リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

当ページでは個人の住宅のリースバックを中心に、リースバックの仕組みを詳しくご説明していきます。また、事前に知っておきたいメリット・デメリットや、住宅を利用した他の資金調達法との比較などもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


もくじ

リースバックとは?

リースバックとは現在所有しているものを第三者に売却し、賃貸契約を結んで売却したものをそのまま使い続けるという取引で、正式な名称を「セール・アンド・リースバック(sale-and-leaseback)」といいます。

個人では不動産(ハウスリースバック)や車(マイカーリースバック)など、また、企業では不動産のほか、航空機や列車などを対象としたものがよく知られています。

金融機関などでローンを組む場合、お金の使途を限定されるケースが少なくありません。

しかし、ハウスリースバックだとある程度まとまったお金をスピーディーに、しかも使途を限定されることなく使えるのが大きな特徴です。

例えば個人を対象としたハウスリースバックの場合、次のようなときに有力な選択肢となり得ます。

・生活のためのお金が不足している
・事業のためなどでまとまった資金を捻出したい
・老後の生活費を確保したい
・子供の学費を作りたい
・病気や怪我などで想定外の治療費が入用になった
・家を売りたいが引っ越しできない事情がある
・借金をきれいに片付けてしまいたい
・財産をお金という形で残したい
・不動産担保ローンやリバースモーゲージが条件に合わなかった

リースバックの仕組み

まずは個人の住宅を例に、リースバックの仕組みを見ていくことにしましょう。

ハウスリースバック

ハウスリースバックは住居を不動産会社など第三者に売却し、新しい持ち主になる方との間でその住居についての賃貸契約を結び、月々家賃を支払いながらその家に住み続けるという仕組みです。

ハウスリースバックの利用者側から見た場合、一般的には次のような流れになります。

①不動産会社などに自宅を売却し、賃貸契約を結ぶ
②売却代金から手数料などを差し引いたお金を一括で受け取る
③月々の家賃を支払いながらその住宅に住み続ける

住居の持ち主が代わりますので、売った側から見ると「所有」から「賃貸」という形態になります。ただ、形態が変わるだけで、現在住んでいる住宅に引き続き住み続けることができるというのがリースバックの大きな特徴になります。

自動車にもリースバックがある

不動産だけでなく、自動車を対象としたリースバックも行われています。

自動車の場合も住宅と同様に業者に買い取ってもらい、その後はリースという形で同じ自動車に乗り続けることができます。

毎月リース料の支払いは必要となりますが、メンテナンスの費用や車検費用、税金などといった維持費は全てリース会社が負担。月々の出費をほぼ一定にできる点にメリットがあります。

自動車のリースバックは個人を対象としたものの他、業務用の車を対象としたサービスも行われています。

リースバックのメリット

新たな資金調達方法として注目されているリースバック。では住居を対象としたハウスリースバックにはどのような利点があるのでしょうか。

リースバックの数々の特徴から、まずはメリットとなる点から見てみることにしましょう。

売却後も住み慣れた家に住み続けられる

長く住み慣れたマイホームは愛着のあるものなので、これを手放すのは心理的に大きなストレスとなりかねません。

しかしリースバックであれば、家を「所有する」から「借りる」に形が変わるだけ。今までの暮らしに大きな変化が出るわけではありません。

ライフスタイルも変わらずそのまま

引っ越しはライフスタイルの変化にも繋がります。お子さんがいれば転校の必要が生じる可能性が高いですし、通勤が今より不便になることも考えられます。

でもリースバックなら今住んでいる家に住み続けられるので、これらの心配をする必要がありません。今まで通りのライフスタイルをそのまま続けることが可能です。

引っ越しの手間、費用が不要

引っ越しするとなると新しい住居や仮住まいの場所を探さなくてはならなくなりますが、都合の良い物件がすぐに見つかるとは限りません。家族構成、年齢やペットの有無などで、引越し先の選択がより難しくなるケースもあるでしょう。

