炭酸風呂の効果は?作り方は?自宅で重層+クエン酸で体験
炭酸風呂に期待できる効果の解説や、炭酸風呂の作り方、炭酸風呂に入ってみた感想などを掲載しています。
炭酸風呂とは
炭酸風呂とは、その名の通り炭酸ガス(二酸化炭素)が溶け込んでいるお風呂のことです。
炭酸風呂は、天然のものと人工的に作られたものが存在します。
天然の炭酸ガスが溶け込んだ炭酸泉はドイツなどヨーロッパにおいて、古くから美容や健康に役立てられてきました。
炭酸ガスを含む温泉が湧き出てくるときにミネラルもいっしょに溶かし込まれ、中性~弱アルカリ性の泉質を示すことが多く、「美肌の湯」として知られています。
一方、日本には炭酸泉がほとんどありません。日本といえば火山が多く、温泉も多いのに少し不思議ですよね。日本に炭酸泉がほとんどないのも実は火山が多いことが理由なのです。
炭酸ガスは温泉の温度が高いほど溶けにくい性質があり、火山活動の活発な日本の温泉は温度が高く炭酸ガスが溶け込みにくいことが日本に天然の炭酸泉が少ない理由です。
天然の炭酸泉を身近に楽しむことは難しいですが、天然ではなく人工的に炭酸泉をつくることで日本でも気軽に炭酸風呂を楽しむことができます。
人工的に炭酸風呂をつくるためには、炭酸ガスをお湯に溶かし込まなくてはなりません。炭酸ガスのみをお湯に溶かすので、ヨーロッパの天然の炭酸泉のようにミネラルなどは含まれておらず、中和もされないので弱酸性のお湯になります。しかし、炭酸ガスによって血行が促進され、美容や健康にさまざまな効果をもたらしてくれる効果は同じです。
炭酸風呂に入ると期待できる効果・効能
炭酸風呂に溶け込んでいる炭酸ガスによって、美容や健康に嬉しい効果や効能が期待できます。どのような効果や効能が期待できるのか詳しく見ていきましょう。
血行促進
炭酸風呂に入るとお肌が赤くなります。これは血流が良くなっている証拠です。高濃度の炭酸風呂は毛細血管の血流を通常の7倍くらいまで増加させるといわれており、炭酸風呂に入ることで血行を促進する効果が期待できます。
では、なぜ炭酸風呂に入ることで血行がよくなるのでしょうか。そのしくみを解説します。
ヒトは呼吸によって酸素を取り入れ、肺から吸収し、血液によって身体の隅々にまで酸素を行き渡らせます。
酸素を受け取った細胞では、酸素をエネルギーとして利用し、炭酸ガスを燃えカスとして血液中に排出します。排出された炭酸ガスも血液によって肺まで運ばれ、呼吸によって体の外に排出されます。
これが私たちの身体の中では絶えず繰り返されていることです。
炭酸風呂に溶け込んだ炭酸ガスは、皮膚を通り毛細血管に入りこみます。血液の中の炭酸ガスの濃度が高くなると、「細胞が活動した燃えカスが増えている、細胞が活発に活動しているから酸素をもっと供給しなくては」と判断され、細胞への酸素の供給量が増えます。
すると、血液の中は相対的に炭酸ガスが多く酸素が少ない状態になり、身体は「酸欠状態」と判断を下し、送り込む血液の量を増やします。こうすることで血管が拡張し、血行が促進されるのです。
動脈硬化予防
動脈硬化は、血管が硬くなってしまいさまざまな病気の引き金になります。炭酸ガスによって血管は拡張しますが、炭酸風呂から出ると血管はもとの状態に戻ります。
炭酸風呂に入ることで、血管が拡張・収縮し、いわば血管のストレッチをしているような状態になり血管に弾力性をもたせることができることから動脈硬化の予防になるといわれています。
血圧を改善
血管が狭くなっていると血圧が上がってしまいやすくなります。炭酸風呂に浸かって血管を拡張することで血圧を下げる効果も期待できます。通常のお風呂では体温が上昇して心拍数が上がるとともに全身の血流が良くなりますが、それと同時に血圧も上がってしまいます。
しかし炭酸風呂では、炭酸ガスが血管を拡げてくれるので血圧を上昇させにくくなります。つまり、通常のお風呂より体に負担をかけずにできる体に優しい入浴方法といえます。
冷え性の改善
