起業したい!法人を設立するタイミングや準備すること教えて?

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執筆:羽場 康高氏

起業したい!法人を設立するタイミングや準備すること教えて?

起業したい!そう思った段階で、既に起業に向けての種が蒔かれているのです。蒔かない種は芽が出ませんし、ましてや花が咲き実が成る事もないのです。

ただ、花を咲かせ実を成らせるには、それなりの手間や時間がかかりますし、落とし穴もありますので、ここでは起業のポイントをお話ししたいと思います。

起業への第一歩

起業とは、事業を起こすと書きますが、どんな事業にも始めの第一日目があり、起業に向けて踏み出した第一歩目があるのです。

そして、その第一歩目を踏み出したからこそ、二歩目や三歩目があり、一歩一歩着実に、歩みを進めて行く事でしか、第一日目を迎える事はできないのです。

ただ、その第一歩目を踏み出すには、どこに向かって踏み出すのか、目指すべきゴール、目的地を定めないと、スタートしにくいのです。

起業するまでのゴール

例えば、旅行に行く場合、目的地を定めずには出発しにくいのと同じように、まずはどこに向かうのかを明確にする必要があるのです。

そして、目的地を定めれば、そこに向かうための手段を決め、ルートを選定し、荷物を用意して出発するように、起業するまでに何を考えて、何を準備して、いくらぐらい用意しておくべきかなど、起業するまでのゴールを定めるのです。

かつての起業イメージを払拭

ところが、起業したい!という想いを持つような、起業意識の高い方が陥りやすいのが、かつての起業イメージで大きく考えてしまう事です。

かつての起業イメージとは、起業に必要な知識や技術を学び、綿密な事業計画を立てて、設備を整え、人員を確保し、広告宣伝に多額の経費をかけて顧客を獲得し、顧客満足度を高めてリピーターを増やし、口コミや紹介で新たな顧客を創造していく為に人生をかけるというものです。

それだけの手間やコスト、時間を費やして、うまく起業できれけばいいのですが、もしうまくいかなければ多額の借金を抱え、場合によっては自己破産したり、最悪の場合には一家が離散したり、その後の人生に暗い影を落とすのみならず、一度失敗してしまうと再起しにくい雰囲気が蔓延する日本では、二度と起業にチャレンジしようとは思いづらいのです。

しかし、本来の起業とは、何もないゼロから始める訳ですから、可能な限りコストも人手もかけずに、身の丈に応じて小さく始めるべきものなので、かつての起業イメージを捨て去る必要があるのです。

IoT活用により気軽に起業できる時代

今、時代は大きく変わり、第三次産業革命により、あらゆるモノとインターネットが繋がり(IoT=Internet of Things)、パソコンやスマートフォンさえあれば、どこにいても通信や情報の収集、価値の交換ができ、生活になくてはならないものとなり、どこでも仕事ができる時代なのです。

インターネット環境さえあれば、ホームページやTwitter、YouTubeなどのSNSを最大限活用し、自分が得意な事、できる事、こんなサービスがあれば喜んで貰えそうな事などを、広告宣伝費を使わずにいつでもどこでも発信できますし、決済もキャッシュレスで簡単にできるのです。

つまり、やる気とアイデアさえあれば、今の仕事を辞める必要もなく、起業のために沢山の資金を用意する事も、多額のコストをかける事も、多くの人手を確保する事もなく、今の時代に利用できる様々な便利なツールを活用しながら、いつでも気軽に起業ができる時代なのです。

小さく始めて大きく育てる

かつての起業では、器を整えるところからのスタートでしたが、これからの起業は、器は後回しにして、中身のコンテンツを選定し、付加価値を提供したり、問題を解決したり、資産を共有したり、サービスを充実させるところからのスタートが主流ですので、ほんの一歩を踏み出すように小さく始めればいいのです。

そして、小さく始めてからフィードバックを得るなかで、微修正したり、ラインナップを拡大させたりしながら、器も含めて少しずつ大きく育てていくのです。

法人設立のタイミング

ですから、組織形態にこだわる必要はなく、まずは個人事業でスタートしておき、事業が軌道に乗り、対外的、税制面、社会保障面など、総合的に考えて法人化した方がメリットが大きいのであれば、そのタイミングで法人設立を検討するのが得策です。