リースバックであれば引っ越しする必要がないので、これらの面倒が一切ありません。また現実問題として引っ越しにかかる費用も不要になりますし、保証人をお願いする必要もなくなります。

将来的に買い戻しが可能

リースバックを契約する際に買取特約が付帯されていた場合、希望すれば自宅を買い戻すことが可能になります。

そのため、事情があって現在は苦しいけれど、将来的には経済状態が回復するとわかっている場合などにもリースバックは適していると言えます。

売却代金は自由に使える

金融機関からお金を借りる場合、使途に制限を設けられていることが少なくありません。例えば事業資金、投資資金としては使えない、などといった具合です。

しかしリースバックで得たお金には使途の制限が一切なく、ご自身の好きなように使うことができます。

生活資金として使えば生活に余裕が持てますし、必要なものを買ったり旅行に行ったりと自由に利用が可能です。

もちろん借金の返済や事業資金、投資資金に充ててもOKです。

代金は一括で受け取れる

リースバックで得た家の売却代金は、賃貸契約にかかる諸費用などを差し引いて、一括で受け取ることができますので、まとまったお金が一度に必要なときにもリースバックは適しています。

リースバックは入金までの期間も短い

現金化までの期間が比較的短いのもリースバックの良い点です。

住宅を売却しようと思ってもなかなか買い手が見つからないことは珍しくなく、そうなるとお金を手にするまでには長い時間を要することになってしまいます。

しかしリースバックであれば業者などが買い取るため、取引がスムーズに進みます。

入金まではだいたい30~40日程度となるケースが多いのですが、業者によってはさらにスピーディーな取引を謳っているところも少なくありません。

リースバックなら住宅の維持費が不要になる

住宅が所有から賃貸になることで、例えば固定資産税や火災保険、マンションであれば管理費や修繕積立金など、住宅の維持費がかからなくなります。

これらの費用は以降、新たに家の持ち主になった方が支払うことになるからです。

最も顕著な例は災害などで建物が被害を受けて修繕が必要になったときでしょう。

この場合にも借りている側ではなく、家の持ち主が費用を負担することになります。

このケースでは恐らくかなり大きな出費になるはずですが、住んでいる方が負担をしなくて済むわけです。

もちろん月々の賃貸料の支払いは必要になりますが、逆に言えば支払いはそれだけになるため、毎月の出費がほぼ一定になり、生活設計がしやすくなるとも言えるでしょう。

リースバックは対象物件のタイプを問わない

リースバックは対象となる物件に制限がありませんので、一軒家でも良いですし、マンションでも大丈夫。

また、リースバックは住宅に限らず、事務所や工場などでも問題ありません。

住宅ローンが残っている物件でもOK

住宅ローンがまだ残っている物件であってもリースバックは可能です。

ただし売却時に抵当権を抹消しなければならないため、査定価格よりも住宅ローンの残債が少ない場合に限られます。

利用者にも大きな制限なし

リースバックの契約に年齢や収入による制限は設けられていません。過去に住宅ローンの支払いに延滞があった方でも、リースバック契約は可能です。

※ただし賃貸契約が可能となる程度の安定した収入は必要になります。

家の売却が周りにバレない

不動産会社を通じて家を売却する場合、情報がチラシや雑誌、サイトなどで公開されてしまうため、本来ならあまり知られたくない経済状態をあれこれ詮索されることにもなりかねません。

しかしリースバックであれば、所有者と業者との間だけで取引が行われます。引っ越しもせずそこに住み続けるわけですから、家を売ったことが周囲に知られることはまずなく、プライバシーはしっかりと守られます。

もちろん後日、家を買い戻しても、周りに気づかれることはないでしょう。

リースバックは業者側にもメリットがある

また、業者側にとってもリースバックはメリットがあります。

不動産会社としては買い取った住宅がいつまでも空き家になったままというのが一番避けたいところでしょう。

でもリースバックであれば、買い取ってすぐ借り手がいる状態になります。しかもしばらくそこに住み続ける方が多いので、その間は安定して家賃収入が入ってくることになります。

