フラット35とは?メリット・デメリット教えて?【住宅ローンアドバイザー 寺岡氏が回答】

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執筆:寺岡 孝 氏

フラット35とは?メリット・デメリット教えて?【住宅ローンアドバイザー 寺岡氏が回答】

いつかは、マンションや一戸建てを買いたいと思う方は数多くいらっしゃるかと思います。

ただ、マンションや一戸建てのようなマイホームを買うに当たっては、住宅ローンを借りないと購入できない場合が多いものです。

中でも、低利の固定金利で長期間の返済が可能な「フラット35」は、魅力ある住宅ローン商品の1つです。

そんな魅力的な「フラット35」なのですが、そのメリットやデメリットといったものはどんなものがあるのでしょうか。

ここでは、フラット35のメリットとデメリットについて見ていきたいと思います。

◆目次
・フラット35とは?その特徴や基本知識を知ろう
・フラット35の借り入れ条件は?
・フラット35のメリット
・フラット35のデメリット
・フラット35が向いている人
・まとめ

フラット35とは?その特徴や基本知識を知ろう

そもそもフラット35という住宅ローンは、昔の住宅金融公庫が行っていた住宅ローンがその基礎となっています。

住宅金融公庫は行政改革の一環で統廃合を受け、現在では国土交通省と財務省が管轄する独立行政法人として住宅支援機構という名称に変わりました。

現在では、この住宅支援機構が民間金融機関と提携して長期の固定金利住宅ローンの取り扱いしており、この住宅ローンをフラット35としています。

長期固定の住宅ローンは民間の金融機関では金利リスクが賄えないので、そのリスクを住宅支援機構が担い手となっています。

この内容は旧住宅金融公庫が住宅ローン融資を行っていたものを踏襲しており、住宅を買いやすくするために長期の固定金利で住宅ローンが出来た背景があります。

長期固定金利は返済期間中の返済額は変わりがなく、住宅購入者の家計には予定が立てやすいというのが特徴といえるでしょう。

また、最近では、住宅ローン借り入れ後に繰り上げ返済をする計画する人も増えていますが、フラット35では民間金融機関の住宅ローンとは異なり、繰り上げ返済に手数料はかからないのも特徴です。

フラット35の借り入れ条件は?

フラット35にはその借り入れ条件が設定されていますので、それらを見てみましょう。

まず、1つは返済期間の条件が設定されています。

その条件は、次の2つのうち「いずれか短い方の期間内で完済しなさい」という内容になっています。

1つは15年以上35年以内。

ただし、申込人の年齢が満60歳以上の場合は10年以上となります。

2つ目は完済時の年齢が80歳となるまでの年数(申込年齢は1年未満は切上げして換算)。

フラット35にはこうした返済期間の条件がありますので、先ほどの例のように69歳で申込みをした人は、10年以上、もしくは80歳完済の2つのうちの短い返済期間となりますので、返済期間は10年となります。

