住宅ローンの負担を軽くしたい!借り換えのポイント教えて!【FP阿久津和宏氏が回答】
はじめに
住宅ローンの負担を軽くしたい、住宅ローンを見直したい、そんな方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?
現に、私達が住んでいる日本は、「低金利」時代と言われてます。このことは、住宅ローンについても影響しており、住宅ローンも低金利です。だから借り換えしたほうがいいよ、などというお話はニュースや雑誌、ネット記事などでも、多く目にする機会もあるかと思います。
でも、なかなか重い腰が上がらない、とか、何から始めたら良いのかわからない・・・、
そういうお悩みをよく聞きます。
また、色々調べていたけど、忙しくなって頓挫している・・・などのお話もよくあります。
この記事では、このような方のために、すぐに実践できるように「借り換えをすすめるためのポイント」「借り換え検討するスタート時点のポイント」をまとめていきたいと思います。
ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。
金利が下降傾向・・・は本当か?
まずはじめに、住宅ローン金利が下がっている、というお話からさせていただければと思います。
「金利は下降傾向・・・というお話は本当か?」少しだけ一緒に確認しましょう。
「フラット35の推移」を例にとって確認していきましょう
(※条件:返済期間21年以上35年以下、融資率90%、機構団信付)
「フラット35の推移」は、下記の表ような推移となっております。
(1ヶ月毎ですとわかりにくいので、この記事を書いている2019年9月とそれ以前は1月の数字を表記しています)
現在(2019年9月)と10年前(2010年1月)を比較していますと大きな変化がわかります。
2019年9月の最高利率(1.80%)と2009年1月の最高利率(3.52%)を比較しても、この10年間の間で、1.72%の差があります。
フラット35で借り入れをしていない方や変動金利で借り換えを希望されている方も、同じように、この期間で変化が生じていることでしょう。
最高 | 最低 | |
2019年9月 | 1.80% | 1.11% |
2019年1月 | 2.07% | 1.41% |
2018年1月 | 1.99% | 1.36% |
2017年1月 | 1.69% | 1.12% |
2016年1月 | 2.09% | 1.54% |
2015年1月 | 2.12% | 1.47% |
2013年1月 | 2.94% | 1.99% |
2012年1月 | 3.20% | 2.14% |
2011年1月 | 3.40% | 2.41% |
2010年1月 | 3.52% | 2.57% |
2009年1月 | 3.83% | 2.88% |
2008年1月 | 3.46% | 2.82% |
2007年1月 | 3.53% | 2.75% |
2006年1月 | 3.57% | 2.52% |
2005年1月 | 3.59% | 2.23% |
2004年1月 | 3.95% | 2.89% |
この表を見て、「思ったより変わっていないなぁ」とか「結構違いがあると思う・・・」などなど人によって様々な意見があるかと思いますが、
ここ2,3年間は横ばいの状態ですが、5年以上前に住宅ローンを新規借り入れした方にとっては、見逃せない状況であることはおわかりいただけましたか?(もちろん、皆さんの個々の状況によって差はありますのでその点はご了承ください)
金利の違いで支払総額はどれだけ違うのか?
次に、金利の違いで、支払総額はどれくらいの差があるのか?というお話です。
仮に1000万円を20年間の期間で借り入れした場合、上記の例を参考に、1.80%(2019年9月の最高金利の値)で借り入れした場合と3.52%(2010年1月の最高金利の値)で借り入れした場合の「返済総額」は以下の通りになります。
金利 | 借入額 | 返済期間 | 返済総額 |
1.80% | 10,000,000円(1000万円) | 20年 | 11,996,533円(1,199万6,533円) |
3.52% | 10,000,000円(1000万円) | 20年 | 14,097,689円(1409万7,689円) |
差異 | - | - | 2,101,156円(210万1,156円) |
※生活や実務に役立つ計算サイト:ローン計算(毎月払)にてシミュレーション
例えば、約10年前にフラット35の上記条件(※条件:返済期間21年以上35年以下、融資率90%、機構団信付)と同じ条件で借り入れしていた方であれば、「2,101,156円の返済が不要になる」ということです。借り換え時の費用等は加味していませんが、大きな差、とは思えませんか?