また後述しますが、その後の買い戻しや転売で、さらなる利益を生む可能性も考えられます。

リースバックのデメリット

リースバックはメリットが多くある一方で、思い違いや状況の変化などで「こんなはずではなかった」ということも起こりがちです。

大切な財産であるマイホームが絡むことですので、リースバックにはどんなデメリットがあるのかを良く理解したうえでの選択が重要です。

名義が業者のものになる

売却することで自宅の名義が新しい持ち主のものに変更されることになります。

また、そこに住み続けるといっても手放したことには変わりないので、後に買い戻さない限り子供に家を残すことができません。

せっかく手に入れたマイホーム、やはりこの点は残念なことと言えるのではないでしょうか。

リフォーム等も不可に

また、あくまでも賃貸住宅になるわけですから、これまでのように自由にリフォーム、改築、増築、リノベーションなどを行うことはできなくなります。

壁紙を変えて模様替えといった小さなものから地震に備えた耐震リフォームなどの大きな工事まで、好きなときに好きなようにできるのは、やはりマイホームならではと言えるでしょう。

リースバックだと売却額が相場より安くなる

リースバックを選択する前によく理解しておかなければならないことのひとつに、住宅の売却額が相場よりも安くなるケースが多いという点です。

これは住宅の一般的な売買に比べ、業者側にいくつかのリスクが生じるからです。

・賃貸契約中、家賃を滞納されるリスクがある
・リースバックが終了した時点で住宅の価値や地価が下落しているリスクがある
・後に買い戻しになる可能性があるため、住宅を自由に売ることができない
・買い戻される場合、そのタイミングが借り主の都合次第になる

リースバックでの買取価格は業者や物件の状態などにもよりますが、相場の6~8割ほどとなることが多いようです。

例えば通常の買取価格が1,500万円になるものであれば、リースバックした場合の買取価格は900~1,200万円程度と計算されます。つまり300~600万程度安くなってしまうんですね。

スピーディーに、しかも一括でお金が手に入るのは良いのですが、受け取れる額にこれだけ差があると、「普通に売ったほうが良かったのでは」と後々後悔する方も少なくないかもしれません。事前に業者に見積もりをとってもらい、慎重に検討することをお勧めします。

リースバックには手数料がかかる

住宅の売却には不動産会社に手数料を支払うことになりますし、賃貸契約には敷金や礼金、その他事務手数料等が発生します(金額は業者によって異なります。一部不要な場合もあります)。

実際の入金は住宅の売却額からこれらの手数料を差し引かれますので、振込額を見て「思っていたより少ない!」ということになるかもしれません。手元に残るお金はいくらなのか、事前にしっかり計算しておきましょう。

月々家賃が発生するようになる

賃貸になるのですから、当然ながら月々の家賃の支払いが発生することになります。しかしここで注意しておかなければならないのは、家賃も同地域の相場より高くなるケースが多いということです。

というのも、家賃設定が相場ではなく、買取価格がベースになるからです。支払家賃(=年間の利回り)は7%~13%程度に設定されることが多くなっています。例えば買取価格が1,200万円、利回りが10%だったとすると、

 1,200万円×10%÷12ヶ月=10万円

となり、毎月の家賃は10万円となるわけです。

ただ、家賃設定は新たに所有者になる側に考え方ひとつですし、ある程度は周囲の相場を考慮するという業者もありますので、どこで契約するかによって家賃に大きな差が出てくることも考えられます。

可能であれば複数の業者に相談し、比較してみるのが良いでしょう。

家賃が値上がりする例も

家賃はずっと同一金額であることが保証されているわけではなく、経済状況の変化などによって、途中で家賃が上がることもあります。これはリースバックも一般的な賃貸契約も変わりありません。