このように、70歳未満の人でも申込みは可能ですが、返済期間が短期間になるので注意が必要でしょう。

返済期間の条件にはこのように80歳完済というものがあります。

この年齢を逆算して考えると、45歳までには借入しておかないと最長の35年返済では住宅ローンが組めないということになります。

ただ、80歳まで住宅ローンを返済しなくてはいけないというのもある意味、難しいかもしれません。

したがって、住宅ローンを組んで住まいを購入する際には、その返済期間を考慮したうえで、いつ買ったらいいかを早い段階から検討しておく必要があります。

次に、年収に対する返済比率があります。

その条件は、年収400万円未満の場合はその30%まで、年収400万円以上の場合には35%以内が条件になります。

審査の際には、クレジットカードやカードローンなど、既存の借り入れ額を加算した返済比率になりますので、注意が必要です。

3番目の条件は融資対象の住宅に規定があります。

その条件は住宅の床面積が70平米以上の住宅となっており、もちろん借入人自身、もしくは親族がその融資対象の住宅に住むことが前提になっています。

昨今では、投資用のマンションを購入する際に、自分が住むと偽ってフラット35で融資を受けたケースがありました。

フラット35はあくまでも自己用住宅を対象としますので、こうした不正があった場合には借入金の一括返済を求められることになりますので注意しておくべきでしょう。

以上が概ねの借り入れ条件になります。

フラット35のメリット

こうした条件をもとにフラット35のメリットにはどういったものがあるのでしょうか。

大きなメリットとしては、返済期間中の返済額は変わらないので安心感があります。

また、繰り上げ返済の手数料が無料であったり、借り入れ時のローン保証料がかからない点や団体信用生命保険の加入が任意である点が上げられます。

例えば、持病がある人には団体信用生命保険に入らなくてもローンが借りられることができます。

また、個人事業主や年収が少なくても借りられる点にあります。

フラット35の返済比率を計算する際には現状の金利で返済を計算して年収に対する返済比率を算出しますので、収入が過小でも借り入れの上限は民間金融機関の住宅ローンよりも多く借り入れ可能性があります。

例えば、年収350万円の人がフラット35を利用する場合には、年間の返済額が350万円×30%=105万円となり、年間返済額が105万円未満までであればOKになります。

では、年間105万円の返済額はどのくらいの借入ができるかシュミュレーションしてみましょう。

現行のフラット35の金利を1.11%として計算すると、35年返済で100万円あたりの返済額は月2,874円になり、借入金の上限計算式は105万円÷12ヶ月÷2,874円=1001.14万円、つまり1,000万円までは借りられる計算になります。

