ムダな弁護士費用をかけない!弁護士の新しい使い方~フェリクス少額短期保険株式会社 多田 猛氏インタビュー

フェリクス少額短期保険株式会社 多田 猛氏フェリクス少額短期保険株式会社 多田 猛氏

弁護士は、トラブルが大きくなって、訴訟したいときに駆け込むもの。敷居が高く、代金もかかってしまうと心配する向きも少なくない。だが、従来の「弁護士」のイメージを変える、新しいサービスが誕生した。

弁護士は、訴訟をしないため、裁判に持ち込まずにトラブルを解決するために、身近で相談するもの。保険を使って、安く賢く、弁護士を使用するサービスとは。

気軽に弁護士を使っていただくための保険サービス

事業者向けの「弁護士費用保険」という新しいサービスをスタートしたそうですね。どのような保険でしょうか。

主として中小企業の経営者や個人事業主向けの「弁護士費用保険 リガールBiz」というものです。弁護士を使いやすくするための保険といえばよいでしょうか。

月々1万円を切る保険料で、弁護士への法律相談料や、着手金などの訴訟・示談交渉費用までをカバーできます。事業活動に関する様々なトラブルに対応し、会社を守り、強くする保険です。

この保険を販売するために「フェリクス少額短期保険株式会社」を立ち上げました。創業は2年前の2017年4月7日で、準備会社として設立。保険会社として認められたのが本年、令和元年5月7日。改元以後の平日初日ということで、令和で初の保険会社です。

弁護士が保険会社を経営するのは珍しいのでは?

実は今、弁護士が起業して、様々なリーガルサービスを株式会社として提供する例が増えています。その方がより多くの人を救い、より多くの人の権利を守ることにつながると考える人が増えているのでしょう。

「弁護士費用保険」は、欧米、とりわけヨーロッパでは非常に普及しているものです。顧問費用は払えなくても保険には入っておこうという中小・零細企業がたくさんあるのです。

ドイツはアメリカのような訴訟大国ではありませんが、世帯の約40%が弁護士費用保険に加入しています。日本でも、もうすぐ企業経営者と弁護士の新しい関係が始まると思います。

サービス内容を詳しく教えてください。

「リガールBiz」のメインは、弁護士費用の補償です。「いつでも弁護士に相談できる法律相談料の補償」、「いざという時の弁護士費用の補償」という2つの補償が特長です。

法律相談料は全額補償します。交渉や訴訟になった場合、通常は着手金が必要なことが多いのですが、その着手金については、7割補償します。保険金は、弊社から契約者様が相談・委任をした弁護士に支払います。

*ご契約プランによって、年間限度額や1事案限度額の範囲内での補償となります。詳しくは、加入時にご確認ください。

また、日本弁護士連合会(日弁連)と提携しておりますので、全国の弁護士を紹介できます。

さらに、もう一つの特徴として、被保険者には、会社だけでなく、取締役もカバーされます。何人いても同じ保険料内です。会社と取締役は一蓮托生ですから。

「リガールBiz」の利用シミュレーション

裁判にはどの程度の費用がかかるのでしょうか。

事業でトラブルが起こると、相手方と何らかの話し合いをすることになりますよね。それでも解決しなかったら、裁判にならざるを得なくなることもあるでしょう。

裁判は時間やお金がかかるだけでなく、精神的にも辛いものです。たとえば1000万円の事件で、訴訟にかかる弁護士費用は、平均的な料金で、着手金として最初に払わなければならない費用が59万円、裁判に勝つと成功報酬は118万円、合計すると176万円になります。

1000万円を賠償請求して勝っても800万円ちょっとしか残らないわけです。

こう考えると、日本では裁判はなるべく避けるべきです。訴訟にせずに経済合理性で解決する方が腕利きの弁護士とも言えるでしょう。

裁判に勝っても費用は自己負担。弁護士への早めの相談で裁判前に解決できることも

裁判にしないことも弁護士の仕事なのですね。

そうです。弁護士の仕事は裁判が始まる前の段階から始まっています。裁判になる前のトラブルの早目の段階からその芽を摘んでおく、交渉の時に入ってもらって解決するなど、裁判前の段階における弁護士の仕事は非常に重要です。

契約に関する裁判では、もし勝訴できても、弁護士費用を相手方に負担させることはできません。100万円、200万円と弁護士費用にかかっても、アメリカなどとは違って、今の日本の仕組みでは全部自己負担です。

「リガールBiz」を使うと、どんなメリットがありますか。

法的トラブルは、訴訟など金銭面の負担が大きくなる前に、早めに弁護士に相談し、問題を必要以上に大きくしないことが大切です。

そのための付帯サービス「弁護士直通ダイヤル」があります。トラブルが起こったらすぐに弁護士に相談できる直通ダイヤルです。日弁連と協定を締結しておりますので、企業法務の経験豊富な弁護士が待機しており、ダイレクトに弁護士に電話が繋がります。