賃貸契約に期限があるものがある

リースバックの賃貸契約は「定期賃貸借契約」と「普通賃貸借契約」の2種類があります。

▼定期賃貸借契約
借りる期間があらかじめ決まっている契約です。期間は2~3年となっていることが多く、期限が来たら退去しなければならないケースと、何度でも再契約して住み続けられるケースがあります。ただ後者も再契約を拒否されることがあり、ずっとその物件に住み続けられると確約されているわけではありません。

▼普通賃貸借契約
一般的な賃貸契約で、こちらは借り手が希望すれば同じ物件に続けて済むことが可能です。

この2つの取り扱いについては業者により、どちらか都合の良い方を選べることもあれば、あらかじめどちらかが決められているケースもあります。

ですので、もし「ずっと住み続けたい」という希望があるのであれば、普通賃貸借契約を結べる業者を選ばなくてはなりません。

定期賃貸借契約は「今すぐではないが、将来的には引っ越し(住み替え)を考えている」方、もしくは「契約満了時には住宅を買い戻せるだけ資金が調達可能」な方のみ適していると言えるでしょう。

ただ、定期賃貸借契約はもちろんのこと、普通賃貸借契約であっても家賃の滞納があると、賃貸契約を打ち切られてしまう可能性があります。ざっくりとしたイメージで「家を売っても一生住み続けられるから大丈夫」と思うのは危険です。

買い戻し価格は売却額より高くなる

住宅を買い戻す場合、手放した時の売却額よりも高い金額になることも知っておかなければなりません。

一般的には買取額は売却額の1.1~1.3倍程度で計算されます。さきほど家を1,200万円で売却した事例をご紹介しましたが、この場合には1,320~1,560万円支払わないと買い戻せないということになります。

これが通常の売買だと、築年数が経てば経つほど物件の価格は安くなるはずですが、リースバックの場合には家を売ってから何年経っていても、売ったときの価格をベースに計算されるんですね。

売却時からの経年劣化は反映されないうえに価格もかなり高くなるというのはなんとも割り切れないところです。

実際のところ、価格がネックになって家の買い戻しを諦める例は少なくないようです。

買い戻しを想定して高い家賃を延々と支払ったものの、結局お金が貯められず、泣く泣く引っ越し……となったのでは厳しいことこの上ないので、資金計画はしっかりと立てておく必要があります。

新しい所有者とトラブルになることがある

リースバックで自宅を売却した方と新しい所有者との間で、最近下記のような事例が多発しているといいます。

・家賃を上げられた
・買い戻しの価格を引き上げられた
・買い戻すはずだった家を勝手に売却されてしまった

このようなトラブルを避けるためにも、信頼のおける業者との間でしっかりとした契約を結んでおくことが大切です。

例えば買い戻しを予定しているかどうか、また買い戻しできない場合にはどうするのかなどについて事前に認識をすり合わせておき、口約束でなく書面で契約を結んでおきましょう。

業者が倒産するケースも…

契約していた業者が倒産した場合、住宅が差し押さえを受け、売却される可能性も出てきます。

その場合、引き続きその物件に済み続けられるのか、それとも退去しなければならなくなるのかは新たな持ち主次第となりますので、契約時には予測ができません。

このように、リースバックには不透明な面もあり、ずっと住み続けられることが確約されているわけではないことを知っておきましょう。

リースバック取扱業者が少ない

そもそもリースバックを扱っている業者は、現在のところそれほど多くないのが実情です。多くの業者が扱っていれば比較検討もたやすいのですが、それができないとなると、満足できる契約が結べない可能性も高まります。

リースバックは最近になって注目されてきた形態なので、今後取り扱う業者が増えてくることを期待したいところです。

住宅で資金調達できるリースバック以外の方法

自宅にそのまま住みながら資金調達できる手法として、ハウスリースバックとよく比較されるものに「リバースモーゲージ(リバースモーゲッジ)」があります。

住み慣れた自宅にそのまま住み続けられる点では同じですが、リバースモーゲージはハウスリードバックとは全く異なるシステムなので、どちらがより自分に合っているのかを慎重に検討する必要があります。

この項ではリバースモーゲージの他、住宅を売却することで資金を調達する方法などもご紹介します。

リバースモーゲージとは?

