債務整理は【弁護士と司法書士】どちらに依頼する?違いは何?

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債務整理をすることを決意して、安心してお願いできる専門家を探し始めた時に最初に悩むことが「弁護士・司法書士のどちらの方がいいの?」ということだと思います。

「債務整理を依頼するなら弁護士が安心」と言われていたり、逆に「司法書士なら費用も安いし特に不安もありません」などと言われることもあって、迷ってしまいます。

この記事では、
・なぜ弁護士が安心なの?
・ほんとに司法書士でも大丈夫?

など、弁護士と司法書士の“違い”をわかりやすく解説していきます。


もくじ

 

弁護士と司法書士は取り扱いできる範囲が違います

債務整理は弁護士にも司法書士にもどちらにも依頼することができます。

とても大きな違いとして「弁護士と司法書士は、受けることができる債務整理の範囲が異なる」という点が挙げられます。

債務整理全体において、弁護士・司法書士の違いは次にようになります。

弁護士 司法書士
請求できる債権額 制限はありません 1債権あたり140万円以下
訴えることができる裁判所 制限はありません 簡易裁判所のみ
個人再生・自己破産の申立て 債務者の代理人として申立て可能 代理人として申立てることはできないため、書類作成等のサポートを行います。

 

そもそも弁護士と司法書士は、担当している仕事の範囲が異なります。

弁護士は裁判において代理人となることができますが、司法書士は裁判所に提出するための書類を作成するなどの手続きを行うのが主な業務です。住宅を購入する際に不動産登記を行うのも司法書士ですね。

この違いは債務整理でも同様で、弁護士は債権者の代理人になることができますが、司法書士は代理人とはならず「書類作成代理人」として債務整理をサポートすることになります。

なお債務整理は、任意整理個人再生自己破産がありますが、いずれも弁護士・司法書士のどちらにでも依頼することが可能です。

ただし、債務整理の種類によっては司法書士の仕事の範囲に制限があり、弁護士にしかできないお仕事も発生してきます。

▼債務整理の名称と主な内容

名称 主な内容
任意整理 返済額の減額と支払い期限の見直しを債権者に求める交渉を行います。
裁判所は介しません。
個人再生 返済額の減額と支払い期限の見直しを裁判所に認めてもらうことで、大幅な減額ができる手続きです。
返済額は5分の1~10分の1に減額され、3年(最長5年)で返済していきます。
住宅を残して再生手続きを行う方法もあります。
自己破産 裁判所に申し立てを行い、借金を全額免責としてもらうための手続きです。

 

 

「任意整理」における弁護士・司法書士の違い

ここからは、債務整理の種類ごとに弁護士と司法書士の違いを見ていきましょう。

任意整理は債務整理のうち最も利用者が多い方法となります。

任意整理は債権者との任意の交渉によって和解を目指す債務整理なので、弁護士でも司法書士でもどちらでも対応が可能です。

司法書士には依頼できない任意整理のケースもあります

ただし、借入額によっては司法書士には依頼できないケースがあります。

弁護士であれば借入額・件数に関係なく依頼することができますが、司法書士の場合は「個別の債権ごとの金額が140万円以下の場合」のみ依頼することができます。

例1)弁護士にも司法書士にも依頼できるケース1
A消費者金融から100万円借りていて、任意整理したい場合は?
個別の債権が140万円を超えていないため、弁護士にも司法書士にも依頼できます。

例2)弁護士にも司法書士にも依頼できるケース2
A消費者金融から130万円、B消費者金融から70万円借りていて、合計200万円を任意整理したい場合は?
合計額は200万円ですが、個別の債権が140万円を超えていないため弁護士にも司法書士にも依頼できます。

例3)弁護士にのみ依頼可能で司法書士には依頼できないケース
A消費者金融から150万円借りていて任意整理したい場合は?
個別の債権が140万円を超えているため、司法書士には依頼できません。弁護士にのみ依頼可能です。

例4)140万円を超える過払い金が見込まれるときは?
司法書士が受け持つことができるラインは1債権あたり140万円となるため、過払い金が140万円を超えるケースでも案件を受け持つことはできません。

弁護士にはどのようなケースでも任意整理を依頼できます

弁護士には訴額の制限がありませんので、1債権あたり140万円を超えるような任意整理の案件でも依頼することができます。

「140万円を超えるかどうかわらかない」というときも気にせずに任意整理の依頼が可能です。

弁護士に任意整理を依頼するメリットとは?