1日1回15分以内の無料相談ができ、一般的な法制度上の助言や、弁護士が必要かどうかという助言をしてもらえます。

労務管理、SNSトラブル、賃貸トラブル、水漏れ、債権回収、事業承継などのトラブルなどの初期相談に幅広く対応できます。

法務部があり、顧問弁護士もいるような企業でも必要ですか。

「リガールBiz」は、顧問弁護士がついている企業でも利用可能です。利用することによってより法的トラブルに強い会社になれます。

顧問弁護士がいても、示談交渉や訴訟にかかる費用は、別途企業が負担しなければなりませんが、その費用を保険でカバーできるようになります。

そのほかにも法的トラブルの予防方法はありますか。

「リガールBiz」の「ドキュメントサービス」をご活用ください。

これは、ITを使ったウェブ上での契約書締結サービスです。また、AIで契約書のレビューをして、リスク判定したり、修正案を提示したりするサービスも初回1通無料でご利用いただけます。

訴訟というものは、医療でたとえれば“手術”のようなものです。いきなり手術するのではなく、早い段階で治療できるのなら、それに越したことはありません。

「早期発見、早期治療」がベストなのは、弁護士業界でも同じです。さらに、「健康に気をつけましょう」は、弁護士業界でいえば「しっかり契約書を締結しましょう」ということになります。

「ドキュメントサービス」を活用して、会社の健康を維持していくことも、法的トラブルを未然に防ぐ予防方法といえるでしょう。

中小企業や個人事業主の応援で弁護士業界にも活気を

なぜこのサービスを始められたのでしょうか。

私は京都大学卒業後、教育関連の会社に就職したのですが、その会社が大きなトラブルに巻き込まれ、「零細企業、中小企業でもコンプライアンスは重要だ」と痛感したことが原体験になりました。そこから、弁護士として中小企業の社長を支えたいと考えて司法試験を目指しました。

弁護士になって7年目を迎え、中小企業を支援すること、弁護士業界を盛り上げることの二つを同時にできる仕組みはないかと模索しはじめました。

ベンチャー企業を支援する政府の国家戦略特区(雇用労働相談センター)の事業に参画し、無料で労務に関する法律相談ができることから、多くの中小企業の経営者のご相談を受けました。

そこで、中小企業の皆さんにとって、弁護士は必要であることと、費用が負担だと感じていることに気づき、事業者向けの弁護士費用保険をつくろうと決意しました。

目の前で困っている方を助ける仕事も大切ですが、弁護士業界として多くの人を救える事業をビジネスモデルとして実現できないかと研究を続け、たどり着いたのが事業者向け弁護士費用保険「リガールBiz」です。

弁護士はあまり身近な存在ではないように感じていました。

一般の方にとっては、弁護士は敷居が高いイメージだと思います。どうやって相談すればいいか分からないという方も多いでしょう。

中小・零細企業の皆さんが使いやすくするために、弁護士が変わっていかなければならないと思います。弁護士の活躍する面はたくさんあります。

顧問弁護士がいない中小企業は約8割、法務部がない中小企業は約7割と言われています。やはり、中小企業・零細企業では、コンプライアンス・法律に対する備えができていない会社も多くあります。

経営者は悪戦苦闘しながら、本業のビジネスを推進するのに精いっぱいで、コンプライアンスのことまで考える余裕がないというのが実情でしょう。

日弁連の調査では、中小企業の85%が法的課題を抱えているそうです。これらの多くは、労働問題、債権回収の問題、顧客からの不当なクレームといったものです。

何かしら困りごとを抱えているにも関わらず、弁護士にアクセスできていない。なぜでしょうか。

要因は、まず認知度です。弁護士の使い方が分からないのです。裁判を起こすときだけ必要というイメージがあって、裁判にならないための予防策として弁護士に相談すべきなのに、弁護士を使えていないわけです。

それからアクセス、接点がないということもあります。さらに敷居の高さやコストなど、多くの課題があります。

今回、日弁連との協定のもとに、サービスを提供することになりました。もっと弁護士の仕事を身近に知っていただき、中小企業経営者・個人事業主の方々の助けに少しでもなれることを願っています。

商号 フェリクス少額短期保険株式会社
代表者 代表取締役 多田 猛(ただ たけし)
1979年 兵庫県姫路市生まれ
2002年 京都大学法学部卒業
一橋大学法科大学院(ロースクール)修了
イーリス総合法律事務所代表弁護士
所在地 東京都千代田区平河町2-10-4
設立 2017年(平成29年)4月7日
登録 2019年(令和元年)5月7日
関東財務局長(少額短期保険)第90号
事業内容 少額短期保険業及びこれに付随する業務
ホームページ https://felix-ins.co.jp

取材日:2019年9月6日

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