リバースモーゲージとは自宅を担保に自治体や銀行などからお金を借りられる金融商品のひとつです。

高齢者向けの商品として紹介されることが多く、実際、60歳以上、65歳以上などといったように利用できる年齢の下限が決められているものが少なくありません。

リバースモーゲージでは融資枠が設定され、その枠の中から毎月(または毎年)年金という形で一定のお金を受け取れるのが一般的ですが、契約によっては初期に一括一時金として受け取れたり、必要なときに必要な額を借りられるものもあります。

受け取ったお金の使途は生活資金や施設への入居資金などとして利用されることが多く、事業資金、投資資金としては利用できないことがほとんどです。

借入期間の完了は、「あらかじめ設定されていた契約期間が満期を迎えたとき」と「契約者が亡くなったとき」のどちらか早い方になります。また返済は商品により、

・借入期間内は利息分だけ支払い、元金分は借入期間終了後に一括返済
・利息分も含め未払いのまま、借入期間終了後に一括返済

の2通りがあります。

後者であれば、借入期間中は返済が一切発生しませんし、前者でも少額で済むため、生活に余裕が生まれます。

返済は現金でも良いのですが、実際には担保となっていた住宅を競売にかけ、その代金を返済に充てる例が多く見られます。

リバースモーゲージのデメリット

リースバック同様、リバースモーゲージにもいくつかのデメリット、リスクがあるため、それらをよく理解したうえで契約する必要があります。

長生きして契約満期が来てしまう

長生きするのはおめでたいことではあるのですが、先に契約満期を迎えた場合のリスクも考えておかなければなりません。この場合、これまで支払われていた月々の年金が受け取れなくなるだけでなく、返済のために住まいを手放さなければならなくなるため、即、生活に困るという事態が想定されます。

担保物件の評価額の下落

担保となっている住居の価格は定期的に評価し直されます。そのため、もし途中で価格が下落した場合には、融資枠が削られたり、それ以降の融資が停止されたりする可能性があります。

担保物件の担保割れ

返済する際、返済しなければならない金額より売却額が下回る可能性もあります。この場合には住居を失ったうえに借金が残ってしまうという非常に難しい状況になってしまいます。

リースバックとリバースモーゲージとの比較

ハウスリースバックとリバースモーゲージはどちらも自宅を手放すことなく資金を調達できる方法ですが、しかしその内容は以下のようにかなりの差があります。

リバースモーゲージ リースバック
仕組み 売却した不動産を賃貸契約 不動産を担保に融資を受ける
対象物件 制限なし。工場、事務所等も可 戸建て(マンションは不可の場合も)
資金の用途 自由 投資・事業資金は不可(金融機関による)
売却代金の受取 一括 月々一定額、または一括など
契約終了後 退去または買い戻し 売却または借入金を一括返済
物件の所有者 売却先(不動産会社など) そのまま
固定資産税の納税義務 なし あり
年齢条件 なし あり(60歳以上など下限が設けられていることが多い)
家族の同居 可能 配偶者のみ

 

まず大前提として、リースバックとリバースモーゲージは全く違う仕組みです。

リースバックは「不動産取引」で、売った物件に賃貸として住み続けるというものですので売却して入手したお金はその方がどう使おうと自由ですし、話がまとまるなら将来的に家を買い戻すことが可能です。