なぜ、このようなお話を最初にしたのかといいますと、今の時点で言えば、多くの場合(個々の事情により異なることもありますが)借り換え時期が遅くなればなるほど、借り換え効果が減少していくということです。
ですので、まずは、「着手する」というのが大切です、というお話を再確認していただきたかったからです。
借り換えをする時期が遅くなればなるほど、借り換え時の効果が減少する可能性が高い
では、着手すると決めたはいいけど次に何をすればよいのでしょう。借り換えのときに困ったことをヒアリングしますと、以下のような意見が多いです。
・何をしたら良いのかわからない・・・
・誰に聞いたらいいのかわからない・・・
・手続きなどが面倒ではないかと思い、ついつい先延ばしになってしまった・・・
などなど、金利の上昇の不安など、その他細かいことを上げればきりがないかもしれませんが、、大きく分けると上記のようになっています。
「そうそう、私もそうなの・・・」という方は特にお役に立てるかもしれません。
そこで、「着手する」という観点からお話を続けていきたいと思います。
借り換えの選択肢
借り換えに限ったことではないかもしれませんが、あなたには、手順に沿って、いくつかの選択肢があります。それらをご紹介しながら、「借り換えのポイント」を解説していきたいと思います。
流れとしては、「現状を把握」「有利な方法を探す」(「実行する」)ということになりますが、このように文字にしてしまうと、極めてシンプルなステップのように見えてしまいますが、できる方も多いかと思いますが、迷いや不安などが伴うこともあるでしょう。それらを一つ一つ確認していきましょう。
これから行う手順と選択肢を把握しましょう
STEP1-現状を把握する
「現状を把握する」とはどういうことかといいますと、実際に借り換えしてもあまり効果がないのでは仕方ないです。ですから、「有利な方法を探す」前段階としてまずは現状を確認してみましょう。
これはご自身で確認する事ができますし、専門の人に相談したり、シミュレーションしてもらうこともできます。
はじめに、確認しておくと良いこと、は下記のとおりです。
相談する際も、借り換えシミュレーションをする際にも必要になります。
・現在の住宅ローンの残高
・現状の金利
・変動金利か?固定金利か??
・固定期間付変動金利であれば、いつまで固定期間があるのか?
・月々のローンの返済額
くらいは把握しておくと良いでしょう。このあと、有利な方法(借換先)探しにをしていく上で借り換えシミュレーションをする場合など、上記の項目は必須と言えるでしょう。
まずはメモするなり、わかるようにしておくと良いでしょう。
「現在の住宅ローンの残高」「現状の金利」「変動金利か?固定金利か??」「固定期間付変動金利であれば、いつまで固定期間があるのか?」「月々のローンの返済額」は把握しておきましょう。
STEP2-有利な方法(借換え先)を探す(「実行する」)
このステップは、「インターネットで調べる」「インターネットで情報収集する」などをされる方も多いかと思います。もちろんこのあとご説明しますが、ご自身で調べてご自身で申し込んで、といった手順を踏む場合はよいですが、ここでつまづく場合もありますので、注意しましょう。
ここでは、借り換え先を探す上でのあなたの「選択肢」と「ポイント」をご紹介したいと思います。
ここでのあなたの選択肢は、大きく分けて3つ(4つ)です。
①自分で調べて自分で申し込む
②現在借り入れ中の銀行に相談・交渉する
③借り換え専門の会社に相談する・依頼する
(④ファイナンシャルプランナーに相談する)
①自分で調べて自分で申し込む
「時間がある方」「情報収集が得意な方」「自分ですべてを把握したい方」などにオススメの方法ですね。
先述しましたが、情報収集や知識を習得している間に忙しくなってしまったり、ややこしくてわからなくなったりして、頓挫する・・・などという場合もあるようですので、もしそうなりそうな方は別の方法と同時並行でされると良いでしょう。
注意点としては、借り換え時にかかる費用等の把握も同時にしておくと良いでしょう。計算上はお得になっても、費用等加味するとそうでもない・・・または少しの金利変動によって「借り換えしないほうが良かった」などとなるケースも少なからずあるようです。ご自身でお申し込みされる場合は、その点も確認が必要です。
自分でやろうと思っても、なかなか進まない・・・と感じたら、
②現在借り入れ中の銀行に相談・交渉する
③借換え専門の会社に相談する・依頼する
に着手しましょう。
②現在借り入れ中の銀行に相談・交渉する
現在借り入れ中の銀行に相談する・交渉するという方法もあります。このようなサービスをサポートされる方もたまに見かけますが、ご自身で実践することも可能です。
また、内部情報ですので、明確とは言えませんが、ある程度の準備(これくらいは下げてもいいといった許容範囲的なもの)もある、というお話もあるようですが、「交渉力」や「根拠の示し方」等が必要になるでしょう。
交渉ができたとして、そこで示された条件よりも有利な方法があればそちらに行けば良いので、ダメ元でご相談に行っておく、のはよいかとは思います。
あくまでも住宅ローンの相談ですので、将来の繰り上げ返済のための「資産運用商品」や「保険」などの提案がある可能性はありますが、そのお話は別の機会にしておきましょう。
本来の目的から遠のく可能性がありますので・・・
「ダメ元で」借り入れ中の銀行に相談・交渉してみましょう。他の商品の提案があっても、それは別の機会にしておきましょう。
③借り換え専門の会社に相談する・依頼する
「借り換えシミュレーション」や「借り換えで有利な銀行を示してくれる」サービスを提供している会社などがあります。依頼すれば、手続き等もフォローしてくれたりします。
あまり数が多くないからかもしれませんが、あまり活用されていない方法ではないでしょうか?住宅ローンに関して、プロ集団です。
費用はかかりますが、基本的には、「成果報酬」の場合が多いです。成果が出なければ費用がかからない、ということです。相談される場合は、お問い合わせや電話などで確認しておきましょう。
ちなみに、その会社の探し方、ですが、ネット検索で「住宅ローン借換え専門」などと検索すると、出てきます。
内容や実績などはそれぞれかと思いますが、何がどう有利なのか?不利なのか?を示してもらうことができます。
ご自身で探すよりも遥かに効率よくすすめることが可能になるのではないでしょうか?
