【FPが答えます】住宅ローンは定期的に見直した方がいい?見直し方教えて!

執筆:ファイナンシャルプランナー 加藤桂子氏

【FPが答えます】住宅ローンは定期的に見直した方がいい?見直し方教えて!

住宅ローンの引き下げが続いている昨今では、わが家の住宅ローンも見直した方がトクかどうか気になっている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は住宅ローン見直しのタイミングや実際にトクかどうか見極めるポイント、その他注意点についてお伝えしていきたいと思います。

過去の住宅ローン金利の推移

住宅ローン金利がどのように推移してきたかを住宅金融支援機構が発表している過去30年間の店頭表示金利(「基準金利」とも言う。実際の借入金利はここから金利優遇を行った「適用金利」となる。)で見ていきましょう。

住宅金融支援機構 過去の店頭表示金利引用先:https://www.flat35.com/loan/atoz/06.html

この期間の中で一番金利が高いのは平成3年(1991年)の8.5%(変動金利)ですが、そこからバブル崩壊を経て金利がどんどん下がり、現在(2019年9月)では2.475%にまで下がっています。

フラット35(住宅金融支援機構の全期間固定の住宅ローン)についても過去10年どれだけ金利が下がったか見ていくと、借入期間21年~35年の最低水準金利が2009年9月に2.40%であったのに対して2019年9月現在は1.11%と、この10年でも1%以上下がっています。

このことから、過去に住宅ローンを組まれた方であればいつでも十分借り換えを検討する余地があるということが言えます。

住宅ローンを見直すと本当にお得になる?

では、借り換えることによって本当にトクをするのでしょうか?これは金利以外の要素を検討していかなければなりません。

住宅ローンを借り換えるということは、現在組んでいる住宅ローンを全額繰り上げ返済して新たな住宅ローンを組む必要がありますので、それに対して費用が発生することになります。

住宅ローンの借り換え費用

借り換えの費用は大きく分けて

①現在の住宅ローンを全額繰り上げ返済するための手数料
②保証料(無料のところもある。金利に0.2%上乗せして払う方法と現金で一括で払う方法がある。)
③融資事務手数料

の3つとなりますが、最初の住宅ローンで「②の保証料」を現金一括で支払っていた場合、未経過分の保証料が戻ってくる可能性があります。住宅ローンの借り換えの場合、この3つの費用を新たに支払ってもなおトータルでトクになるかどうかが判断のポイントとなります。

では、具体的には借り換えのためにどうしたら良いでしょうか。まず、各金融機関の借り換えシミュレーションサイトで具体的な数字を入力して比較していきますが、ここでシミュレーションする前にいくつか大事なことを決めていかなければなりません。

住宅ローン控除について

まずは現在住宅ローン控除を受けており、新たな借り入れで引き続き住宅ローン控除を受けたいのであればその要件(新たな住宅ローンの償還期間も10年以上であること)を満たす必要があるということ。

住宅ローンの金利タイプ

また、住宅ローンの金利タイプを今のままにするかどうかということです。住宅ローンの金利タイプは大きく分けて3つあります。

変動金利

一つが「変動金利」です。3つのタイプの中では一番低い金利なので人気がありますが、最大のデメリットは今後の金利変動リスクを自分で負わないといけないということです。

変動金利タイプの金利見直しは年に2回あり、見直し後の金利に上限はありません。長い目で見た将来には前述したような8.5%にもなる可能性もゼロではありません。

変動タイプの支払額に関しては多くの金融機関で「5年ルール」と「125%ルール」があります。

これは、金利が急に上昇した場合でも5年間は支払額を変えず、5年後に変える場合も前の支払額の125%を超えないというルールですが、支払額をコントロールしているだけであって金利が急に上昇した場合には元本が全く減らずに利息だけ払い続けることになる可能性もあるので注意しましょう。