弁護士に任意整理を依頼するメリットを確認しておきましょう。

借り入れ内容に関係なく依頼できる

弁護士は債権額に関係なく任意整理が可能です。そもそも1社あたりの借り入れ金額が140万円を超えている場合や、過払い金がいくら戻ってくるかわからないといった場合は、弁護士に依頼した方が安心でしょう。

任意整理を得意としている弁護士も多い

弁護士事務所は全国にたくさんあり、任意整理をはじめとした債務整理を得意としている専門家もいます。

また、弁護士と裁判所は関わりが深いため、過去に裁判官を務めたことがある弁護士が気さくに任意整理を受けてくれたり、個人再生の際に裁判所から選任される個人再生委員を務めた弁護士に受けてもらえることもあります。

債務整理の実績が豊富な弁護士であれば、債権者にすでに訴訟を起こされているなどの複雑な案件でも安心して相談できます。

弁護士に任意整理を依頼するデメリットとは?

弁護士に任意整理を依頼することに大きなデメリットはありませんが、しいて言えば、司法書士よりも費用が高いことがあるという程度です。

債務整理の費用の相場が高い

任意整理の費用の相場は債権者1社あたり「50,000円~100,000円」程度となります。

1社あたりの金額なので借り入れ件数が多いとさらに価格が上がりますが、複数割引を設けているところもあります。

任意整理の相場は、一般的に弁護士よりも司法書士の方が安い傾向にあります。

弁護士は案件の内容に関わらず受けることができるので、司法書士と比較すると、債務整理の費用が高めに設定されているのです。

ただし、過払い金返還請求に関しては弁護士も司法書士も同程度の設定になっていることが多いので、弁護士に依頼しても費用面でのデメリットが解消されることがあります。

司法書士に任意整理を依頼するメリットとは?

任意整理を司法書士に依頼するメリットは、やはり費用の相場が低いことです。

債務整理の費用が安い傾向にあります

借り入れ金額が1社あたり140万円以下の場合は、弁護士にこだわらず司法書士に依頼した方が費用を抑えられることがあります。

債務整理の費用の設定は事務所ごとに異なるので、必ずしも司法書士の方が安いとは限らないのですが、相場として安いのは司法書士になります。

ただし、過払い金返還請求は別で、弁護士事務所でも司法書士事務所と同程度の設定で手続きを行ってもらえることがあります。

司法書士に任意整理を依頼するデメリットとは?

司法書士に任意整理を依頼するデメリットは、依頼できないケースがあることです。

1債権あたり140万円を超える場合は依頼できません

ひとつの貸金業者から140万円以上借りている場合や、140万円を超える過払い金が見込まれる場合は司法書士に依頼することはできません。

最初から弁護士に相談した方がより早く借金問題を解決することができるでしょう。

裁判になった場合に対応できないことがある

任意整理ではごく稀なことですが、債権者と裁判になってしまうことがあります。

司法書士も訴訟代理権が与えられているため、万が一裁判になってしまった場合でも代理を依頼することは可能です。

ただし、代理となれる裁判所が弁護士とは異なります。

司法書士が代理人となれるのは簡易裁判所のみとなり、簡易裁判所で扱われるのは「140万円以下の事件」と「第一審」になります。

つまり、債権者から控訴されてしまい、簡易裁判所から地方裁判所や高等裁判所に移行した場合は司法書士では対応できないため、改めて弁護士に依頼するなどの対応が必要になるのです。

とはいえ、任意整理は本来裁判所を介さずに任意の交渉で行う債務整理なので、裁判にもつれ込んでしまうケースは極めて稀です。

こういったことにならないように司法書士が丁寧に手続きを進めてくれるので、このデメリットについてはあまり心配する必要はありません。

気になる場合は、司法書士に直接問い合わせてみると良いでしょう。

司法書士のデメリットを包み隠さずにきちんと説明してくれる事務所は良心的、ネガティブな情報として隠すような事務所は問題ありと判断できる材料にもなります。

 

「個人再生」・「自己破産」における弁護士・司法書士の違い

個人再生・自己破産に関しては、債権額・件数に関係なく弁護士は「代理人」となり、司法書士は代理人にはなれず書類作成やサポートを行う「書類作成代理人」となります。

・弁護士…代理人となり、申立てから債務整理が終了するまでの全ての手続きを一貫して担ってもらえます。申立ても弁護士が行うため「代理人申立て」として手続きが行われます。

・司法書士…書類作成代理人となります。司法書士の主な業務は書類の作成となり申立ては債務者本人が行うため「本人申立て」となります。

弁護士は「代理人」として対応します

弁護士は書類作成、申立て等の全ての手続きができる代理人となって債務整理を進めていきます。

個人再生・自己破産では、申立て後に裁判所に足を運び、個人再生委員や破産管財人などと面接を行うことがあるのですが、弁護士は債務者の代理人なので、この面接に同席することができます。(司法書士は同席不可)

