債権回収会社(サービサー)とは?催促・取り立て方法も解説

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債権回収会社(サービサー)とは?催促・取り立て方法も解説
債権回収会社ってなんだか怖い名前ですが、本当にしっかりとした会社なのでしょうか?

借金がどんな状況になったら債権回収会社が登場するのか、債権回収会社(サービサー)からの連絡や催促を無視したらどうなってしまうのか?など、債権回収会社の催促・取り立て方法も解説します。


もくじ

債権回収会社とは?

まず「債権」ですが、債権は債権者(お金を貸した方)が債務者(お金を借りた人)に対して、返済請求することができる権利のことです。

消費者金融からの借金の場合は、消費者金融が債権者で借主が債務者になりますね。この関係性では、まだ債権回収会社の関与はありません。

債権回収会社は、委託された金融機関からの特定金銭債権の管理や回収を行う民間の債権管理回収専門業者です。

法務大臣の許可を得ていて、「サービサー」とも呼ばれています。

以前の日本では、弁護士法によって弁護士以外の人が債権回収業務を行うことはできませんでした。しかしバブル崩壊によって弁護士だけでは手に負えないほどの不良債権が発生してしまったのです。

そこで1999年に「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」が生まれて、民間の会社でも債権回収が行えるようになったのです。

<参考>:債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)

債権回収会社(サービサー)が法務大臣の認可を受けられる条件

債権回収会社は法務大臣の認可を得るには一定の要件があります。

・資本金が5億円以上の株式会社であること
・取締役に1名以上弁護士が所属していること
・暴力団と一切の関りがないこと

平成30年6月29日時点で認可を受けているのは80社になります。

<参考>:債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧 -法務省-

偽の債権回収会社にご注意を!

法務大臣の認可を得ていないのに、債権回収会社を偽装して取り立てを行う悪質な業者からの被害が消費生活センターや法務省に寄せられています。

架空債権の請求は詐欺なので、もちろん払う必要はありませんし、関りを持ってはいけません。

心当たりのない請求を受けても、こちらから悪質業者に連絡して「心当たりがありません」と伝える必要もありません。

名前や住所などの個人情報を握られないように、連絡は徹底的に無視して、悪質だと感じたら警察に相談しましょう。

法務省が公開している「債権回収会社を詐称している等との情報の提供があった業者名」も確認してみて下さい。

<参考>:債権回収会社を詐称している等との情報の提供があった業者名の例一覧(PDF)

債権回収会社(サービサー)が取り扱える金銭債権

債権回収会社が取り扱うのは、企業が行っている貸付の債権回収になります。そのため、個人間での貸し借りには関与していません。

・金融機関等が有する貸付債権
・リース・クレジット債権
・資産の流動化に関する金銭債権
・ファクタリング業者が有する金銭債権
・法的倒産手続中の者が有する金銭債権
・保証契約に基づく債権
・その他政令で定める債権

一般社団法人 全国サービサー協会「特定金銭債権とは」より引用

銀行カードローン、消費者金融などの貸金業者は「金融機関等が有する貸付債権」に該当します。

債権回収会社(サービサー)はいつ登場するの?

消費者金融や銀行カードローンでお金借りる場合、債権はもともとお金を貸した貸金業者にあるので、最初から債権回収会社が関わっているわけではありません。

そして、貸金業者が自分たちではこれ以上の回収は難しいと判断をした時点でも、まだ債権回収会社の出番ではありません。

銀行カードローンには保証会社がついていて、消費者金融は自社が保証会社の役割も担っています。

返済が滞るとまずは保証会社が貸金業者に「代位弁済」を行います。これは保証会社が債務者に代わって借金の返済をすることなのですが、代位弁済が行われると、債権はまず、貸金業者から保証会社に移ります。

保証会社からの督促で返済を行った場合は、債権回収会社は登場しません。ここからさらに延滞が続いたら債権回収会社の出番となります。

消費者金融や銀行カードローンの返済は、本来なら毎月1回約定返済額を返していけば良いのですが、代位弁済が行われた時点で全額一括返済することとなります。

返済が滞るほど利息と遅延損害金が日割りで増えていきます。(遅延損害金が発生しないカードローンもあります)

債権回収会社は依頼主から債権を買い取って回収業務にあたると言われています。債権回収に特化した企業なので、法律にも詳しいですし最終的には強制執行も行います。

なお保証会社と違って、債権回収会社が借金を返済することはありません。

債権回収会社(サービサー)の取り立て方法

債権回収会社が行う取り立ての方法は、借金の額や返済が滞っている期間などによっても変わるのですが、一般的にはハガキでの督促から始まります。

1.ハガキや書面で催促状が届く

ハガキ、書面、または電話での催促から行われるのが一般的です。

債権回収会社に債権が移ると、最初に貸金業者から「〇〇というところに債権譲渡、回収処理の業務を委託しました」などと連絡がきたり、債権回収会社から「債権譲渡通知書」が届くこともあります。

いずれの場合も、債権回収会社に債権が譲渡されたことをお知らせする通知です。

ちなみに法務省の認可を受けた債権回収会社がハガキで請求や督促を行う場合、必ず目隠しシールのあるハガキを使用します。

以下のような場合は債権回収会社を偽った悪質業者の可能性もあります。

・目隠しシールのないハガキでの請求・督促
・連絡先に多数の電話番号を列挙している
・担当者の連絡先が固定電話ではなく携帯電話
・回収金の振込先が個人名義の口座になっている

心当たりがないのに債権回収会社からの催促状が届いたら、まずは認可を受けている債権回収会社かどうかを確認してみて下さい。

2.職場に電話、自宅訪問があることも

携帯や自宅にかかってくる電話を放置しておくと、勤務先に電話がかかってくることもあります。また、電話を無視している状態が続くと、自宅に直接訪問されることもあります。