女性に多い冷え性ですが、冷えは万病の元といわれ婦人科系の疾患につながることも少なくありません。手足の先が冷えたり、上半身だけのぼせたりといった不快なトラブルに悩まされている方も少なくないでしょう。
炭酸風呂に入ることで血管を拡張し、血流をよくすることで身体の末端までじっくりと温めることができます。また、炭酸風呂は通常のお風呂に比べて湯冷めしにくいといわれており、冷えが気になる女性にもぴったりです。
むくみの予防と改善
もう1つ、冷え性と同じくらいむくみに悩む女性もおおいのではないでしょうか。血流が滞ると、老廃物やリンパの流れも悪くなりむくみやすくなります。炭酸風呂にはいって血行を促進することで老廃物やリンパの流れを改善し、むくみの予防や解消につながります。
疲労回復
長時間のデスクワークや家事育児などで肩こりや首コリになやまされていたり、肉体労働で筋肉が悲鳴をあげていたりする方も多いのではないでしょうか。肩こり首こりなどの「コリ」は血行不良によるものが多く、血流をよくするだけも大きく改善されることもあります。
炭酸風呂に浸かることで血流を促し、コリの改善が期待できます。また、新陳代謝が活発になりますので細胞にとって不要な老廃物や筋肉痛の原因にもなるといわれている乳酸といった疲労物質も血液に乗せて流されますので疲労回復にも役立ちます。
ヒートプロテクションで免疫力アップ
疲労回復とも少し関係がありますが、入浴によって身体をあたためることでヒートプロテクションとういたんぱく質が体内で増えます。このヒートプロテクションというたんぱく質は、傷ついた細胞の保護や免疫力を上げるといった働きをします。
傷ついた細胞を保護することで疲れにくくし、様々な病気と闘うナチュラルキラー細胞の活性を高める効果が期待できます。
通常のお風呂でもヒートプロテクションは増加しますが、炭酸風呂のほうがヒートプロテクションを多く作るといわれています。また、体温を1度上げるだけでも免疫力はアップするといわれています。
冷えた身体をじっくりと炭酸風呂で温め、体温を上げることで免疫力を高めることも期待できます。
体臭を防ぐ効果
体臭の原因は、酸性のにおいとアルカリ性のにおいの2種類があります。
「重曹水やクエン酸水で体臭がとれる」なんて話を聞いたことがあるかもしれません。重曹水はアルカリ性なので、酸性のにおいを中和してくれます。
反対に、クエン酸は酸性なのでアルカリ性のにおいを中和してくれます。においを中和することによって消してくれるのです。
ちなみに炭酸風呂はというと、「弱酸性の炭酸風呂」と「弱アルカリ性の炭酸風呂」があります。人工の炭酸風呂は弱酸性ですが、天然の炭酸風呂は中性から弱アルカリ性です。
これはなぜかというと、炭酸ガスのみを溶かし込んだ人工の炭酸風呂は弱酸性を示すのですが、天然の炭酸風呂は他の成分も溶け込んでおり、中和されたりアルカリ性の成分のほうにpHが傾いたりするためです。
したがって、自宅で作る人工の炭酸風呂であれば酸性なのでアルカリ性の体臭を、天然の炭酸風呂ならアルカリ性なので酸性の体臭をやわらげてくれます。
毛穴の汚れを落とす効果
炭酸にはお肌の古い角質や皮脂を吸着する働きがあり、手やスポンジなどで洗うだけでは取れにくい汚れもおとしてくれる効果があります。
また、重曹の粒子がスクラブのような働きをしてくれるのでピーリングのような作用もあります。重曹の粒子は硬すぎず水分によって丸みをもつため、市販の硬いスクラブでは傷つきがちなお肌にも優しく負担をかけにくいです。
背中ニキビの予防
背中にニキビができてしまうのは、汚れや皮脂が落としきれず毛穴に詰まってしまって雑菌が繁殖しやすい状況になっていることが原因のひとつとして挙げられます。
背中は汗をかきやすく、また手が届きにくいので洗い残しが多くなりがちです。炭酸風呂に入ることで手の届きにくい背中の毛穴の汚れをきれいにし、お肌を清潔に保つことで背中のニキビを予防することができます。
入浴後のお風呂掃除が楽ちん!