これが民間金融機関ですと、金利は概ね3%程度の審査用の金利になりますので、上記のような金額までは借り入れできないとなります。

したがって、収入が少なくてもフラット35であれば借り入れ可能ということになります。

フラット35のデメリット

逆にフラット35のデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。

一見すると、長期固定などのメリットばかりが目立ちますが、実はデメリットもあります。

その1つは融資対象の住宅にはその性能等の一定の技術基準を設けており、決められた基準を守って設計や施工がなされているかが問われます。

そのため、対象の住宅には検査が義務付けられています。

したがって、すべての住宅購入に利用できるということではありません。

中には技術基準が満たされないので、通常の民間金融機関の住宅ローンを勧めてくる業者もいます。

また、融資対象はあくまでも住宅なので、登記費用などのいわゆる諸費用まで借りることはできません。

次に、金利は長期固定とはいえ変動金利よりは高くなっていますし、返済開始時期に金利が下がったとしてもその金利が適応できません。

金利自体に敏感な人には難しいかもしれません。

3つ目としては、団体信用生命保険は任意であるので、もし、団体信用生命保険の加入を希望する場合には別途で費用がかかることになります。

民間金融機関の住宅ローンは団体信用生命保険には必ず加入することが条件な反面、その費用はローンの金利に含まれた形になっています。

したがって、費用面で見れば民間の金融機関で借りた方がトクな場合もあります。

フラット35が向いている人

ここまでフラット35について色々と見て来ましたが、このフラット35はどんな人に向いている住宅ローンなのでしょうか。

まず、長期固定金利ですから、金利が上がるのが心配な人には向いています。

35年も間、同じ金利で返済を固定化ができ、安心を得ることができるので、心配性の人にとっては最適な住宅ローンと言えるでしょう。

また、サラリーマンではない自営業の人や転職後、間もない人はローン審査が比較的緩やかなフラット35が借りやすいという点です。

こうした点を踏まえて、自分自身に合った住宅ローン商品の選択をしていくことが望ましいと言えるでしょう。

フラット35【まとめ】

フラット35は長期固定金利で安心感というものが受けられます。

ただ、民間の金融機関の住宅ローンの方が大きな金利優遇を受けることができる人にとっては、民間の金融機関の方がいいという場合もあります。

したがって、自身の経済状況に応じて住宅ローンの商品選択をしていくことです。

最近では、融資対象の住宅に耐震性や省エネルギー性に優れた住宅であればフラット35Sというタイプが適応されます。

また、子育て支援型・地域活性型のフラット35の商品があり、適応を受けることができる場合には、さらなる金利優遇を受けられます。

フラット35の特徴を熟知して、ご自身にとってもっとも有利な住宅ローン商品を選択されてはと思います。

<執筆>寺岡 孝 氏
アネシスプランニング株式会社 寺岡 孝 氏

アネシスプランニング株式会社 代表取締役

<著書>
学校では教えてくれない!一生役立つ「お金と住まい」の話
不動産投資は出口戦略が9割


※以下の関連記事は「お金のプロへのインタビュー」編集部が執筆したものです。

フラット35の選び方・選ぶポイント

フラット35は、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供されます。同じフラット35でも、扱う金融機関によっていろいろな違いが出てくることに気をつけましょう。フラット35の選び方で注目したいポイントと金融機関ごとの特徴について、くわしく紹介していきます。

※記事内の金利や条件・商品内容などは、全て2018年9月現在のデータです。


フラット35を選ぶときのチェックポイント

フラット35を比較する際には、金融機関独自に設定できる項目に注目します。とくに選ぶ際に注目したいポイントを項目ごとに見ておきましょう。

金利水準

住宅金融支援機構のホームページで、年数に応じた下限金利と上限金利が公表されます。下限金利近くでの貸し出し実績がある金融機関ほど有利な条件が適用される可能性が高く、優先的に考えたいところ。頭金のパーセンテージによって金利水準を分けている金融機関も多いため、どんな条件でどのくらいの金利になっているかを調べましょう。

事務手数料

事務手数料は、住宅ローン申込をする際の手間賃として支払うものです。借入額に応じて金額が決まる「定率制」もしくは「定額制」の2種類のうち、金融機関が定めている方法で支払います。

定率制同士の比較なら、パーセンテージが低いものほど有利です。たくさんお金を借りる場合は定額制の方が安くあがることも多く、想定している借入額を使った計算結果で比較しましょう。金利水準と事務手数料を合算して考えた実質金利による比較も、場合によっては必要です。

想定している借入期間・借入額で総返済額をシミュレーション、計算結果を比較すると、どの金融機関が有利か明確になります。

金融機関独自の特典

イオン銀行フラット35の契約者はイオングループの買い物が5%オフになる・りそな住宅ローンフラット35を契約すると「りそなクラブポイント」1万ポイントプレゼントなど、金融機関独自の特典もチェックしましょう。

楽天銀行のフラット35では、ローン返済口座に楽天銀行を指定すると事務手数料が優遇される特典があります。

住宅ローン契約をするからには、その金融機関と10年や20年と非常に長期間のおつきあいになることが前提です。金利や手数料以外の隠れた特典にも注目して、金融機関を選択しましょう。

団体信用生命保険

フラット35の団体信用生命保険に上乗せで、金融機関独自の保障をつけられるローンもあります。家族のことを考えるなら、なるべく手厚い保障の団信を選択するのがおすすめ。

ガンや脳卒中、高血圧症など、8大疾病保障がついた団信を契約できる金融機関は安心です。なお、住宅ローンの団信はあえて最小限に留めて、他の生命保険で保障を充実させる方法もあります。

どんな方法で自分がもしものときの保障を用意するかは、人それぞれの判断によるところ。住宅ローン契約と合わせて、生命保険の既存契約見直しも考えてみましょう。

フルローンの可否

フラット35では、10%以上の頭金を入れられると金利が優遇される制度があります。このシステムを有効活用するために、頭金分を金融機関独自のローンでまかなってくれる金融機関は良心的。金融機関独自のローンとの掛け合わせでフルローン契約できるかどうかも、重要なチェック項目です。

金利で選ぶ!フラット35のおすすめ金融機関

金利からフラット35を選ぶ際には、機構団信付き・借入9割以下・借入期間21年~35年など、横並びの条件をチェックします。住宅ローン比較サイトでは「金利Aプラン」など特定の条件がついた優遇プランの金利を掲載していることもあるため、注意しましょう。スタンダードなプランの金利条件を比較することにより、競争力がはっきりします。