ただし、これらは携帯への電話連絡の無視を続けているような、債務者の方が悪質な場合に行われる処置になります。

かかってきた電話にはきちんと対応して、利息だけでも返済を行っていれば職場や自宅に連絡がくることはまずありません。

3.裁判

電話連絡がとれない、自宅を訪問しても応対がないなどの場合は、裁判所に訴えをおこして給与や財産を差し押さえる裁判を起こされることになります。

裁判とか差し押さえって滅多なことがないと実行されないと軽く考えがちですが、やるときはやります。

消費者金融や銀行カードローンはお金を貸すことのプロですが、取り立ての専門家ではありません。債権回収のためだけに存在する会社に債権が移った時点で、この最終段階に向かって動き始めたと言えるでしょう。

債権回収会社(サービサー)に債権譲渡しても借金の時効は適用される?

銀行カードローンや消費者金融からの借金には5年という時効期間があります。言い方は悪いですが、5年間逃げ切って「時効の援用」の手続きを行えば、お金を貸している側の権利が消滅して借金を帳消しにすることができるのです。

理論上は債権回収会社からも5年間逃げ切って時効援用を行えば、借金がなくなるわけです。

しかし、これを実現するのは大変難しいですし、犠牲となるものも大きいでしょうね。

債権回収会社の取り立てに関しては、「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」によって規制があり、闇金の取り立てのような恐喝のようなことはできないようになっていますが、素人の債務者では太刀打ちできないでしょう。

債権回収会社も時効援用が行われないように様々な方法を使ってきます。

借金の時効は債務があることを認めたり、1円でも返済をすると、その時点で1度中断されます。

例えば督促状が届いたときに「〇月〇日までには払いますから・・・」等と連絡をすることも時効中断の対象となってしまいます。

この他にも訴訟を起こすなど、時効を中断させる方法はいろいろあるので、債権回収会社はあらゆる正攻法を使って債権の回収を迫ってきます。

裁判所を通した訴状や支払いの督促を無視していると、時効成立どころか債権回収会社の主張が通ってしまうことになるので、差し押さえが実行されるケースもあります。

消費者金融や銀行カードローンには保証人をつける必要がないので、債権回収会社が債務者以外の人に取り立てを行うことはありませんが、自宅に何度もハガキが届きますし、電話がかかってくることもあります。

借金の時効が成立するまで秘密にしておくことはほぼ不可能でしょう。債権回収会社からの取り立てで時効を狙うようなことはやめておきましょう。

債権回収会社(サービサー)が出てきたけど払えないときは?

債権回収会社に債権譲渡されても、払えないものは払えないですよね。

しかし借金を返済しないことには督促は止まらないですし、最終的には裁判となって差し押さえになってしまいます。

債権回収会社からの督促を止める方法は2つしかありません。

返済をすれば債権回収会社(サービサー)からの催促は止まる

ひとつは返済を行うことです。当たり前ですが、借金を返済すれば督促は止まります。

支払督促申立書が届く前の段階であれば、債権回収会社に直接交渉して分割払いの方法を相談するという手段があります。

債権回収会社に電話をして請求通りに支払うのは無理だけど、分割払いであれば返済できることを誠意をもって伝えて分割払いを認めてもらう方法です。

しかし、この場合も期限までに支払わなければ状況は悪化します。

裁判所を通して支払督促申立書が届いてしまった場合は、支払督促申立書に対する異議申し立てを行うという方法もあります。

異議申し立てを行うと裁判が始まるのですが、これは強制執行のためのものではなく、返済の方法を明確にする話し合いのような形になります。

借金の減額と分割返済が認められることもありますが、返済日は厳密に設定されます。猶予がもらえることもありますが、返済ができなければ状況が良くなることはありません。

弁護士に依頼すれば催促はすぐに止まる

もうひとつは、弁護士などの専門家に相談をすることです。

弁護士と契約をすると、債権回収会社に受任通知(介入通知・債務整理開始通知)が送られます。これは債権者に「債務者の代理人となって弁護士が債務整理手続を行う」ということを知らせるためのものです。

受任通知はただのお知らせ状ではなくすごい効力があって、受任通知を受け取った債権者は、それ以降債務者に直接の取り立てを行うことができなくなります。

ひとまず状況が落ち着いたところで、分割払いを確実に行っていくのか債務整理に移行するのかを弁護士と一緒に考えることができます。

借金問題がすぐに解決するわけではないですが、直接の取り立てがなくなることで精神的な安心感は大きいのではないでしょうか。

ちなみに、この受任通知の効果は、貸金業者や債権回収会社などに限ったことで、例えばお店同士の取引でできた借金(買掛先など)には適用されません。

まとめ:債権回収会社(サービサー)は本気です

債権回収会社は法務大臣の認可を受けている民間企業です。そのため、脅迫のようなことをしたり、同居している親兄弟であっても債務者本人以外に返済を迫るようなことはしてきません。

しかし、債権回収会社がでてくるということは、事態が最終的な方面に向かって動き出したということです。

催促が怖いからといって連絡を無視するのも、時効を狙って逃げ回るのも得策ではありません。

借りたお金は返すのが当然ですし、無視すればするほど確実に自分の首を絞めることになります。

債権が債権回収会社に移ったら、これまで以上に苦しい立場になったことを自覚して、どうやって返済していくのかをしっかり考えていきましょう。


 
 

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この記事の監修者 このサイトの監修者は、株式会社タンタカの代表取締役「丹野貴浩(⇒プロフィールはこちら)」で、簿記1級の資格を持ち、10年以上、クレジットカードやローンなど金融系のWEBメディアを運営・管理している金融メディア運営の専門家。
   

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