固定金利期間選択型

また、もう一つの金利タイプは「固定金利期間選択型」と言われるもので、当初の固定金利期間は金利が変わりませんが、期間終了後はその時の金利の影響を受けます。

固定期間終了後に金利が上昇していればその時の金利で計算された返済額を支払うことになります。

全期間固定金利型

三つ目の金利タイプは「全期間固定金利型」です。住宅金融支援機構のフラット35の他、各金融機関も独自の全期間固定の商品を出しているところがあります。

他の住宅ローンの金利タイプと比較して若干金利は高いですが、将来の金利上昇リスクを負う必要がありません。

全期間固定金利の金利は年々下がり続け、現在では変動金利タイプと比較してもそれほど大きな差はなくなっています。

現在の世界経済全体を見てみれば、米中の経済摩擦や景気の悪化不安から各国の中央銀行は金利を下げている状況ですし、日銀も当面は金利を上げる様子はありません。

しかし、住宅ローンは長期間返済していくものなので、長い目で見れば金利が上がるリスクもあることを想定しておかなければなりません。

現在変動金利で住宅ローンを組んでいるのであれば、多少返済額が上がったとしても、将来の金利上昇リスクを避けるために全期間固定を選択するというのは堅実な判断であると言えます。

団信(団体信用生命保険)の内容

次に、団信(団体信用生命保険)の内容を検討して行きます。死亡や高度障害で以後の返済が不要になるオーソドックスなタイプのもの以外に、最近では金利を上乗せすることによって三大疾病、八大疾病保障などもカバーできる商品が増えています。

このような保障範囲の広い団信を選ぶ場合、気を付けて見ていただきたいのが保険金が下りる要件です。

これは各金融機関で内容が異なります。例えば60日間の所定の状態が続いて初めて保険金が支払われるのか、あるいはその疾病の治療を目的とした手術を受けただけでも該当するのかといった違いがあります。

こういった団信の内容も金融機関の比較の材料にすると良いでしょう。

借り換えのための融資の申し込み

借入期間・金利タイプ・団信の内容が決まったら、いよいよ借り換えのための融資の申し込みをすることになります。

最初に住宅ローンを借りた時とは自分のライフスタイルが変わっている場合があります。例えば転職したばかりであったり、収入が減っていたり、過去にローンを滞納したことがあったり、住宅ローン以外の借入額が多かったりといった場合には融資を断られる可能性もありますので、まずは融資が受けられるかどうかを金融機関に確認してみましょう。

金融機関によって融資の要件が異なりますので、一つの金融機関に断られたとしても他では大丈夫だったという場合もあります。

あきらめずにいくつかチャレンジしてみてください。

そしてもし、以前のローンの時に夫婦共働きだからとペアローンを組んでいる場合はそこも見直してもいいかもしれません。

ペアローンでローンを組んだ場合、夫と妻それぞれが住宅ローン控除を使えるというメリットがありますが、万一夫が亡くなっても妻の側のローンは残ります。

今後もし妻が出産・育児で家庭に入るような状況が考えられる場合は、ペアローンはでなく夫の単独借り入れにして万一の場合にも残された家族にローンが残らないようにする方が安心かもしれません。

フラット35やいくつかの金融機関では、配偶者を連帯債務者にすることで夫婦で団信に加入できるようなプランも用意されています(夫婦連生団信)。

夫婦どちらかに万一のことがあった場合は持ち分割合や返済割合にかかわらず住宅ローンがゼロになりますのでおすすめです。

他の金融機関から融資が受けられるとなった後で、ぜひ行っていただきたいのが現在住宅ローンを組んでいる金融機関です。

もし現在のローンのまま金利だけ引き下げてもらえたら借り換えのための保証料や手数料が不要になりますし、新たなローンを設定するための書類を用意する手間もなくなりますので交渉して損はないでしょう。

しかしながら交渉のための材料は必要となるので、そのために先に他の金融機関の借り換え要件を提示する必要があるのです。

以上、住宅ローンの見直し方について解説いたしました。

見直しの目安としては一般的に、金利が1%以上下がった場合、残債が1000万円以上ある場合、ローンの残りが10年以上ある場合と言われますが、そうでない場合もトクになるケースがありますし、また返済額が上がったとしても金利プランや団信などを見直した方がいいケースもあります。

各金融機関のシミュレーションサイトを活用しながら、家族のライフスタイルに合った借り換え方法を検討していきましょう。

<執筆者>加藤 桂子 氏

CFP®、1級FP技能士

(株)ファイナンシャルファシリテーターズ 代表取締役
札幌市中央区南3条西25丁目2-5
011-215-7901

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