・ARUHIフラット35

借入期間 9割以下 9割超
15年~20年 年率1.310% 年率1.750%
21年~35年 年率1.390% 年率1.830%

 

・楽天銀行 フラット35

借入期間 9割以下 9割超
15年~20年 年率1.310% 年率1.750%
21年~35年 年率1.390% 年率1.830%

 

・住信SBIネット銀行 フラット35

借入期間 9割以下 9割超
15年~20年 年率1.310% 年率1.750%
21年~35年 年率1.390% 年率1.830%

 

見ての通り、基本的には横並びです。より低金利を求める人なら、フラット35(保障型)を選択肢に含めてみましょう。フラット35(保障型)とは、住宅金融支援機構が保証会社の役割を担ってくれる住宅ローンです。

返済不能になるまで住宅金融支援機構が出てくることはなく、金融機関独自の住宅ローンに近いイメージ。

団信も金融機関が独自で行っているものに加入することになり、頭金のパーセンテージや審査基準も金融機関ごとのルールにゆだねられます。

フラット35(保障型)の商品例として、ARUHI スーパーフラットの金利水準を見ておきましょう。

・ARUHIスーパーフラット8

借入期間 団信未加入
15年~35年 年率1.010% 年率1.290%

 

ARUHIスーパーフラット8は、頭金2割以上が条件のプランです。自己資金をたくさん用意できる=信用力が高いとして、買取型のフラット35よりも0.1%低い金利になっています。ARUHI以外にフラット35(保障型)を扱っている金融機関として、日本住宅ローン・財形住宅金融・広島銀行があげられます。関心がある人は、金利水準を調べてみても良いでしょう。

事務手数料で選ぶ!フラット35のおすすめ金融機関

定率制を採用している金融機関の中では、優良住宅ローンが有利です。ARUHIや住信SBIネット銀行と比較すると1.3%以上も手数料を安くしていて、初期費用を抑えたい人にとっては魅力的な会社でしょう。

住宅性能評価物件はさらに0.3%の優遇があり、0.5%とフラット35内最安値水準の手数料になっています。

◎定率制
・優良住宅ローンフラット35:融資金額の0.80% ※最低108,000円
・楽天銀行 フラット35:融資金額の1.404% ※最低108,000円
・りそな銀行フラット35:融資金額の1.836%
・住信SBIネット銀行 フラット35:融資金額の2.16% ※最低108,000円
・ARUHIフラット35:融資金額の2.16% ※最低216,000円

りそな銀行を除く金融機関では、手数料の最低水準が決まっています。少額の借入だったら、定額制の金融機関を選択するのも一案でしょう。たとえば、みずほ銀行やイオン銀行のフラット35が良い例です。

◎定額制
・みずほ銀行フラット35:32,400円 ※手数料定額型の場合
・イオン銀行フラット35:54,000円※手数料定額タイプの場合

みずほ銀行・イオン銀行ともに、手数料定額を選択した場合は、金利が少し高くなります。最初に支払うお金を少なくする分、毎月のローン返済負担を重くする考え方です。

最終的にどちらが有利になるかは、個別のシミュレーションを行わないと分かりません。「何となく割安に感じる」とイメージだけでは決めず、自分なりの根拠に基づいた選択が大切です。

独自特典で選ぶ!フラット35のおすすめ金融機関

りそな銀行・みずほ銀行・イオン銀行は、住宅ローン契約者に対するうれしい特典に力を入れている金融機関。それぞれ、以下のような特典が期待されます。

・りそな銀行
コンビニATM利用手数料が月3回まで無料になったり、振込手数料を月3回まで半額にしてもらえたりと、魅力的な特典がつきます。

Tポイントや楽天スーパーポイントに交換できる「りそなクラブポイント」の付与率もアップ。住宅ローン契約を機に給与受取口座をりそな銀行にしたりデビッドカードを活用したりすることが効率的にポイントを貯める近道です。