水道水のpHは地域によっても異なりますが、水道水の中にはマグネシウムやカルシウムといったアルカリ性を示す成分がとけこんでおり、浴槽によごれとして蓄積していくことがあります。
また、お風呂で使う石鹸などが飛んで浴槽につき石鹸カス汚れ(アルカリ性)も付着しているはずです。さらに、入浴によって毎日皮脂などの垢汚れが蓄積されています。お風呂の浴槽は意外と汚いのです。
しかし、毛穴の皮脂汚れなどを吸着するのと同じく浴槽についた汚れも炭酸風呂が取ってくれます。また、人工の炭酸風呂は酸性を示すので、アルカリ性の汚れも中和して落としやすくしてくれます。ですから、水道水のみで入浴した後よりも炭酸風呂に入ったあとのほうがお掃除はても楽になるはずです。
炭酸風呂の作り方・入り方
自宅で炭酸風呂をつくる方法は3つあります。
・炭酸風呂専用の入浴剤を購入して使用する
・炭酸風呂の入浴剤を手作りする
機械を購入するのは決して安い買い物ではないですし、炭酸風呂専用の入浴剤を購入するにしても継続するとなると経済的に厳しいと感じるかもしれません。
そこで、炭酸風呂を安く簡単に手に入る材料で手作りするのです。この方法ならお財布を気にすることなく、手軽に好きなだけ炭酸風呂に入ることができます。それでは、さっそく炭酸風呂を手作りする方法をご紹介します。
炭酸風呂の材料
まずは、炭酸風呂をつくるために必要なものをご紹介します。
炭酸風呂はたった2つの素材で簡単に作ることができます。
<素材>
・重曹(炭酸水素ナトリウム)
・クエン酸
です。
重曹やクエン酸は、必ず食品グレードのものを使用してください。
お掃除用のものは使えません。
詳しい分量は後ほどご紹介します。
また、お好みでアロマオイルを添加すれば香りの良いオリジナルの炭酸風呂をつくることができますよ。
他に使うものといえば計量するための道具くらいでしょうか。
・容器
・計量するためのキッチンスケールやスプーン
があれば十分です。
雑菌、カビなどがついてしまわないよう容器などは清潔なものを使用しましょう。
消毒用アルコールで拭き取ってから使うと安心です。
材料を入れる方法とタイミング
・重曹(またはクエン酸)だけを先に湯船に入れて撹拌し、そのあとでクエン酸(または重曹)を入れる方法
があります。
どちらの方法であっても問題はないと思います。
ただ、どちらの方法であっても材料は湯船に入る直前に入れるようにしましょう。
重曹とクエン酸が水に触れた途端に発泡を開始し、いったん泡が出始めたらあとは炭酸ガスが抜けていってしまいます。発泡させてから服を脱いで…ともたもたしていると、入る頃には炭酸ガスが抜けた状態になってしまいます。
予め混ぜ合わせておいたら発泡して炭酸ガスが発生してしまうのでは?と心配かもしれませんが、重曹とクエン酸を混ぜ合わせたものであっても水分に触れなければ反応しない(発泡しない)ので数日分をつくりおきしておいてもよいでしょう。ただ、湿気ってしまったり雑菌やカビが繁殖してしまったりするといけないので密閉できる清潔な容器に1回分ずつ数日~1週間位で使い切れる範囲内のつくりおきがおすすめです。
重曹とクエン酸の分量は?
