日本信用情報機構)やKSC(全国銀行個人信用情報センター)の個人信用情報機関の開示もしておくと良いでしょう。

⇒指定信用情報機関【JICC・CIC・全銀協】とは何か?開示方法は?

<信用情報開示報告書 利用記録の見方>
信用情報開示報告書の「利用記録」には、1~6の項目が用意されています。

途上与信が行われていた場合、クレジットカードの会社名や照会日時、利用目的として「途上与信」と記載されているでしょう。

1.登録元会社:照会したカード会社名
2.保有期限
3.氏名
4.生年月日
5.照会日時:カード会社が照会した日時
6.利用目的:途上与信

CIC 信用情報開示報告書の見方

※利用記録については、会員会社へ提供されることはないので、途上与信をされているから別のカード会社から不審がられるという心配はありません。

この記事の監修者

この記事の監修者 この記事の監修者は、株式会社タンタカの代表取締役「丹野貴浩(⇒プロフィールはこちら)」で、簿記1級の資格を持ち、10年以上、クレジットカードやローンなど金融系のWEBメディアを運営・管理している実績があります。
   

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