・みずほ銀行
みずほ銀行でフラット35を契約すると、みずほマイレージクラブ会員の特典がついてきます。みずほマイレージクラブ会員の特典は、みずほ銀行ATMの時間外手数料はいつでも無料・コンビニATMの利用手数料も月4回まで無料など、家計にやさしいものが豊富。

フラット35を完済した後にも、多目的ローンの金利を優遇してくれる特典がつきます。

その他、<みずほ>の住宅ローン パートナーセレクトとして、ハウスクリーニングが10%割引になったり引っ越し料金が15%オフになったりと、パートナー企業と提携したサービスも注目したいポイントです。新しい住まいで円滑なスタートを切れるように、総合的なサポートを受けられます。

・イオン銀行
1,000万円以上かつ借入期間10年以上の住宅ローン契約をすると、イオンセレクトクラブに入会できます。完済までずっとダイエーやイオン・まいばすけっと・マックスバリュなどのお買い物が5%オフ。

口座振替やクレジットカード経由で公共料金決済すると毎月5WAONポイント プレゼント・WAONのオートチャージ200円ごとに1WAONプレゼントなど、ポイントが貯まる特典も魅力です。

他にもイオングループ各社からの特典はたくさんあって、カードが送付されるときについてくるガイドブックで一覧を確認できます。

団信で選ぶ!フラット35のおすすめ金融機関

住宅金融支援機構の提供している団信には、新機構団信・新3大疾病付機構団信の2種類があります。

これでは心もとないと感じる人におすすめしたい金融機関が住信SBIネット銀行とARUHIです。独自の保障を上乗せで付加できて、家族のための備えができます。

・住信SBIネット銀行 全疾病保障
がん・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧症などあらゆる病気やケガで働けなくなった際、その月のローン返済が免除されます。がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病・肝硬変・高血圧症・慢性腎不全・慢性膵炎の8つについては、12ヶ月働けない状態になったときには残債務もすべて免除。

その他の病気やケガについては、12ヶ月働けない状態になったときに見舞金30万円・24ヶ月働けない状態になったときには残債務のすべて免除を受けられます。ここまで充実した保障なのに、保険料の別途負担はありません。

・ARUHI 団体信用生命保険(団信)
一般的な団信に上乗せして、がん保障や10種類の生活習慣病など、充実した保障がついたプランを選択できます。

がんと診断された際に住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障プラン」なら毎月約240円(※)を上乗せするだけの負担。がんと診断された際にローン残高が0円になる「がん100%保障プラン」なら、毎月710円(※)くらいの上乗せです(※借入金1,000万円、金利(一般団信込)年1.0%、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なしの場合)。

がん以外の病気やけがに対応するには「生活習慣病団信」を選びましょう。生活習慣病で180日以上入院したときにローン残高が0円となり、以降の返済が免除されます。

ARUHIの団信に申し込むと、24時間対応の電話健康相談やセカンドオピニオンサービスがついてくるところもポイント。育児や介護に関する相談も自由にでき、家族の健康維持に役立ちます。

フルローンで選ぶ!フラット35のおすすめ金融機関

フラット35と合わせて活用できる独自のローンがある金融機関として、ARUHI・優良住宅ローン・住信SBIネット銀行などがあげられます。金利水準はかなり差があり、なるべく低金利で借入できる商品を選択したいところ。各金融機関の扱っているローン商品や特徴を見ておきましょう。

住信SBIネット銀行 ミスターパッケージローン
金利タイプ:変動金利タイプ・固定金利特約タイプ
参考金利:年率1.600% ※変動金利の場合
借入期間:フラット35の融資期間以内
融資金額:建設費や住宅購入価額の10%以内

ARUHIフラットα
金利タイプ:変動金利
参考金利:年率3.195%
借入期間:フラット35の融資期間以内
融資金額:100万円以上。フラット35との合計で200万円以上8,000万円以内

優良住宅ローン プラスワン
金利タイプ:変動金利
参考金利:年率2.725%
借入期間:フラット35の融資期間以内
融資金額:50万円以上物件価格の10%以内。フラット35との合計8000万円を超えない範囲。