リースバックは賃貸に住むわけですから、月々の家賃の支払いが発生します。

一方のリバースモーゲージは「融資」で、不動産を担保にしてお金を借りるものです。

借りたお金の使い途は生活費、医療費などある程度限定されたものになります。

借りたお金の返済は契約者が亡くなった後というケースが多く、その代金はそれまで住んでいた住宅を売って捻出することを前提として契約が交わされることが多いようです。

しかしそれまでは持ち家ですので、当然、家賃の支払いは発生しません。

この他、リースバックはそのまま家族との同居が可能ですが、リバースモーゲージは原則として配偶者としか同居できないところは大きな違いと言えるでしょう。

また、リースバックは対象とされる物件にほとんど制限がありませんが、リバースモーゲージは一戸建て、土地は契約できてもマンションは対象外になるなど、条件が厳しいところにも違いがあります。

さらにもうひとつ、リースバックでは通常の売却よりも価格が安くなりますし、リバースモーゲージの融資上限は不動産の査定額よりも低い金額に抑えられるため、これらは共通のデメリットであると言えます。

ただしリースバックとリバースモーゲージとの比較では、リースバックのほうが多額の資金を調達可能である点は覚えておきたいところです。

リバースモーゲージが合う人は?

リースバックの場合、自宅が一旦他人の手に渡ってはしまいますが、後々買い戻すことが可能です。しかしリバースモーゲージはその逆で、しばらく自宅を手放すことはなくても、将来的には売却される可能性が極めて高いという点に大きな違いがあります。

ですので、現在一時的に資金不足に陥っているものの、将来的には買い戻せる見込みがあるならリースバックが勧められますし、後々の売却を前提に生活資金をまかないたいという場合にはリーバースモーゲージが適していると言えるでしょう。

いずれにしてもメリット、デメリットがそれそれにあるので、よく比較検討するようにしてください。

住宅を使ったその他の資金調達

住宅を利用して資金を調達する方法は、リースバックやリバースモーゲージ以外にもいくつか存在しています。

不動産担保ローン

自宅などの不動産を担保に融資を受けるもので、比較的大きな額の資金調達が可能です。お金を借りた後には月々、元本+利息分の返済が生じる点がリバースモーゲージとの大きな違いです。

売却

不動産を売ることで資金を調達します。通常、不動産会社に依頼し、買い取ってくれる方を募ることになります。この場合、リースバックとは異なり相場価格で売却することが可能ですが、いつ売れるのか、買い手が見つかるのかがそもそもわからないのが難点です。

不動産を売却した場合、当然ながら所有権は新しい持ち主に移動しますし、現在住んでいる住宅であれば引っ越しが必要になります。

競売

住宅ローンを6ヶ月以上長く滞納した場合に行われるのが競売です。債権者が裁判所に申し立てを行い、裁判所が強制的に不動産を売却、その売買代金から債権を回収するという仕組みです。

競売は住宅などの状態を細かく確認されないまま行われることになるため、市場価格よりも売却額が低くなるケースが少なくありません。

当人にとっては非常に割が悪いうえ、住処を失うことになるわけですから、なんとしても競売という事態になる前に手立てを考えたいところです。

任意売却(任売)

住宅ローンの支払い滞納により行われる競売を避け、債権者である金融機関との合意のうえで債務者が自身の不動産を売却するものを任意売却(任売)といいます。任意売却であれば競売よりも高値での売却が期待できます。

ただし、競売入札が開始されると任意売却は不可能になるため、それまでに各所との調整を済ませる必要があります。住宅ローンの支払いが今後難しくなりそうだとわかった時点で、早めに手を打つべきでしょう。

任意売却の場合でも当然、所有権も物件も手放すことになります。もちろん住居からは退去を余儀なくされ、別に住居を用意して引っ越しするという形になります。

※なお、このところリースバックを任意売却のひとつの形として推す業者も登場しているようです。リースバックであれば、住宅ローンの滞納があっても自宅に住み続けることが可能、というわけです。

ただし滞納があるなら契約に債権者の同意が必須ですし、すでに差し押さえとなった状況ではリースバックはできません。

また、住宅ローンの支払いが現時点で何ヶ月も滞っているのに、高めに設定される家賃をこの先支払っていけるのかという問題も残ります。

業者としてはリースバックのほうが安く住宅が手に入るとの思惑があるようですが、利用者側とすると現実問題として先々立ち行かなくなるケースも想定されるので、よく検討を重ねてから決定するようにしてください。

