ギャンブルの借金は返済する必要あるの?

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ギャンブル全てが悪いものではありませんが、借金を作るほどのめり込んでしまうのはいかがなものかと思います。

しかし、実はギャンブルによる借金の中には、法的に返済してなくて良いものもあるんです。

ただし自らの楽しみのためにやったギャンブルで作ってしまった借金なのに、返済の必要がないなんてラッキー!と思えるかもしれませんが、もちろんそれなりにリスクはあるものです。

本記事では、返済不要なギャンブルの借金と、なぜ返済が不要なのかを詳しく解説していきます。

ただ決して推奨するものではありませんので、借金地獄で人生を棒に振らないための知識としてお読みくださいね。


もくじ

返済不要なギャンブルの借金の種類

結論から言ってしまうと、返済の必要がないギャンブルの借金の種類は「違法ギャンブルでできた借金」になります。

違法ギャンブルの借金は返済が不要

大前提として、違法ギャンブルは刑法185条第23章「賭博及び富くじに関する罪」により禁止とされています。

●刑法185条第23章より抜粋
第百八十五条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。(一部省略)第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。

引用:e-Gov法令検索

なぜ違法ギャンブルで作った借金の返済義務がないのかというと、そもそもやってることも違法なので、「負けた分の金を払え!」と取り立てられたとしても法的にも無効になるから。

法律上の返済義務は一切ないということになりますので、仮に違法ギャンブルに勝った人が「お金を払ってもらえないんです・・・」と裁判所に訴え出たとしても「そもそも違法ギャンブルなんだから無効です」と言われてしまうことになります。

この他にも返済が不要なギャンブルの借金もあります。

勝っている相手やお店から借りたお金は返済不要

相手との勝ち負けを競う賭けポーカーや賭け麻雀などでは、実際にお金のやり取りがなくても相手に借金を作ってしまうことがあります。

また、お店にお金を借りて、ツケ状態で勝負を続けてしまうこともあるでしょう。(本当はダメですけど)

違法ギャンブルで負け越してできてしまった借金は、それが直接の相手であれお店であれ、返済の義務はありません。

パチンコ・スロットの借金は返済が必要

パチンコも競馬も闇カジノもギャンブルという言葉にまとめられていますが、ギャンブルには種類があり区別されています。

ここからはギャンブルの種類別に返済の必要性を確認していきましょう。
まずはパチンコ・スロットです。

パチンコ・スロットは一般市民の娯楽の代表のようなギャンブルですが、正規のパチンコ・スロットで作った借金は返済が必要になります。

パチンコ・スロットは一応、出玉の数によって景品がもらえる大衆娯楽のようになっていますが、みんなの狙いは景品じゃないですよね。

ざっくり言ってしまうと、どうせ出玉をお金に変えるのになぜわざわざ特殊景品と1度交換してパチンコ店を出ないといけないのかというと、風営法第23条「遊技場営業者の禁止行為」により、出玉を直接現金や有価証券などに変えてはいけないからなんです。

また、そのほかにも玉やメダルなどをお客さんが外に持ち出してもいけないなどの法令もあるので、現在のような形式になっているんです。

●風営法第23条より抜粋
第二十三条 第二条第一項第四号の営業(ぱちんこ屋その他政令で定めるものに限る。)を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 現金又は有価証券を賞品として提供すること。
二 客に提供した賞品を買い取ること。
三 遊技の用に供する玉、メダルその他これらに類する物(次号において「遊技球等」という。)を客に営業所外に持ち出させること。
四 遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること。

引用:e-Gov法令検索

パチンコの出玉が現金に変わるまでの流れ

パチンコ屋の前を通ったときに、玉が入ったドル箱を積み上げて夢中になっている人を見たことがある人もいると思います。

パチンコをやめて換金するときあのドル箱の出玉はどうなるのかというと、まずは店員さんが計測器で数えてレシートやカードに替わります。
利用者はそのレシートを持ってカウンターに行きます。

カウンターでレシートをわたすと「特殊景品」と呼ばれるチップを渡されます。出玉の端数は数に応じた景品と交換となります。

特殊景品を持ってパチンコ店を出て景品交換所に行きスタッフにわたすと、今度は現金と交換してくれるという流れになります。パチンコ・スロットで勝った人はこうやって現金を受け取れることができる仕組みになっています。

この後、景品交換所は景品問屋に特殊景品を持っていき換金してもらう流れになります。
こういった換金方法を「三店方式」と呼んでいます。

パチンコは違法じゃないの?