フラット35とフラット35Sの違い

フラット35よりも低金利で借入できるフラット35S。金融機関のホームページで見掛けて、気になっている人もいるのではないでしょうか。

住宅ローンは一生に一度の大きな借入だからこそ、少しでも低金利が望ましいと考えるのは当然です。ここでは、フラット35とフラット35Sの違いや利用条件に関して、詳しく紹介していきます。


フラット35・フラット35 Sの大きな違いは金利水準

いきなり結論からお伝えします。フラット35・フラット35 Sの大きな違いは金利です。2018年9月現在のフラット35の金利は、以下のようになっていました。

返済期間 15~20年 21~35年
金利水準 年率1.310%~1.940% 年率1.390%~2.020%
最頻金利 年率1.310% 年率1.390%

 

フラット35Sには、金利Aプラン・金利Bプランの2種類があります。金利Aプランは、フラット35のローン金利から当初10年0.25%の優遇。

金利Bプランだと、当初5年0.25%の優遇を受けられます。21~35年の最頻金利・年率1.390%から0.25%を差し引くと年率1.14%。これだけ優遇された金利が5年もしくは10年続くため、返済負担が軽減されます。

フラット35・フラット35 Sの総返済額を比較

0.25%の違いによって、どのくらいの影響があるのかを具体的な数値を使って見てみましょう。フラット35・金利Aプランを適用したフラット35 Sの総返済額がどのくらい変わるかをシミュレーションしてみました。

試算条件は、借入額3000万円・35年の元利均等返済・ボーナス返済なし。結果は、以下の表の通りになりました。

フラット35 フラット35S (Aプラン)
金利水準 年率1.39% 1~10年目
年率1.14%
11~35年
年率1.39%
毎月の返済額 9.1万円 8.7万円 9.0万円
総返済額 3,791 万円 3,718万円
(フラット35比 ▲ 99万円)

 

総返済額を約100万円圧縮できるだけでなく、毎月の負担も軽減されます。こんなに有利なフラット35S、使えるものなら使いたいと思いますよね。

もちろん、希望した人すべてが適用を受けられるわけではありません。ここからは、フラット35Sの利用条件や注意点をくわしく紹介していきます。

フラット35Sとは

そもそもフラット35Sは、フラット35に申込をする人に対して、質の高い住宅建設を促すための制度です。

通常のフラット35でも、住宅金融支援機構の定める基準に合致する住宅という制限がありました。

フラット35Sでは、もっとシビアに適用条件がチェックされると考えてください。「通常のフラット35」→「フラット35S(金利Bプラン)」→「フラット35S(Aプラン)」の順番に求められる技術基準は高くなります。

フラット35Sの対象となる住宅性能

フラット35Sの対象になる「質の高い住宅」とは、どのようなものかを紹介します。以下4分野の住宅性能のうちのどれかに該当するものが対象。すべての条件をクリアしなくてはいけないわけではなく、どれかに該当すれば大丈夫です。

1.省エネルギー性

外壁や窓の断熱性を高めることで、冷暖房を使わなくても快適に生活できるように配慮された住宅を指します。効率よくエネルギーを活用できるように、省エネ機器を導入することも評価対象の1つ。給湯や家電なども合わせて、総合的な省エネ性能がチェックされます。

2.耐震性

地震が起こっても構造体に修繕が必要なダメージが起きないように設計された住宅・多少の損傷が起こったとしても大規模な修繕が必要ないレベルに留めることができる住宅が対象です。耐震性を客観的に評価する指標として、住宅性能評価・表示協会の耐震等級を参照します。損傷防止・倒壊等防止など複数の観点から、住宅の強度をランク付けする指標です。

3.バリアフリー性

加齢や病気などにより身体機能が衰えた人でも安心して生活できる住宅になっているかがチェックされます。新築では、移動するときの安全性・介助のし易さの2点がとくに大事なポイント。段差をなくしたりお風呂やトイレに手すりをつけたりと、バリアフリーに対する配慮が主な評価対象です。