リースバックの利用事例

リースバックの利用事例の中から代表的なものをご紹介します(内容はこちらで編集しています)。

「不慮の事故で大怪我をしてしまい、医療費と生活費の捻出が必要になりました。ただ、治癒すればまた働けるようになるので、収入の回復が見込めます。将来的に売却した家を買い戻せるということでリースバックを選択しました」
「個人事業主です。銀行で融資が受けられず資金繰りに困っていました。リバースモーゲージは条件に合いませんでしたし、住宅を売却することも検討しましたが、すぐに買い手が見つかるわけではありません。その点リースバックなら1ヶ月もあれば資金を調達できますし、引っ越ししなくて済むのも大きなメリットでした」
「不況でボーナスの支給がなくなり、住宅ローンの支払いが困難になったため、リースバックすることにしました。子供はまだ就職したばかりですが、数年も経てば収入が増えてローンが組めるようになりそうなので、その際には家を買い戻そうと話し合っています」
「リタイア後、一人住まいで生活しているため、自分の死後はこの家に住む人がいません。自分が元気なうちに家を現金化しておけば、後に残された者が家を処分する手間が省けますし、財産の分割もわかりやすくなります。葬儀費用や相続税の支払いにも役立つでしょう。もちろん売却後にずっとこの家に住めるのも良い点です」
「住み替えの際にリースバックを利用しました。まとまったお金がすぐに入るので資金の足しにできますし、家を売った後も新しい住居に移るまで住み続けられるので、仮住まいを見つける費用も手間も節約できました。ただ、普通に売却するのとどっちが得だったかな?という気持ちが残っているのも正直なところです」
「離婚した際、元夫名義だった自宅をリースバックし、わたし(元妻)と子供でしばらく住み続けることになりました。すぐに引っ越し費用を捻出するのは難しいですし、新しく賃貸を探すのも大変です。何より子供の転校を避けたかったので助かりました」
「配偶者と死別しましたが、相続税を納めるだけのお金を用意するのが難しかったので、リースバックを選びました。売った後も住み慣れたこの家に住めるのが決め手になりました。家を売ったお金で無事相続税も納入できました」

リースバックの流れ

業者によっても多少の違いがありますが、リースバックの手続きは概ね次のような流れになります。

1.リースバックを扱う不動産会社などで相談、机上査定を受ける
物件の状態を聞き取り調査。合わせて希望の売却額や想定している家賃などを訊かれます。業者側からも買取額や家賃が提案されるので、それを元に条件をすり合わせます。

2.物件の調査・査定を受ける
現地で実際に物件を細かくチェックされ、具体的な売却額や家賃などが改めて提示されます。

3.リースバック契約締結
双方が合意すれば売買契約、賃貸契約が交わされることになります。リースバック契約の際には買い戻しを希望した場合のことや、賃貸の中途解約の可否、退去する際の原状回復の条件など、細かなことまでしっかり確認しておきましょう。

4.売買・賃貸契約成立
契約が成立し、住宅の所有権が移転。これより自宅の所有から賃貸へと変わります。住宅を売却した代金が一括で振り込まれます。

5.家賃の支払い開始
月々の家賃の支払いが開始されます。

6.(希望する場合)住宅を買い戻す
契約時に買取特約があれば、希望により住宅の買い戻しが可能です。

リースバックに審査はある?

リースバックの契約に際して、ローンを組むときのような信用情報をベースにした審査は行われていません。

そのため、これまでにクレジットカードの支払いを長期滞納したなどの金融事故を起こしたことがある方や、債務整理、自己破産の経験がある方でも契約を結ぶことは可能です。

ただし賃貸契約を結ぶわけですから、そちらに関しての審査は行われ、月々の家賃が継続して支払えるだけの安定収入があるかどうかはチェックされることになります。

家を売ることで一時的に経済状態が改善しても、それをすぐに使い果たして生活に困窮することが明らかであれば、契約を断られてしまいます。

とはいえ、正社員として働いていないといけないというわけではなく、パートや派遣社員などの非正規雇用でも問題ありません。また、収入が年金であっても認められることが多いようです。

ローンが残っているとリースバックは契約不可?