また、借換えのときのお悩みの一つに「金利」の話がよくあります。借り換えするタイミングはいつか?といったお話ですが、中には毎月レポート等を送付して、随時アドバイスをもらえたり、相談できる会社もあるようです。アフターフォローがあると特に安心ですね。
会社などによりサービスの差があると思いますので、事前に確認しておくことをおすすめします。
選択肢の一つとして、参考になればと思います。
3つの方法をご紹介しましたが、どれかに限定する必要はありません。すべてを併用しても良いですし、自分のやりやすい方法からはじめて見ると良いでしょう。
そうして、良い借り換え先が見つかりましたら、フォローを受けながら、実践に移ることができます。
借り換えのメリットの可否、借り換え先等をアドバイスしてくれる「借り換え専門会社」があります。
(④ファイナンシャルプランナーに相談する)
3つの方法とお話しましたが、(④ファイナンシャルプランナーに相談する)という方も一部いらっしゃいます。
筆者も住宅ローンや借り換えについて相談を受けることは多いです。
しかし、ファイナンシャルプランナーに相談して、借り換え先が特定できることはおそらく多くはないと思います。「住宅ローン専門ファイナンシャルプランナー」などという肩書を持っているFPを優先して選択したほうが良いと思われます。
一般的にファイナンシャルプランナーに相談するメリットは、住宅ローンの知識やその後のお金の流れ(キャッシュフロー)家計のお話など全体的に幅広く、その後のお金のことについて相談できる点です。「
ライフプラン表」や「キャッシュフロー表」というものを作成し、そこから今後の問題点や改善点をアドバイスしてくれるところが一般的に言うファイナンシャルプランナーの強みと言えます。
ファイナンシャルプランナーと言っても、それぞれの強みはあります。何が専門なのか?得意なのか?など最初に確認しておくと良いでしょう。
このことは銀行や借り換え専門会社では、詳しくはできません。
その他のお金のことについて、相談してある程度のその後の「指針」のようなものを固めておきたい場合や、今の自分が取ろうとしている方法が良いのかどうなのか?第二の意見がほしいなど、という場合はおすすめと言えます。
ファイナンシャルプランナーは、強みがそれぞれ人や会社によって違います。事前に確認しておくと良いでしょう。一般的には、住宅ローン以外のお金の流れについての問題点や改善点を相談できる相談場所です。
まとめ
住宅ローンの借り換えを実行していくまでのポイントをまとめました。
筆者はファイナンシャルプランナーとして、皆さんのお金が「必要なときに」「必要なお金が」「必要なだけ」あるようにするための、手法や考え方などを普段アドバイスをしています。残念ながら、借り換えをしたほうが良いと思っているけどなかなか次に進まない・・・、などのご意見をよくいただきます。
皆さんお忙しくされているでしょうから、致し方ないかと思いつつも、その1日、1ヶ月、1年の間でお客様のお金の面で、「機会損失」が生じている、ということに心を痛めていることも事実です。
まずはスタートするところでの皆さんの不安を払拭できれば、もっと今よりもみなさんが「借り換えによってお金が有利に残る仕組み」を作れるのではないかと言う想いでこの記事を書きました。
どうか、必要なところがありましたら、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
ファイナンシャル・プランナー
あくつFP事務所 代表
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