4.耐久性・可変性

長期間の使用に耐えられるように設計された住宅を評価する項目です。適切な維持管理を行えば数世代に渡って維持できる構造や骨組みになっていることなどが評価されます。どうしても劣化が起こってしまう設備配管などは、メンテナンスしやすく交換しやすい設計になっていることがポイントです。

金利Aプラン・金利Bプランの適用条件

4つの項目のそれぞれに対して、金利Aプラン・金利Bプランの2種類があり、それぞれに対する適用条件が決まっています。条件をまとめたものが以下の表です。暗記する必要はないので、規定がたくさんあることだけを確認ください。

フラット35S 金利Aプラン フラット35S 金利Bプラン
省エネルギー性 ・認定低炭素住宅(※1)
・一次エネルギー消費量等級5の住宅
・建築物省エネ法の規定における性能向上計画認定住宅
・断熱等性能等級4の住宅
・一次エネルギー消費量等級4の住宅
耐震性 耐震等級3(構造躯体の倒壊等防止)の住宅 ・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅
・免震建築物
バリアフリー性 高齢者等配慮対策等級4以上(共同建て住宅の専用部分は等級3でも可) ・高齢者等配慮対策等級3以上の住宅
耐久性・可変性 長期優良住宅 ・劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2以上の住宅(共同住宅などについては、一定の更新対策が必要)

 

※1 認定低炭素住宅とは?
都市の低炭素化の促進に関する法律で定める認定基準を満たしている住宅を指します。省エネ基準を超える性能を持つこと・低炭素化に貢献する措置がとられていることなどが条件です。具体的には、太陽光パネルの設置や天井断熱、床断熱や断熱サッシなどを備えた住宅にあたります。

中古タイプ基準とは

中古住宅でフラット35Sの適用を受けるためには、特有の基準が追加されます。中古住宅特有の基準が「中古タイプ基準」です。具体的には、以下4つのうちいずれかの条件を満たす中古住宅だけがフラット35Sを利用できます。

1.省エネルギー性(開口部断熱)

二重サッシもしくは複層ガラスを使用した住宅であること。ただし、浴室や脱衣室および洗面所・玄関など、一定箇所のガラスは対象外です。

2.省エネルギー性(外壁等断熱)

建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅(省エネルギー対策等級2以上または断熱等性能等級2以上)もしくは住宅金融支援機構のホームページで「フラット35S 省エネルギー性(外壁等断熱)に適合」と登録がなされている住宅であること。

3.バリアフリー性(手すり設置)

浴室の1カ所以上・階段の少なくとも片側に手すりが設置されている住宅であること。手すりは、簡単に取り外しができるものではなく、ネジなどで固定されている必要があります。吸盤で取り付けるだけの手すりは対象に含まれません。

4.バリアフリー性(段差解消)

高齢者の寝室があるフロアの部屋の出入り口すべて、玄関など指定の箇所の段差が解消されて、移動しやすいように配慮された住宅であること

上で紹介しているのは「さわり」の部分にすぎず、もっと細かく条件が決まっています。細かいところまで読みこむのは大変ですから「中古タイプ基準」という言葉だけを知っていれば大丈夫。

不動産業者に「中古タイプ基準を満たしているか?」と聞けば、フラット35Sが使えるかははっきりします。どうしても詳細を知りたい人は、住宅金融支援機構のホームページを確認ください。

▽住宅金融支援機構【フラット35】Sの技術基準の概要

フラット35Sを選ぶメリットは?

