終活にかかるお金を節約する方法は?~アライアンサーズ株式会社 久保わたる氏インタビュー
独居老人は2015年に1841万世帯を超え、さらに2040年には1994万世帯に達するという予測もあり、独居老人や老夫婦問題は待ったなしの社会課題だ。
そこで、お葬式や介護などの課題にフォーカスした終活コンシェルジュのアライアンサーズ株式会社が設立された。
終活カウンセラーでもあるアライアンサーズ株式会社代表取締役社長の久保わたる氏は、「老後資金や60代以降の働き方は、少なくとも50代までには考えた方がよく、困った時の老後生活相談に特化した相談先を確保していくことが大切」と提案する。
そのアライアンサーズ株式会社の久保社長に老後資金の確保、シニアの節約方法などについてお話を伺った。
アライアンサーズ株式会社 代表取締役 久保 わたる氏
老後資金は早め早めの対応と相談が重要
高齢者のお金の問題について教えてください。
ご家族状況(独居など)や資産状況によって大きく異なりますが、できれば現役のうちに、終活カウンセラーやファイナンシャルプランナーに老後資金(月間で使える金額の試算等)の相談をして「お金の見える化」をお勧めします。
終活全般に言えることですが、問題が発生してから対応ではなく、事前準備が大切です。もやもやした老後資金の不安をいつまでも抱えることは心身に良くないのは言うまでもありません。
しかし、健康なときに不健康を想像できない(意図的に考えない)ように、ご自身やご家族が手を付けられなくなってから老後資金のご相談にいらっしゃる方が多いのが現実です。
「生活保護の申請をお勧めします」と助言せざるを得ないときもあり「少し早くご相談頂ければ、事態は少しでもよかったのに」というケースは、終活カウンセラーとして一番悔しいものです。
定年退職後の働き方についても自分よがりでなく、一度、終活カウンセラーやファイナンシャルプランナーになどの専門家に相談してみてください。
役員、再雇用、嘱託職員、アルバイト、起業、定年退職後の働き方には様々な選択肢があります。
現在は既存キャリアを生かし、会社に残る(もしくは同種の起業)が主流ですが、今後はインターネットを駆使して個人で稼ぐことでセカンドライフを歩まれる方が増えていくでしょう。
働けるうちは老後資金を減らすのではなく、増やす術を考えるとずいぶん変わります。働いている時間は個人のお金の出費も減りますし、認知症予防にも効果的です。
しかし、繰り返しにはなりますが、ご自身の課題や解決策をご自身で考えることには限界があるのです。
お金の増やし方とその手段である仕事も専門家がいますので積極的に活用して頂きたいものです。
定年になってから考えるのでは遅いのでしょうか。
定年退職後はお金を増やす手段が減りますので、事前が有利です。
60歳、65歳で雇用契約の変更や保険料の変動も予想されますので、対策出来る範囲は減ります。
老後資金を見直すためにも、月々のPL(損益計算書)を作成して老後の家計を見直しすると、漠然とした不安が減ります。
パソコン操作のリテラシーがあれば、PL(損益計算書)をエクセルで作成してみてもいいですし、自信のない方は誰かに作って、老後の家計を見直すといいでしょう。
お金とは少し違いますが、老人には孤独の問題も付きまといますね。
おっしゃる通り、老後三大問題に「孤独」があり、我々は、「孤食(1人でご飯を食べること)」を避けて欲しいとアドバイスしています。
最近、東京大学医学部の教授に聞いたのですが、孤独からくるネガティブなものの代表例が、1人でご飯を食べることなのです。
孤食など社会的孤立⇒精神衛生のマイナス⇒認知症発症リスクなど脳的にも良くないそうなので、おひとりで生活していても、日にちを決めて誰かと会食した方がいいでしょう。
孤独が深まると結果として、孤独死のリスクが高まりますので、是非趣味などを通じてグループの輪に入ることを心がけてください。
傾向として、男性は会社の仕事を一生懸命やってきたため、遊び等の人間関係構築があまり上手とは言えません。
個人的なお勧めは認知症対策と人間関係がつくりやすい「健康麻雀」はいいですね。
「健康麻雀」は街中で増えていますので是非遊びに行ってみてください。(飲まない・吸わない・賭けない健康的な健康麻雀は、頭脳を使うので認知症・介護予防対策になると言われています)
終活の二大問題は「お葬式」と「介護」
そんな中、アライアンサーズではどのような業務を展開されているのでしょうか。
終活は二つ大きな課題があると考えており、一つはお葬式、もう一つが介護問題です。
人の老死は避けられません。人が死ぬとお葬式、相続、墓など多くの問題に対処しなければならなくなりますが、どこに相談すべきで、いくらかかるのかということがわからず、漠然とした不安を抱える方が多くいらっしゃいます。