弁護士であれば申立て、書類作成などの実務はもちろん、裁判所への同行、裁判所で行われる面談等への同席など全ての工程を一貫してお任せすることができるというのが最も大きな特徴です。

司法書士は「書類作成代理人」として対応します

個人再生・自己破産において、司法書士は書類作成代理人としてサポートをしてくれます。

申立てに必要な書類の作成においては、弁護士・司法書士どちらも同じ業務ですが、司法書士は面接に同席することができないため、申立て後は裁判所に手続きを認めてもらうためのサポートに回ることになります。

ただ、申立てをしたらあとは放置されるというようなことはありませんので安心してください。

裁判所に手続きを認めてもらうために事前に打ち合わせを行い、面談での受け答えのアドバイスを行うなど、必要なサポートはきちんと行ってくれます。

弁護士に自己破産を依頼すると少額管財を利用できます(東京地方裁判所)

これは東京地方裁判所のケースとなり他の裁判所では異なるのですが、東京地方裁判所では、弁護士が代理人となって申立てを行うことで「少額管財」の運用を受けることができます。

自己破産には、「管財事件」と「同時廃止事件」があるのですが、「少額管財」は管財事件の手続きのひとつです。

少額管財は通常の管財事件と比較すると手続きが簡単で費用も少額になります。

特に大きなメリットとなるのが費用面です。通常の管財事件では最低でも50万円の予納金(裁判所に支払う費用)が必要となりますが、少額管財では20万円程度で済みます。

この少額管財で自己破産を進めるためには、弁護士が代理人となって申立てを行う必要があります。

申立てを行う前の段階で弁護士が借金の内容や財産の調査をできるところまで行っておき、手続きを簡略化してスピーディに行うために、弁護士による代理申立てを指定しているのです。

少額管財が適用されるためには、借り入れ内容、財産の状況など他にも条件があるのですが、司法書士に依頼すると本人申立てになってしまうので、そもそもこの少額管財制度を利用することができないのです。

東京地方裁判所で自己破産をする場合は必然的に弁護士への依頼を検討することになるでしょう。

弁護士に個人再生・自己破産を依頼するメリット

弁護士に個人再生・自己破産をお願いするメリットを確認しておきましょう。

安心のフルサポート

弁護士に個人再生・自己破産を依頼すると、代理人として申立てを行ってもらえます。

債務者本人は弁護士が申立てを行うために必要な書類(収入証明書や借り入れ状況がわかる書類など)を集めることになりますが、裁判所に提出するための煩雑な書類作成は全て弁護士が行ってくれます。

申立て後に行われる個人再生委員や破産管財人との面談にも同席してもらうことができます。

債務整理を委任してから無事に終了するまでのフルサポートを行ってもらえるので、とても心強いことでしょう。

東京地方裁判所では「少額管財」を利用できます

こちらは「東京地方裁判所では少額管財を利用できます」でご紹介したとおりです。

東京地方裁判所管轄で、弁護士を代理人として自己破産の申立てを行うと、借金の内容によっては少額管財での手続きが可能となります。

通常の管財事件と比べると、費用が安く、手続きにかかる期間も短縮できるため、非常にメリットが多い手続きとなります。

弁護士に個人再生・自己破産を依頼するデリット

弁護士に個人再生・自己破産を依頼することにデメリットはありませんが、費用は司法書士よりも高くなります。

司法書士よりも相場が高くなっています

個人再生・自己破産を弁護士に依頼することのデメリットがあるとすれば、費用面のみでしょう。司法書士と比較すると相場は高くなります。

これは、行ってもらえる業務の範囲が広いということもあるので、比較した場合には弁護士の方が高額になってしまうのは仕方がないことと言えるでしょう。

ただし、弁護士事務所によって費用は異なりますし、個人再生・自己破産は複雑な業務となることもあるため、自分の状況をきちんと相談しなければ正確な見積もりが出ないこともあります。