出玉をお金に変えるパチンコも賭博じゃないの?という感じがしますが、違法性を問われないために三店方式をとっているんです。

パチンコ店は客に玉を「貸している」だけで玉が店の外に出ることはありませんし、特殊景品はお客さんから特殊景品を「買取」という形をとっています。

景品交換所は古物商の営業許可を受けているので、お客さんから特殊景品を買い取って現金を渡すことそのものには違法性がないんです。

こういった流れから、現在のところパチンコは違法捜査などの対象にはなっていないわけです。

違法パチンコ・スロットなら返済不要になる?

賭博破戒録カイジの「沼」のような超高レートパチンコは当然ながら違法になります。

そして違法性のあるギャンブルで作った借金は返済が不要という観点からは、返済不要ということになります。

しかし、最初から違法ギャンブルに手を出すこと自体が禁止されているので「違法だから払う必要なし!」と堂々とできるものでもないでしょうね。

公営ギャンブルの借金は返済が必要

現在日本において公営ギャンブルとして認められているものは、「競馬、競艇、競輪、オートレース」になります。

これらを運営しているのは特殊法人や地方の公共団体になり、収益の一部は税金となり国に収められています。

競馬や競艇などは人気芸人や俳優のコマーシャルの効果もあり、イメージがかなり変わってきているのではないでしょうか。

着順に対してお金を賭けるという行為そのものは賭博に当たるのですが、競馬、競艇、競輪、オートレースにおいては日本が認めている公営ギャンブルになるので、違法性がないということになります。

そのため競馬、競艇、競輪、オートレースで作ってしまった借金は、違法性のないギャンブルの借金となるので返済しなければいけません。

宝くじ・スクラッチ・スポーツくじなどの借金も返済が必要

宝くじ、スクラッチ、それにスポーツくじのtotoやBIGなど、ちょっとした掛け金で安全に楽しめるこれらのくじで作った借金も返済が必要になります。

これらのくじは正確に言うと公営ギャンブルとは違うのですが、広い意味では国も認めているギャンブルになるので違法性がないんです。

宝くじで一攫千金を夢見るあまり借金を作ってしまったなんて笑えない話なので、ほどほどにしておかないといけませんね。

麻雀も返済が必要?

街中にある麻雀店やカルチャーセンターなどで行なっているシニア向け麻雀などは、お金をかけていないことになっています。

もちろん勝敗にお金をかけてしまうと違法となりますが、ああいった場所で麻雀を楽しむこと自体に違法性はないんです。

そのため、建前としてはお金がまったく動いていないということになりますね。

麻雀でお金をかけたら違法になる?借金の返済はどうなる?

もしお金をかけてしまった場合は違法ギャンブルになりますので、借金の返済も不要ということになります。

違法ギャンブルでも1度支払ったお金は返済してもらえない

ここまで見てきて、「違法なギャンブルに自ら参加しておきながら、借金ができたからといって「違法ギャンブルだから借金は無効」と主張するのはなんだかズルい」という感じがしませんか?

ズルいというのもおかしい言い方ですが、虫がよすぎるというか身勝手というか・・・。

そこで、民法では違法ギャンブルでできた借金でも、いったん支払ったものに関しては返還を請求できないというルールを作っています。

●民法 第708条(不法原因給付)
第七百八条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。

引用:e-Gov法令検索

具体的な例で見ていきましょう。

Aさんが違法ギャンブルでBさんに10万円負けたとします。

AさんはBさんに負け分を支払う前であれば違法ギャンブルによる借金なので返済は無効と主張することができます。実際に支払わなくても法律や裁判所がBさんの味方をすることはありません。

ただし、すでにBさんに10万円を支払ってしまっている場合は、民法708条により返還請求できず、「違法ギャンブルの借金だから無効なはず!お金返して!」と主張できないことになります。

法律は悪事を働く人の味方にはならないということですね。

違法ギャンブル返済のためにカードローンで借りたお金はどうなる?