リースバックは住宅ローンが残っていても契約可能ですが、ローンの残高によっては契約できない場合もあります。具体的には売却価格が住宅ローンの残高を下回るケースです。

住宅ローンが残っているということは、不動産売買の権利となる抵当権を金融機関が持っていることを意味します。しかしローンの残高が多いと売却してもローンが残ってしまう状況になるため、抵当権が抹消できないことになるからです。

ただしローン残高との差を現金などで支払えるのなら話は別で、リースバック契約は可能になります。

不動産が共有名義の場合

リースバックが契約できないケースをもうひとつ。対象の不動産が共有名義の場合には、名義人全員が同意しなければリースバックの契約を結べません。もしひとりでも反対する方がいればリースバック契約は不可となります。

リースバックを扱っている不動産会社

現在リースバックを扱っている代表的な不動産会社とそのサービス内容を簡単にご紹介します。

ハウスドゥ

全国展開をする大手不動産会社ハウスドゥでは個人向けに「ハウス・リースバック」、法人向けに「アセット・リースバック」を展開しています。

ハウス・リースバックでは売却後、長期間の居住が可能。1ヶ月でも20年でも、選択権は利用者にあります。買取代金は最短5日、平均40日で支払われます。

ピタットハウス

全国に650店舗展開する大手不動産会社ピタットハウスもリースバックを取り扱っており、エリアによっては提携不動産業者が買い取りを行います。

セゾンファンデックス

セゾングループのセゾンファンデックスが行うリースバックで、戸建て、分譲マンションが対象となっています。リースバックの事務手数料、礼金不要(敷金は1ヶ月分)、賃貸借再契約手数料は不要。

センチュリー21

「リースバック 売っても住めるんだワン!!」として全国主要都市で展開。対象エリアから外れている場合には提携企業が買い取ります。定期建物賃貸借契約終了後は、「期間満了による退出」、もしくは「再契約による居住延長」のどちらでも選択可能です。

大成有楽不動産販売

大成有楽不動産販売の「リースバックサービス」は、個人の居住用のマンションのみを対象としています。また、賃貸契約は1~5年以内の定期賃貸借契約となるため、売却後に住み続けられるのは最長5年間となります。

インテリックス

リノベーションを得意とする業者が提供するリースバックサービス「あんばい」は、賃貸継続のための再契約回数に制限がなく、住み慣れた今の住居に長く住み続けることも可能です。

SBIスマイル

SBIホールディングスのグループ企業が提供するリースバック「ずっと住まいる」は、売却後の賃貸契約は更新が可能で、再契約手数料は無料。契約終了後まで家賃の変動なしが確約されています。また退去する場合は引越し費用(の相当額)を出してもらえます。

<おわりに>

リースバックには、

・まとまったお金を比較的スピーディーに、しかも確実に調達できる
・売却した後も住み慣れた家にそのまま住み続けられる
・希望すればその後で家を買い戻すことが可能

などといったメリットがありますが、向き不向きがあり、決して全ての人におすすめできるタイプの商品ではないのもまた事実です。

リースバックのメリットやデメリットを十分に確認し、ご自身の事情に合うのかどうかをしっかり把握したうえで利用を決めるようにしてください。


 
 

この記事の監修者・専門家

この記事の監修者 この記事の監修者は、株式会社タンタカの代表取締役「丹野貴浩(⇒プロフィールはこちら)」で、簿記1級の資格を持ち、10年以上、クレジットカードやローンなど金融系のWEBメディアを運営・管理している金融メディア運営の専門家。

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