債務整理の費用をできるだけ抑えるためには、いくつかの弁護士事務所に実際に相談をして比較してみる必要があります。

司法書士に個人再生・自己破産を依頼するメリット

個人再生・自己破産を司法書士に依頼するメリットは、やはり費用を抑えられるところです。

弁護士よりも司法書士の方が相場が安いです

個人再生・自己破産における業務内容が異なることから、弁護士よりも司法書士の方が費用は安いです。

例えば弁護士に自己破産を依頼する場合は40万円程度が相場になりますが、司法書士なら30万円前後で受けてもらえることもあります。

ただ、費用が安いのは業務範囲が狭いためなので、弁護士なら全てお任せできることも司法書士に依頼した場合は自分ひとりで行わないといけないこともあります。

司法書士に個人再生・自己破産を依頼するデリット

債務者の代理人になることができないという制限があるので、その点はやはりデメリットと言わざるをえないでしょう。

基本的には書類作成代理人になります

個人再生でも自己破産でも、司法書士の主な業務は書類作成となるため、その後のサポートをどの程度行ってもらえるのかは司法書士事務所の考え方によって異なります。

事前の無料相談で確認すべきことはしっかりと聞いておく必要があります。

自己破産を例に見ていくと、まず弁護士に依頼すれば、申立ては弁護士だけでできるので本人が裁判所に行く必要がありません。債務者本人が裁判所に行く回数は基本的に1回だけで大丈夫です。(債務の内容によって増えることもあります)

司法書士に依頼すると申立てから自分で行うため、裁判所には最低2回行くことになります。

申立て後に行われる面談(免責審尋)には、弁護士なら同席が可能で、裁判官の質問に対して弁護士が回答することもできます。

司法書士は同席そのものが不可となっていますので、聞かれたことには自分で回答することになります。

ただ、ここで聞かれるのは内容の確認なので、住所・氏名等の本人確認が行われる程度と思っておけば大丈夫です。

管財事件(少額管財)となった場合は、裁判官、破産管財人、債務者、債権者が集まる債権者集会が行われるのですが、代理人弁護士はここにも同席が可能です。

司法書士は裁判所まで一緒に行ってもらうことは可能なのですが、同席は不可です。

ただ、ここでも債権者が参加しないこともよくあります。

弁護士が同席していないと大きな不利益を被るかも・・・という心配はあまりいらないかと思いますが、信頼できる弁護士に同席してもらえた方が安心できることは間違いないでしょう。

このように、司法書士の場合はサポートしてもらえる範囲が狭いために、費用が安くなっているということはしっかりと理解しておく必要があります。

また、東京地方裁判所においては少額管財の運用があるため、弁護士への依頼を優先して検討してください。

 

自分のケースでは弁護士・司法書士のどちらに依頼した方がいい?

司法書士と弁護士のどちらにお願いすべきかは、依頼する内容によって異なります。

1債権あたり140万円以下の任意整理なら、弁護士でも司法書士でも業務の範囲が同じなので、コストが最優先ならば費用の安い司法書士に依頼しても良いでしょう。

ただし、任意整理で和解できず訴訟を起こされてしまった場合は、司法書士ではそれ以降の対応ができないことがあります。(滅多にないケースです)

こういった不安を最初から取り除いておきたい場合は、弁護士に依頼した方が合っているということになります。

個人再生・自己破産を検討していてフルサポートを期待したい場合も弁護士に依頼した方が安心でしょう。

ただ、司法書士も債務者が法律に疎く、経済的にも精神的にも困り果てていることはわかっていますので、申立てだけ行ってあとは自分で頑張ってねーと放り出すようなことは本当にありません。

自分でも学ぶことはきちんと学んでサポートをお願いすれば、全力で対応してもらえると思います。

どちらに債務整理を依頼する場合でも、不安なことや、自分にとって不利になりそうなこともちゃんと打ち明けて信頼関係を作っておくことも大切です。

やり取りをするのは人間同士なので、こちらも誠意のある対応を行うことが結果的に自分のためになりますよ。

どちらに依頼しても取り立てはすぐに止まります

債務整理を専門家に依頼して契約を結ぶと、全ての債権者宛に受任通知が送られることになります。

受任通知は、債務整理を受任したことを知らせる通知で、この知らせを受け取った債権者はこれ以降直接債務者に取り立てをすることができなくなります。

債務整理が終了するまで返済もストップできるので、この時点から一時的に返済不要となり取り立てもピタッと止まるのです。

この受任通知は弁護士でも司法書士でも送付可能なので、どちらに依頼しても債権者からの督促はすぐに止まります。

これは、債務整理を専門家に依頼することそのもののとても大きなメリットになります。


 

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この記事の監修者

この記事の監修者 この記事の監修者は、株式会社タンタカの代表取締役「丹野貴浩(⇒プロフィールはこちら)」で、簿記1級の資格を持ち、10年以上、クレジットカードやローンなど金融系のWEBメディアを運営・管理している実績があります。
   

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