違法ギャンブルで作ってしまった借金を返すために、消費者金融や銀行カードローンなどでお金を借りて返済したとします。

借りた理由が違法ギャンブルである場合、カードローン会社への返済はどうなるのかというと、当然ながら返済を免れることはできません。

カードローン会社は正規の手続きを踏んでお金を貸しただけなので、借金を作った原因とは無関係になります。

実際に貸したお金の使い道についても一応は知る方法がないということになるので、違法ギャンブル借金返済ためであっても借りた人には全額返済する義務があります。

返済不要だからといって違法ギャンブルに手を出さないで!(まとめ)

繰り返しになりますが、違法ギャンブルで作った借金は法的には返済不要です。これに関しては弁護士会も返済義務がないという見解を示した例があります。

<参考>:賭けマージャンの借金返す必要あり? ―大阪弁護士会―

しかし、違法ギャンブルには手を出すべきではありませんし、公営ギャンブルでもパチンコのようなグレーなギャンブルも返済不要にはならないので、私たち一般市民がストレス解消や娯楽程度に楽しめるギャンブルの借金は全て自己責任で返済が必要ということになります。

違法ギャンブルだから払わないと主張することは実際可能なのか

そもそも違法ギャンブルとわかっていて自ら手を出すことが悪いことですよね。

近所の飲み仲間と賭け麻雀をしていて、気がついたら借金が増えていた・・・なんていうケースに「賭け麻雀は違法だからお金は払わない!」と主張するとします。

この場合、法的には主張はとおりますが友達はいなくなるでしょうね。

また、闇カジノなどを利用するのは言語道断ですが、こういった違法ギャンブルを主催するような人たちが「法的に無効なら催促はしないです・・・」とおとなしく引き下がるでしょうか。

もちろん、ウシジマくんのような取り立てがあったら警察も動いてくれます。

しかし、違法ギャンブルを行うことそのものが法に触れることなので、警察の判断によっては利用者が逮捕という流れになってもまったくおかしくないわけです。

違法ギャンブルによる借金の相談事例で、相談者の行動が法に触れる可能性もあるし「免責不許可事由」に該当する可能性もあると回答している弁護士さんもいます。

<参考>:違法ギャンブルでの借金 ―弁護士ドットコム―

●「免責不許可事由」とは?
免責は借金の返済義務を免除してもらうことを言います。

免責が認められる最も大きな例が自己破産です。自己破産は免責を認めてもらうための申請・手続きとなりますので、裁判所が免責を認めてくれたら以降の返済義務は一切無くなります。(ただし税金の滞納など免責されないものもあります)

「免責不許可事由」とは、免責が許可されない理由・原因のことを言います。

つまり、違法ギャンブルが免責不可事由に該当してしまうと、自己破産しても違法ギャンブルでできた借金は免責にならない可能性があるということになります。

自己破産はどうしても返済ができない借金を帳消しにできる最後の手段なのに、どうにもならないとしたら恐ろしすぎます・・・。

今後の更生の可能性が認められれば「裁量免責」という免責の許可を受けることもできるのですが、ひとときの娯楽のためにこんな大変な事態になってしまうのは誰にとっても本意ではないはずです。

「違法とわかっているギャンブルには最初から手を出さないこと」
これがイチバンです!


 
 

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この記事の監修者 このサイトの監修者は、株式会社タンタカの代表取締役「丹野貴浩(⇒プロフィールはこちら)」で、簿記1級の資格を持ち、10年以上、クレジットカードやローンなど金融系のWEBメディアを運営・管理している金融メディア運営の専門家。
   

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