重曹とクエン酸の分量は、調べてみると諸説あります。
ここでは2種類の分量についてご説明します。
重曹とクエン酸の分量:その1
重曹…大さじ2
クエン酸…大さじ1
ネットで検索するとよく見かける分量です。
重曹とクエン酸2:1の割合は理論上ちょうどよく反応する比率になっています。
ただ、お風呂に入れるのには分量が少ない気がします。
重曹を大さじ3、クエン酸を大さじ1.5にするレシピもありましたが、一般家庭のお風呂ではいずれにせよ量が少ないと感じるかもしれません。
使う分量が少ないので安全面では安心なのかもしれませんが、バスタブのお湯に入れるには量が少なすぎて十分な濃度が得られないはずです。
・バケツや大きめの洗面器での足湯や手浴を行う
・お試し程度に作ってみる
といった目的にはちょうどいいくらいの分量かもしれません。
重曹とクエン酸の分量:その2
こちらは200Lのバスタブを想定して公開されているレシピです。炭酸が強めのレシピも公開されていました。
(参考:簡単に自宅でできる「炭酸風呂の作り方」~超シュワシュワ!)
▼炭酸が強めの場合…クエン酸300g 重曹390g
▼通常…クエン酸200g 重曹260g
200Lのバスタブを想定しているだけあって、重曹もクエン酸の量もかなり多く感じます。
一般的なバスタブは200Lのようですが、湯量によって炭酸風呂の濃度も変化します。
濃度を濃くしたければ湯量設定を160~180Lくらいにするとちょうどよいかもしれません。
クエン酸が1に対して重曹が1.3の割合になっていますが、なぜかはわかりません。
筆者の推測ですが、地域によっては水道水がアルカリ性を示すところもあるようで、水道水がアルカリ性の場合クエン酸(酸性)を多めにすることでバランスをとっているのかもしれません。
炭酸風呂の濃度は?
炭酸風呂の濃度はどのくらいがよいのでしょうか。温泉を参考にしてみましょう。
環境省によると、温泉は温泉法という法律によって定義されているようです。
炭酸泉というには、遊離二酸化炭素の量が240mg以上/1kg必要です。ちなみに、温泉の成分として自作炭酸風呂の材料に使う炭酸水素ナトリウム(重曹)もあります。
炭酸水素ナトリウムの場合、その濃度はお湯1kgの中に炭酸水素ナトリウム340mg以上となっています。また、治療を目的に入る療養泉については1kg中に1000mg以上の遊離二酸化炭素(炭酸ガス)が必要です。
(参考:https://www.env.go.jp/nature/onsen/point/)
温泉の濃度を正確に再現できればうれしいですが、一般家庭で濃度を測定するのは難しいですよね。そこで、機械で測るように正確ではないかもしれませんが、濃度が十分かどうかを確認する目安になるものを紹介します。
それは、
・炭酸の泡が肌につくか
・肌が炭酸の刺激によって赤くなるか(血行が促進されているか)
という2点をチェックする方法です。
炭酸の泡が肌につかなかったり、赤くならなかったりしたら、それは濃度が足りていないということです。
この2点を確認することで、濃度が十分かどうか簡易的にではありますが判断することができます。炭酸風呂を作るときの目安にしてみてください。
お湯の温度はどれくらいが適切?