フラット35Sが使える住宅を選べば、良質な住まいを有利な条件で取得できます。そもそもフラット35が長期固定金利で有利な条件がつきやすい商品であるうえ、上乗せの優遇を受けられるところは大きなメリット。

無理ない範囲で良質な住宅を取得したいと考えている人にとっては、魅力的なローンでしょう。

金利Aプランなら10年・金利Bプランなら5年と優遇条件が適用されているうちに積極的な繰上げ返済を行えば、負担をさらに軽くすることもできます。

繰上げ返済はなるべく早く行った方が利息軽減効果は高くなり、総返済額で有利です。フラット35と同じように、フラット35Sも繰上げ返済手数料は無料。

インターネット経由で手続きする方法なら10万円から繰上げ返済できますから、無理がない範囲で取り組みましょう。

フラット35Sを選ぶ場合の注意点

フラット35より有利な条件がつくフラット35Sですが、知っておきたい注意点がいくつかあります。契約後に「こんなはずでは」とならないように、正しい知識を身に付けましょう。

予算金額・申込期限が決まっていることに注意

まず、予算や申込期限があることです。上で紹介しているフラット35Sの金利引き下げプランは、2019年3月31日までの条件。期間中であっても予算に達した時点で締め切りです。

住宅取得希望時期によっては、募集が終わってしまうリスクもあります。受付終了の3週間前には住宅金融支援機構のホームページで告知がなされることになっているため、こまめなチェックがおすすめです。

フラット35S適用住宅は初期コストがかさみがち

フラット35S適用を条件に物件探しを始めると、想定していた予算よりお高いものしか見つからないケースもあります。金利の引き下げを受けられるとはいえ、予算を大幅に上回る物件取得はハイリスク。

住宅ローンで得をするためにフラット35Sを活用したいと思ったのに家計への影響が大きくなっては、本末転倒になってしまいます。

そもそも省エネ性能やバリアフリー住宅を考えていた人ならまだしも、金利引き下げを受けるためだけに高い物件を選択する必要はありません。住宅ローンはあくまでも、理想のマイホームを取得するための資金調達手段。目先の損得感情には惑わされず、後悔しない選択が大切です。

フラット35Sに関してよくある質問・回答

最後に、フラット35Sに関してよくある質問と回答を紹介します。申込方法や物件の探し方など、気になる項目だけでも目を通しておきましょう。

フラット35Sの申込方法は?

フラット35Sの申込方法は、扱いがある金融機関所定の方法に従います。申込する商品が異なるだけなので、基本的な流れは、フラット35と同じです。

申込段階では、フラット35Sの条件を満たしていることの証明書類は不要。ただ、融資実行までには証明書の提出が求められるため、早めの準備をおすすめします。

フラット35Sの対象か分からない場合はどうする?

省エネ・バリアフリー住宅などもっともらしい名前がついていても、フラット35Sの基準を満たしていないことがあります。売主・販売代理業者に「フラット35Sを使えるか」を聞けばはっきりするので、確認が必要です。質問する際のポイントですが、以下3点を聞いてください。

・省エネルギー性・耐震性などどの種類の条件を満たしているか
・金利AプランとBプラン、どちらの基準を満たしているか
・証明書の準備に別途費用は必要か

手続きについて熟知している担当者がいることも、業者選びで重視したいポイントです。表面的な説明に惑わされず、失敗しない業者選びを意識しましょう。

フラット35からフラット35Sに借り換えできる?

フラット35からフラット35Sへの借り換えはできません。フラット35の申込をして資金の融資を受ける前だったら変更を受付けてもらえるケースもあるため、金融機関に相談しましょう。

対応方法は金融機関によって異なりますが、一旦申し込みを辞退して再度手続きが必要となるケースもあります。追加の提出書類の準備が必要になるケースも多く、早めの対応がおすすめです。

フラット35S対象中古マンションの探し方は?

フラット35Sの対象になる中古マンションは「中古マンションらくらくフラット35」から検索すると手軽です。都道府県や市区町村・町名を入力して検索すると、物件検査済マンションが表示されます。

この中から選択すれば、適合証明省略に関する申出書をプリントアウトして使えるから、手続きが簡単です。取得予定のマンションがすでに決まっている人は、建物名を入力して出てきた検索結果から適合証明省略に関する申出書を取得、金融機関へ提出することもできます。

▽住宅金融支援機構 中古マンションらくらくフラット35検索

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