法人を設立するだけでも多額のコストがかかり、法人を運営するにも様々なコスト負担が必要ですので、許認可の取得や取引先の都合で、どうしても法人でなければならない事情がある場合を除いては、個人事業でも特に支障はないのです。

法人化への一つの目安としては、消費税の課税事業者になる課税売上1,000万円超を意識しておき、非課税事業者でなくなるタイミングで、資本金1,000万円未満の法人を設立すれば、そこから約2年間の非課税メリットを享受する事もできるのです。

法人設立の主なメリット

①法人格が必須な場合に対応

法人格がないと許認可申請ができない場合や、法人格がないと取り引きしてくれない会社への対応が可能。

②節税効果が大きい

・法人税は一定税率ですが、個人の所得税は累進課税の為、利益が大きくなる場合は、法人の方が有利(ざっくり売上-経費=500万円あたりが目安)。

・損失が出た場合の繰越控除が、法人では10年間ですが、個人では3年間。

③人材確保がし易い

求人募集をしても、個人事業には人が集まりにくい傾向があり、会社組織を持っている方が有利。

④個人資産への影響が少ない

個人事業の場合、会社が破産した場合、借入金や買掛金など、事業主に返済義務が生じますが、法人の場合は、出資の範囲内での責任となり、形式的には社長個人に返済義務は生じません。(但し、金融機関等の借入金について社長個人が連帯保証人になっている場合は除く)

法人設立の主なデメリット

①設立時に登記等のコストがかかる

定款の作成や認証費用、法人登記申請時の登録免許税、これらの申請を委託する場合の手数料などのコストが必要。

②設立後も事務負担コストや赤字でも均等割の税金がかかる

・所得税の申告に比べて、法人税の申告の方が複雑な為、専門家に委託するケースが多く、手数料負担が必要。

・法人の場合は赤字でも法人住民税の均等割分が課税される。

③社会保険への加入が義務付けられる

法人の場合、社長一人でも社会保険への加入が義務となり、会社が保険料の半分を負担する。

法人設立に必要な事務的準備

①基本事項の決定

定款作成時に記載しなければならない、会社の商号、本店所在地、事業目的、資本金の額、発起人、発行可能株式総数などを決定しておく。

②印鑑の作成

登記の手続きを行う際に、代表者印の押印が必要となる為、早めに注文しておく。

③定款の作成

絶対的記載事項を含め、会社の基本原則を作成しておく。

④資本金の払い込み

1円以上で自由に設定可能ですが、消費税の課税事業者にならない場合には1,000万円未満にしておく。

⑤登記申請書の作成

法務局のホームページからひな形をダウンロードして、記入例を見ながら作成するか、専門家に委託(手数料必要)して作成。

起業を意識し始めたら

法人を設立するしないにかかわらず、起業を意識し始めたら次々とやりたい事、やるべき事など、発想やアイデア、ヒントなどが沸々と湧き上がってくるものです。

それらの発想は、これまで経験してきた事や学んできた事、日々の生活の中で感じてきた事などが、自分のフィルターを通してにじみ出てくるものですから、独自性があり、自分にしかできない事かもしれませんので、忘れないうちにすぐにメモを残しておく事が大切です。

起業の主役は自分ですから、独自の発想を元に自分にしかできない事を見つける事ができれば、それを強みとして事業に繋げていけばいいのです。

やるべき事リスト

そして、日々浮かんでくる発送やアイデアのメモを元に、具体的に何を準備していくのか、「やるべき事リスト」を作成して見える化し、優先順位をつけて取り組む事が重要です。

例えば、ホームページの作成をはじめ、TwitterやYouTubeの準備、名刺やチラシの作成など、売上に直結するような対外的、営業的なものは、優先的に準備をすすめていきたいところです。

コスト意識とセーフティネット

ただ、会社員の場合、会社の電気や水道、ガス、電話、パソコン、コピー、文房具などを使用したり、製造や販売、営業、事務など全ての業務を行ったりする際の、あらゆるモノやコトにはコストがかかっている事をあまり意識する事はないと思いますが、起業すれば、これらのコストは全て自分が負担しなければならないという事を強く意識しておくべきなのです。

