子どもを大学に行かせたい!お金はいくらかかる?支援制度とかはあるの?

ハートマネー代表 ファイナンシャルプランナー 氏家祥美 氏

子どもを大学に行かせたい!お金はいくらかかる?支援制度とかはあるの?

教育費はゴールから

幼いお子さんがいるご夫婦に、将来の教育について質問すると、「大学には行かせてあげたいですし、子どもが希望したら海外留学などもなるべくさせてあげたい」というお答がよく返ってきます。

そんな夢を実現しつつ、家族みんなが幸せに暮らすためには、どんな準備をしていったらいいのでしょうか。

私がよくお伝えしているのは「教育費はゴールから」という言葉です。

かわいいお子さんを目の前にすると、「この子の才能を最大限伸ばしてあげたい」と、ついつい目先の習い事に一生懸命になってしまいがち。

ですが、幼いうちに教育費を使いすぎて、本当に肝心な時に教育費が続かないのでは意味がありません。そこで、お子さんに親として与えてあげたい最終学歴を教育費のゴールとして、お子さんが小さいうちから準備を始めるようにお伝えしています。

大学に行かせてあげたい、行ったほうがいいと考えるなら、大学に向けた積み立てを今から始めましょう。

国立大学を希望する場合も、国立大学は原則1校しか受けられない狭き門ですから、マネープラン上は学費の高い私立大学を想定して準備することをお勧めします。

そのうえで、高校、中学、小学校、幼稚園・保育園というように、逆算して教育費を考えていきます。

また、お子さんが二人以上いる場合には、すべてのお子さんに等しく教育費を用意してあげましょう。

「上の子に使いすぎて下の子までお金が回らなかった」「男の子だから、女の子だから」という考え方は、不平等感を生むことになり、後々まで尾を行きます。

中には、教育の不平等感が、相続トラブルにつながったという悲しいケースもあります。兄弟姉妹いつまでも仲良く育ってくれるよう、親としては等しく資金計画を立てたいものです。

私立大学の学費は4年間で544万円

では、さっそく具体的な教育費についてお話をしていきましょう。日本学生支援機構の「学生生活調査」(平成28年度)によると、私立大学の昼間部学費の平均は、1年あたり136万円、4年では544万円になります。

この金額は、私立大学の文系と理系をあわせた平均値で、入学金、授業料、設備費、教科書代、通学定期代なども含まれています。まずはこの544万円を、自宅通学の私立大学生が必要とする費用と考えましょう。

私立理系の学費は、私立文系の1.5倍から2倍が必要に

国立大学の場合、文系でも理系でも1年あたりの授業料は53万5800円(一部の国立大学を除く)と変わりませんが、私立大学では文系と理系で大きな差があります。

私立文系の1年あたりの授業料が約100万円とすると、私立理系の授業料は約150万円かかると思っておきましょう。これは授業料だけなので、いずれの場合も、このほか入学時の入学金、施設利用料、教科書代、通学定期代などが別途かかってきます。

さらに、理系の学生は文系の学生よりも高確率で大学院まで進学します。ですから、子どもが理系に進学しそうな場合には、文系志望の子の1.5倍から2倍の大学学費を想定しておく必要があります。

国際系学部の場合、留学費用も覚悟して

文系の場合、近頃は国際系や情報系の学部を新設している大学が増えています。その時々の時代の変化やニーズに合わせて、大学も新たな学部を作るので、何を学べるのかと合わせて、授業料や卒業要件などもチェックしておきましょう。

国際系の学部では、数か月以上の海外留学を卒業要件としている学校も多いようです。留学しないと卒業できなくなりかねないので、通常の授業料とは別に、留学費用を確保しておきましょう。

留学費用は滞在する国と期間によって大きく異なります。アメリカやイギリスなどの大学に1年間私費で留学するとなると、日本より高額な学費に加えて、現地のアパート代、食費などの滞在費なども必要になるため、かなりの予算が必要になります。