お風呂の温度は38度くらいが適温です。
高い温度で炭酸風呂をつくると、炭酸風呂には古い角質や汚れを落とす効果があるため、お肌に必要な皮脂まで落として乾燥を招くことがあります。また、お湯の温度が高いことによって炭酸がぬけやすくなってしまいます。
反対に、お湯の温度が低すぎると身体が冷えてしまいます。普段は40度~42度くらいで入浴しているという方にとって、38度は「ぬるい」と感じるはずです。しかし、炭酸風呂には血行を促進する効果があるため、入ってみるとちょうどよく感じるかむしろ熱いと感じることもあるかもしれません。
アロマオイルを数滴たらすとリラックス効果が高まる
炭酸風呂を作る時にちょっとしたアレンジをすることでリラックス効果を高めることができます。
添加するものとしてはアロマオイルがおすすめです。1~2滴ほど重曹やクエン酸の中に入れるだけで手軽に香りを楽しむことができますよ。
アロマオイルは、混じりけのない100%植物由来の「精油」を使いましょう。
ポプリオイルなど合成されたオイルと間違わないよう注意が必要です。
見分けるのに自信がない方は、アロマテラピーショップなどの専門店で店員さんに相談しながら購入すると間違わなくて済みますよ。
炭酸風呂におすすめの精油
炭酸風呂におすすめの精油は、
・ラベンダー
・ティートリー(ティーツリー)
です。
精油は基本的には原液を直接肌につけることはできません。しかし、例外としてラベンダーとティートリーの精油は少量であれば原液で肌につけることができるといわれています。
そもそもアロマテラピーの始まりは、ルネ・モーリス・ガットフォセが実験中にやけどをして、手元にあったラベンダー精油をつけたところ治りが早かったという史実にあります。
ラベンダーやティートリーは他の精油と比べると肌に優しいといえますので、炭酸風呂に使用するのにもおすすめです。
ただし、極端に敏感肌の方などは精油によってお肌のトラブルが悪化する可能性も否定できません。精油の添加を控えておくか、お肌の状態と相談しながら自己責任で精油を添加してください。
炭酸風呂に不向きな精油
精油の中には「光毒性」といって、精油がついた部分が強い日焼け(やけど)状態になり色素が沈着してしまう、つまりシミになってしまう性質をもつものがあります。柑橘系の精油に多く見られる特徴で、ベルガモット、レモン、グレープフルーツなどの精油は避けたほうが無難です。(※中にはベルガモットから光毒性を除いた精油もありますが、詳しくないと見分けは難しいかもしれません)
また、ペパーミント、レモングラス、セージ、フェンネルスイート、カンファーホワイトなどの精油は比較的皮膚に対する刺激が強く、精油が直接肌に触れる可能性のある炭酸風呂での使用はあまりおすすめできません。
手作り炭酸風呂を楽しむための注意点
重曹とクエン酸を使用した炭酸風呂は身体にもやさしい気がしますが、扱い方を間違えると大きな事故につながる可能性もあります。注意点をしっかりと守って安全に炭酸風呂を楽しみましょう。
換気はしっかり行う
炭酸風呂に入るときには換気をしっかり行いましょう。
換気せずに入っていると酸欠になってしまう危険性があるので、
・換気扇を回す
・窓を開ける
など、しっかりと新鮮な酸素が確保できる状態にしましょう。
とくに気密性が高くお風呂の換気扇も小さい一人暮らしで住むような集合住宅のお風呂では、お風呂の換気扇を回すだけでなく、お風呂のドアを少し開け、できればお風呂につながっている部屋の換気扇も回しておくとより安心です。
シュワシュワと出てくる泡は二酸化炭素で、酸素よりも重たいため浴室の下のほうにたまります。湯船に浸かっているとちょうど湯船の上、顔のあたりに二酸化炭素が充満していくことになります。
酸欠になると吐き気やめまいといった症状が出るほか、重症になると倒れてしまう可能性もあり大変危険ですので換気には十分注意してください。
重曹やクエン酸の分量を多くしすぎない
濃度を濃くしたいからといって、たとえば重曹やクエン酸を何kgも湯船に入れたりすれば炭酸ガスが発生しすぎてしまいます。
炭酸ガスが大量に発生することで、換気をしていても換気が追いつかずに酸欠状態を引き起こす可能性もあります。目安量を守って炭酸風呂を楽しみましょう。
追い炊禁止!循環式のお風呂には使用しない