弊社(アライアンサーズ)では、お葬式と介護施設の探し方を中心に終活全般の提案をします。他社とアライアンサーズの違いは、独居老人と老老夫婦に強みがあるお葬式(お骨対応も含む)です。
通常、お葬式は必ず喪主がいて、支払いや差配をしますが、独居や老老夫婦ではそれが難しいので、生前からご相談頂き、もしものことがあればお骨のことも含めて弊社が対応します。
お葬式は直葬等、小規模化の傾向ですが、これは、亡くなる年齢が90歳近くになり、現役時代の時の付き合いや人との交流が少なくなるからだと思われます。
しかしながら、故人と最後の時間を過ごしたいというご家族のニーズもありますので、仮通夜規模の自宅葬というサービスをつくりました。残された方がお気持ちを整理する場所と時間が必要だと考えます。
お葬式の提案から始まって、今の老後生活にどのような問題があるかを発見することも我々の仕事で、たとえば、「田んぼや山を持っていますが、どうしたらいいでしょう」というような相談もあります。
企業経営者の方の場合、お付き合いのある税理士に相続税申告を依頼されるケースが多いですが、実は相続税申告(特に土地評価)の得意不得意は税理士次第で全然違います。
ここ数年騒がれている相続税還付(相続税の払い過ぎによる還付請求手続)もこのようなケースから出ることも多いそうです。
弊社(アライアンサーズ)では、相続税申告を得意とする税理士の紹介もさせて頂いています。
お葬式の費用が高騰する事例をご紹介させて頂きます。
現代では病院で亡くなる方が多いですが、病院側は退院を早くするように促してきます。
そのため葬儀社が決まっていない場合、病院と関係の深い葬儀社を紹介され、見積を掲示されます。「仮にその金額が高い場合」でも時間がなく、精神的に余裕のない中でその葬儀社を断れるでしょうか?
生前に葬儀見積を取る意味はこのような場合に備えるためでもあります。
シニアの皆様はなかなか賃貸(部屋)を貸してもらえないようです。
シニアの皆様に限りませんが、もし事故死された場合は家賃が下がり、大家さん、不動産屋さん視点では、空室が生じるリスクがあります。
大家さんの商いは家賃収入ですから、自分の生計に響いてきますね。シニアの皆様や大家さんには、事故死を減らすもしくは死後間もない時間に発見する見守りの民間サービスを活用して頂きたいものです。
完全に事故をゼロにすることは難しいですが、亡くなってから数日間で発見できれば、畳の張替えも必要なくなり、物件を守ることにもつながります。
民間努力によるものになりますが、そのような仕組みと周囲の理解が広がれば、シニアの皆様への貸し渋りも減るのではと考えています。
久保社長は、終活コンシェルジュとして士業の先生方と活発に連携されていますね。
終活コンシェルジュの仕事は、一つの問題を深堀りするというよりも、まずはご相談頂いた内容とその他の問題点の発見をすることです。
いわば交通整理係で実際に動いて頂くのが各分野の士業の先生です。士業の先生と連携することでワンストップに解決するように心がけています。
シニアが賢く老後で節約する方法とは?
シニアにとって賢い節約法はどのようなものでしょう。
まずは何か問題があった時の準備をするべきです。介護や葬儀が必要になったときに誰に頼むかを決めるだけでも状況は全然違います。
前述のとおり、お葬式や住環境(老人ホーム等)の準備をするだけでも相当な節約につながります。
その節約したお金で海外旅行に行くモチベーションにしても良いと思います(笑)
そして終活の最大の落とし穴は、「思い込み」で、それは人生の年長者の方こそ陥りがちな話です。なぜなら経験則で物事を判断しがちだからです。
「うちは財産がないから揉めない」実際は、1000万円以下でも相続が「争続」になります。
相続で揉める理由はお金だけでなく、ご遺族の「感情」が起因するので、他にも色々ありますが、複雑な事情が絡みトラブルは発生します。
家庭崩壊、悲しい相続裁判による弁護士費用の発生、このようなお金のトラブルを防ぐためにも公正証書による遺言を残すことも「節約」だと考えいます。
必要経費を惜しまないことも大切なことですので、無駄な出費は何か?必要な出費はなにか?を整理してみてください。
そして浮いたお金で趣味やご家族のために使って頂ければ嬉しい限りです。
社名 | アライアンサーズ株式会社 |
代表者 | 久保わたる |
所在地 | 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1-32-10 JR高田馬場駅徒歩1分 |
電話番号 | 03-6260-8637 |
業務内容 | 終活相談(初回無料)/お葬式/老人ホーム施設紹介/少額短期保険/家系図作成等 |
ホームページ | 会社ホームページ 気楽なお葬式 YouTubeちゃんねる(是非登録をお願いします) |
取材日: 2019年9月17日