一方で、物価の安いアジア圏で、数週間の語学留学をする程度であれば、数十万円で実現できます。大学などには、交換留学プログラムや、奨学金制度などが用意されていることもあります。

留学を考え始めたら、こうした制度の活用も視野に入れて、計画的に準備をしていきましょう。

一人暮らしだと家賃相当の仕送りが必要に

大学から一人暮らしをする場合には、学費とは別に、アパートの家賃などを仕送りすることにもなるでしょう。

ひと月当たりの仕送り代は、アパートの家賃程度の7-8万円が相場になっています。授業料と家賃相当の仕送りを親が担当し、食費などの生活費はお子さんがアルバイトで稼ぐか、奨学金を借りて社会人になってから返済するなど、お子さん自身が返していくケースが多くなっています。

自宅から通える大学の数が少ない場合には、子どもへの仕送りが必要になることを覚悟しておきましょう。

私立中受験を考えるなら大学費用は早めに貯める

私立中学受験を考えているご家庭もあるでしょう。有名大学付属の私立中学に進学できれば、高校受験や大学受験に余計な時間を使うことなく、部活や趣味など好きなことに没頭できます。

また、私立の中高一貫校では、5年間で6年分の授業を終わらせて、高校3年にあたる学年は受験勉強に集中して取り組むなど、大学受験を視野に入れて効率的な学習計画を立てているところもあります。

魅力的に見える私立中学受験ですが、親の負担も公立に比べると大きくなります。私立中学の学習費負担は公立中学の約3倍、私立高校の学習費負担は公立高校の約2.5倍になります。

晴れて私立中学に入った後は、中学・高校・大学と、毎年100万円を軽く超える学習費負担が10年間続くと思ってください。

学習費総額(1年あたり費用)

小学校 中学校 高校
公立 322,310円 478,554円 450,862円
私立 1,528,237円 1,326,933円 1,040,168円
私立÷公立 4.7 2.8 2.3

(文部科学省「子どもの学習費調査 平成28年度」より筆者作成)

私立中学に進学すると、それ以降は目先の教育費の捻出に追われます。

大学に向けた積み立てをするのが困難になる可能性がありますので、小学校卒業くらいまでに大学の授業料を用意できるよう、教育資金プランを前倒ししていきましょう。

また、私立中学を受験する場合、早い子では小学校の2年生くらいから、そうでない場合も4年生くらいから中学受験塾に通うケースが多くなっています。

中学受験塾の塾代は、4年生からの3年間で250万円ほどかかります。入塾当初の1か月の塾代は安くても、その後、夏期講習や冬期講習、試験代や教材費など、受験が近づくほどにどんどん集金が増えていきます。覚悟をしておきましょう。

大学費用は「児童手当+1万円つみたて」で準備

子どもの教育に関する思いはそれぞれだと思いますが、ここではまず、基本となる大学費用の準備の仕方を考えていきましょう。

大学4年間にかかる費用544万円を念頭に、なるべく負担なく、無理しないで貯められる仕組みづくりをご提案します。

子どもが生まれると、国から児童手当が支給されます。この児童手当は最初からなかったもののと考えて、お子さんの将来のためにすべて貯めておきましょう。

児童手当をすべて貯めると一般家庭の場合で約200万円、所得制限対象の世帯でも約90万円が貯められます。

図表:児童手当の金額と合計額

児童の年齢 所得制限限度額未満(児童手当) 所得制限以上(特別手当)
3歳未満 一律15,000円 児童一人につき5,000円
3歳以上小学校終了時 10,000円(3歳児以降は15,000円)
中学生 一律10,000円

※児童手当は原則として、毎年6月、10月、2月に前月までの分がまとめて支払われます。

これに合わせて、お子さんが0歳の時から、月々1万円の教育費積み立ても行いましょう。貯蓄・学資保険・つみたてNISAなど、積立の手段はいろいろあります。どんな方法でも構いません。