炭酸風呂を楽しむときは、カランでお湯を入れましょう。
ボイラーでお湯を沸かしたり、追い焚きをしたりすると、ボイラーの管(銅でできていることが多いです)と炭酸ガスが接触することで炭酸銅が生成されることがあります。
炭酸ガスが高濃度であるほど、炭酸銅の生成が起こりやすくなります。緑っぽいお湯や青っぽいお湯が出てきたら、炭酸銅の生成が起こっている証拠です。
微量であれば人体に影響はないと思われますが、炭酸銅の生成を防ぐためにはカランでお湯を入れて、追い焚きせずに入浴が終わったら捨てるようにしましょう。
炭酸水素ナトリウム(重曹)と炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)、セスキ炭酸ソーダ
炭酸水素ナトリウム(重曹)と炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)やセスキ炭酸ソーダは名称が似ていますが、手作り炭酸風呂に炭酸ソーダやセスキ炭酸ソーダを使うのはおすすめできません。
なぜなら、
・炭酸ソーダやセスキ炭酸ソーダは重曹よりアルカリ性が強い
・レシピの分量でうまく作れない
からです。
重曹と同じアルカリ性を示すので、炭酸ガスを発生させることは可能です。
しかし、重曹のpHは8.2と弱アルカリ性なのに対して、炭酸ソーダはpHが11.2、セスキ炭酸ソーダはpH9.8と比較的強いアルカリ性を示します。アルカリ性が重曹よりも強いため扱いを慎重にしなくてはなりません。
強いアルカリ性のものは、肌を溶かしてしまったり目に入ると失明してしまったりする危険性もあります。
また、レシピは重曹を使うことを前提に書かれたものなので、アルカリ性の強さが異なる炭酸ソーダやセスキ炭酸ソーダではクエン酸と過不足無く反応させることができなくなってしまいます。
よっぽど化学の知識と経験に自信があって、どうしても炭酸ソーダやセスキ炭酸ソーダを使いたいという方以外は重曹を使用するようにしましょう。
レビュー!炭酸風呂に入ってみます
分量その1(重曹:大さじ2 クエン酸:大さじ1)ではな濃度が得られませんでしたので、分量その2(クエン酸200g、重曹260gのレシピ、クエン酸300g 重曹390gのレシピ)で試してみました。
重曹とクエン酸を計量する
タッパーをキッチンスケールに乗せて目盛りをゼロにし、計量していきます。
撮影のため、重曹とクエン酸それぞれ分けて量りました。
普段なら重曹とクエン酸を分けずに、容器をキッチンスケールに乗せて目盛りをゼロにする→重曹かクエン酸を計量する→キッチンスケールの目盛りをゼロにする→クエン酸か重曹を計量するという手順でOKです。
意外とたくさん重曹やクエン酸を使うなぁという印象です。
ドラッグストアに売っていた600g入りの重曹と300g入りのクエン酸では、1~2回分しか作れません。
頻繁に炭酸風呂に入ろうと思っている方は、重曹や炭酸をネットなどで、キロ単位で購入したほうが経済的だと思います。
計量できたらクエン酸と重曹をよく混ぜます。量は、大きめのタッパーいっぱいになります。
<クエン酸200g、重曹260g>
このまま蓋をして保存してもOKです。
分量その1(重曹:大さじ2 クエン酸:大さじ1)の分量と比べると、「こんなにお風呂にいれて大丈夫?本当にこんなに入れるの?」と思うくらいの分量です。
重曹とクエン酸にアロマオイルを混ぜる
香りを楽しむためにアロマオイルを入れてみます。
ティートリーのアロマオイルを入れました。
重曹とクエン酸を混ぜたものに直接入れてOKです。精油1滴程度の水分では発泡しないので安心して入れてください。
こんなにたくさんの重曹とクエン酸ですが、1滴で十分な香りが得られます。精油をたくさん入れすぎると皮膚に刺激を与えてしまったり、香りで気分が悪くなってしまったりすることがあるので、多くても2~3滴までにしましょう。特に小さなお子さんや皮膚が弱い方は注意が必要です。
浴槽に重曹とクエン酸を入れる
カランでお湯を入れます。
高濃度にしたいので、お湯はかなり少なめです。
150L~160Lくらいでしょうか。
浴槽に重曹とクエン酸を混ぜたものを入れます。
躊躇なく一気にどさっと入れましょう。
一気に発泡が始まります。