そして、起業した場合、先にどんどんとお金が出ていく事となり、そのお金が利益として戻ってくるまでには時間がかかる事を前提に、準備をしていかなければならないのです。

ですから、起業する前に最低でも半年から1年分の生活費を賄える程度のお金を蓄えておくべきですし、会社員であれば、可能な限り仕事を辞めずに週末起業的なスタイルから始めるなど、収入が途絶えないようなセーフティネットを残しておくのも選択肢の一つです。

事業計画・収支計画と家計の見直し

そして、ざっくりとでも構いませんので、いつから、何を、どれくらいの数を、いくらで、誰に販売するのか、その為にどのような広告宣伝を行うのか、どのように集客していくのかという「事業計画」とともに、仕入や経費の見込額、売上の見込額とその根拠を元に、利益がどのタイミングから出せるようになるのかという「収支計画」を作成して、お金の見える化をしておく事も大切です。

また、これまでの家計を見直して、光熱費や通信費、食費、交際費、保険料などに無駄はないか、削れるものはないかなど、少しでも生活費を抑えつつ、その中から万一に備えての貯蓄もできるように、知恵を絞り、創意工夫しながら、あまり深刻に暗く考えるのではなく、ゲーム感覚でどこまで切り詰められるかを楽しむ感覚で、お金の備えをしていくのです。

資金調達と返済実績

お金は血液と言われるように、事業にお金を投じて、それが売上として返ってきて、そこから経費を支払い利益が残るという一連の流れがうまく回っていけば問題ないのですが、売上が伸びなかったり、予想以上に経費がかかったりと、出ていくお金ばかりが増えて、入ってくるお金が少なくなる赤字が続くと、出血状態になってしまうのです。

事業が軌道に乗るまでは出血状態になるケースが多い為、資金調達するなどして、できるだけ余裕資金を確保しておく事で、血液の流れを止めないようにするのです。

資金調達するにもいくつかの選択肢がありますが、起業の際には、金融機関も比較的低利な事業資金の貸付を行っておりますので、できれば早めに利用する事が得策です。

自己資金が底を尽き、赤字を食い止めることができず、キャッシング等を利用して資金を繋いでいる状態になりますと、借入ができる可能性はかなり低くなってしまいますので、起業当初に余裕資金があっても、低利で借りられるものは借りておき、きちんと返済する実績を残す事で信用をつくるという意味でも積極的に活用しておきたいものです。

信用情報に傷をつけない

ただ、気をつけなければならないのは、金融機関から借り入れる際は、信用情報の確認がある為、遅くとも起業する半年前からは、税金の未納や滞納、携帯電話の端末分割払い金の滞納、カードローンやキャッシングローンの利用等がないようにして、信用情報に傷をつけないように意識しておく事が必要です。

払うべきものは期日までにきっちり払い、借りたものは期日までにきっちり返すという事は当たり前の事ですが、この当たり前の事をきっちり確実に実行しておく事が信用となり、その信用がいざという時の救いにもなるのです。

理想は不労所得をつくっておく

起業当初はもとより事業を営むには、何かとお金の苦労がつきまといますので、そのような苦労を回避するには、起業前から不労所得をつくっておく事が理想です。

ベースとなる生活費や事業が軌道に乗るまでの事業経費を、少しでも不労所得で賄う事ができれば、お金の心配をせずに事業に専念する事ができますが、起業してからつくるよりは、起業する前の会社員など収入が安定している時から、投資技術を学んで活用しつつ、それなりの不労所得を得ておく事ができれば、鬼に金棒かも知れません。

<まとめ>
起業はゼロからのスタートですので、小さく始めて大きく育てていけば、大きく失敗する可能性は低いと思いますが、独自の発送を計画にし、計画を実行する為に資金を確保し、資金を確保する為に実績を残し、実績を残す事で信用をつくり、その信用の積み重ねから信頼が生まれ、信頼を得ることで永続的な発展に繋がると確信して、一度きりの人生を、自由に、自分にしかできない夢を起業化して、自分の花を咲かせていきましょう!

夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。

<執筆者> 羽場 康高氏

有限会社ライフスタッフ 代表
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