浴槽全体に泡が広がります。小さな泡で白く濁っているように見えます。
クエン酸200g、重曹260gだとちょっと少ないですね。
思っていたよりも早く発泡が終わってしまうので、浴槽に入ってから重曹とクエン酸を混ぜ合わせたものを入れたほうがよかったかもしれません。
発泡が落ち着いてきた時に撮影したものですが、こんな感じに泡がお肌につきます。
お肌もほんの少し赤みがありますが、もう少し赤くなってもいいのかなと思います。
濃度が少し薄いのかもしれません。
濃度を上げるには、重曹やクエン酸の量を増やすか、お湯の量を減らすかです。
ただ、重曹やクエン酸の量を多くしすぎて酸欠になっても怖いですし、お湯の量が少なすぎると全身浸かれないのが悩みどころです。
クエン酸300g、重曹390gでも試してみました
発泡量はやや多くなりましたが、お肌の赤みはクエン酸200g、重曹260gのレシピとあまり変わりませんでした。量を100g以上増やしても劇的に濃度が変わるというわけではないのか、体調やもともとの肌の色も関係あるのかもしれません。
どのくらいの分量がベストなのか、浴槽の大きさや湯量、お湯の温度などちょっとした条件でも変化するのかもしれません。
入れ過ぎには気をつけなければいけませんが、50g~100g単位くらいで増減させて「ちょうどいい分量」を研究するのも炭酸風呂の楽しみ方のひとつなのかもしれません。
手作り炭酸風呂に入った感想
お湯の温度は低めですが、発泡している間はシュワシュワとした刺激でぬるさは感じません。発泡が終わっても寒い感じはないですが、もともとお湯の温度が低いのでお湯が冷めるのも早く、追い焚きができないという難点があります。
ただ、いつも入っている40度くらいのお風呂では、熱くなって心臓がドキドキと早く脈をうち苦しいときがありますが、炭酸風呂ではそういった不快な苦しさはありません。では温まらないのかというと、不思議とちゃんと温まります。
これが高血圧の方でも負担なく入浴できるということかと納得しました。
炭酸風呂のお湯は、少しぬるぬるとして温泉に入っている感じです。浴槽内が滑りやすくなるので、特に小さなお子さんや高齢者の方、身体が不自由な方が入浴するときには思わぬ事故にならないよう保護者や監督者の方で気をつけるようにしましょう。
炭酸風呂から上がっても続く暖かさ
発泡が終わるとお湯の温度も低いし、冬なので寒いはずなのですが、不思議と身体はあたたかかったです。
お風呂上がりにタオルで身体を拭いてみると、いつもよりしっとりしているような、お肌が柔らかくなっているような気がしました。お肌のゴワゴワ感がなく、保湿剤の浸透もよさそうなお肌になりました。
また、お風呂からあがったらいつもはすぐに足が冷えて冷たくなってしまうのですが、お風呂上がりでも足がつま先までぽかぽかしています。
炭酸風呂のあとは掃除が楽なのは本当だった
炭酸風呂のお湯を破棄してシャワーで浴槽をサーッと流すだけでも、浴槽がつるつるです。毎日シャワーとスポンジで磨いたり、数日に1度は洗剤をつけて磨いたり…と浴槽のお手入れをしていても少しサボるとザラザラした感じが残ってしまうこともあります。
炭酸風呂を3日連続で続けてみたところ、少なくとも3日間は洗剤を使わずにツルツル感をキープできています。お風呂からあがる前に、スポンジで軽くこすってシャワーで流しておけばいやなザラつきがありません。
炭酸風呂に関するQ&A
炭酸風呂に関する疑問にお答えしていきます。
炭酸風呂のお湯で髪や顔を洗っても良い?
炭酸風呂のお湯で髪や顔を洗ってもOKです。シュワシュワと発泡しているお湯で頭皮を洗うことで、頭皮の毛穴に詰まっている汚れもとることができます。
シャンプーなどの流し残しの洗浄にも最適です。顔を洗う時は、お湯が目に入らないように気をつけてください。毛穴の汚れや古い角質などが取れてワントーン明るいお肌を目指せるだけでなく、化粧水や美容液の浸透も良くなるのでスペシャルケアの前にもおすすめです。
炭酸風呂から出るときは洗い流したほうがいい?
髪の毛は洗い流したほうがよいようですが、身体を洗い流す必要はないみたいです。お風呂から出る時に習慣的に洗い流している方や、洗い流さないと気持ち悪いと感じる方はもちろん洗い流してもOKです。
風呂釜は痛まない?
重層は弱アルカリ性、クエン酸は強酸性ですが、2つの材料を混ぜ合わせて炭酸ガスを発生させるので風呂釜が痛むということはありません。
しかし、高濃度の炭酸風呂の場合、ボイラー管(銅)を痛めたり酸化した銅管を溶かしてその汚れが浴槽に排出されたりする可能性もあります。故障の原因にもなりますので、炭酸風呂に入る時は給湯設備を使用せずに、カランでお湯を入れるようにしましょう。また、追い焚きも行わず、お湯は破棄するようにしましょう。
頻度は?毎日入っても大丈夫?
炭酸風呂は、お肌の調子がよければ毎日入っても害はまずないと考えられます。しかし、ピーリング作用があるので人によっては毎日炭酸風呂に入るとお肌にひりつきや乾燥を感じるかもしれません。
そういった場合は、お肌の状態がよくなるまで炭酸風呂をお休みし、週2~3日、または週1日にするなど自分にとってベストなペースで炭酸風呂に入るようにしましょう。
掃除用の重層・クエン酸でも大丈夫?
食用グレード以上の重曹やクエン酸を使うようにしましょう。
重曹・クエン酸とも、グレードの高い順に
・薬用
・食用
・掃除用
と品質に違いがあります。
グレードが低くなると、精製が荒くなり、お肌に思わぬダメージを与えてしまうこともあります。ましてや掃除用の重曹やクエン酸は、人体にふれることを想定して作られているものではありません。
用途と異なる使い方をすることになるので、どんな悪影響があるか未知数です。炭酸風呂を作る材料としては、薬局で購入する薬用グレードがおすすめです。しかし、価格の都合でもう少し費用を抑えたいという場合は食用グレードでもかまいません。
残り湯は洗濯に使える?
炭酸風呂の残り湯で洗濯することが絶対にできないわけではありませんが、次のような理由からおすすめしません。
・残り湯は汚い
「炭酸風呂に入るとお肌の汚れが落ちてつるつるすべすべになる」「浴槽の汚れまで落ちてお掃除が楽」と実感している方も多いでしょう。その汚れがすべて溶け込んだお湯…と考えると洗濯に使うのは衛生的におすすめしません。使うにしても、せめてすすぎは綺麗なお水で行うようにしましょう。
・残り湯では洗浄力が落ちる
炭酸風呂の残り湯は酸性になっているようで、アルカリ性の洗剤を中和してしまい洗浄力が落ちてしまいます。
・服の生地を傷める
酸性の残り湯は、服の生地を傷める原因にもなります。特に大切な衣類を洗うときには炭酸風呂の残り湯を使用するのはおすすめできません。
どうしても炭酸風呂の残り湯を洗濯に使いたい場合、重曹を入れて中和してから使うという方法もあります。
洗濯以外で炭酸風呂の残り湯を活用する方法は?
残り湯を捨てるのがもったいないと思いつつも洗濯に使用するのは嫌だなぁと思っている方は、お風呂掃除に使用してみてはいかがでしょうか?
残り湯の酸性度を高くするために、クエン酸を100g程度足して、石鹸カス汚れが気になる小物を浴槽に放り込んでつけ置きしておきましょう。10~20分程度放置したあと、スポンジでこすれば頑固な石鹸カス汚れもするする落ちます。あとは小物や浴槽をしっかりと洗い流して乾かしておくだけです。
酸性のお湯が、アルカリ性の汚れ(石鹸カス)を落としてくれます。お風呂用洗剤(アルカリ性)で掃除しても、アルカリ性同士なのでなかなか落ちませんが、酸性のお湯がアルカリ性の石鹸カス汚れを中和することによって落としやすくしてくれるのです。
とくに洗面器やお風呂椅子、ボディーブラシの柄、石鹸入れなどプラスチック製の用具には石鹸カスがついていることが多いですよ。お風呂で使う小物がピカピカだと入浴も気持ちいいですよね。
重層ではなく炭酸ソーダでもいい?
前章でも説明しましたが、炭酸ソーダは重曹よりアルカリ性が強いため、レシピの分量で作ってもうまく炭酸ガスを発生させることができません。また、重曹がpHは8.2であるのに対して炭酸ソーダはpHが11.2とよりアルカリ性が強いものになります。肌への刺激や、万が一目に入ったときの危険性を考えると炭酸ソーダの使用はおすすめできません。