毎月1万円ずつ積み立てると、お子さんが18歳の誕生日を迎える時には216万円が貯められます。

児童手当と月々1万円の積立をあわせると、18歳までに416万円(所得制限対象家庭で306万円)が貯められます。お子さんの進学先は国立大学なら、この両者で4年間の授業料が用意できることになります。

私立大学にかかる544万円には、あと128万円が不足しますが、1年あたりの不足額は32万円ですから、家計から毎月約2.7万円を出し続ければ対応できます。中学高校の授業料や塾代の代わりと思えば、何とか出せる金額でしょう。

一方、児童手当が所得制限で少なかった家庭では、あと238万円が不足しますから、1年あたり60万円が足りません。家計から毎月5万円を出し続ければなんとか対応できる計算になります。

大学費用を前倒しで貯めたいなら3歳からがチャンス

私立中学への進学を考えている場合や、将来理系への進学や一人暮らしに備えて大目に費用を用意しておきたいという人もいるでしょう。

その場合は、2019年10月からスタートした「幼児教育保育の無償化」が、将来の教育費を貯める大きなチャンスとなります。

幼児教育保育の無償化が始まったおかげで、幼稚園・保育園にかかわらず、3歳-5歳児クラスの授業料・保育料は所得の高低にかかわらず無償になりました。

園バスなどの送迎費や、行事費用、食材費などは保護者負担として残りますが、それでも以前に比べて、大幅な負担軽減になります。

浮いた保育料の一部を、最初からなかったものとして毎月2万円ずつ積み立てると、3歳から5歳児クラスの3年間で、72万円が貯められます。教育費負担の少ない小学生時代も引き続き2万円ずつ6年間貯めていくと、ここでも144万円貯められます。

0歳からの児童手当と1万円ずつの積立に、幼児教育保育の無償化が始まる3歳から小学校卒業まで2万円ずつ貯蓄を上乗せしていくと、元金だけでも656万円が貯められることになります。

このプランだと、しっかり貯められるだけでなく、中学生以降の積立は少なく抑えてあるので、その時々の目先の教育費にも集中しやすくなります。

(1)0歳から児童手当をすべて貯める⇒一般家庭:約200万円(所得制限有り:90万円)
(2)0歳から月々1万円を積み立てる⇒1万円×12カ月×18年間=216万円
(3)3歳から12歳は月々2万円を上乗せ積立⇒2万円×12カ月×10年間=240万円

合計 200万円+216万円+240万円=656万円 
(児童手当所得制限有りなら546万円)

住宅や夫婦の働き方と合わせて教育プランを考える

「子どもが生まれたので、35年ローンを組んで高級マンションを購入したところ、周囲に教育熱心な人が多くて、流されるように子どもに習い事をたくさんさせました。

もともと私立志向ではなかったのに、気が付いたら中学受験塾に子どもを通わせていました。子ども二人を中学校から私立に行かせて、住宅ローンを完済できるか不安です。」

こんな不安を抱えているご家庭が、実は少なくありません。もともと教育熱心なことを自覚していたら、それを前提にマネープランを組んで家を購入するのでしょうが、周囲に流されていつの間にか中学受験、という場合には、ここから家計に無理が生じやすくなります。

できることなら、お子さんにまだ教育費がかかる前の段階から、将来の教育プランについて夫婦で話し合っておきましょう。

住居費やレジャー費にもっとお金を使いたいなら、幼少時の習い事などは控えめにして、お金を少しずつ貯めておく工夫も必要です。また、住居もレジャー費も教育費もすべて大事にしたいなら、夫婦で協力しながら働き続ける工夫も必要になるでしょう。

目的にあった「貯める仕組み」さえできてしまえば、忙しい毎日のなかでも継続して貯められます。かわいいお子さんと家族の幸せのために、将来を見据えてがんばっていきましょう。

<執筆者>氏家祥美(うじいえよしみ)氏
ファイナンシャルプランナー 氏家祥美
ハートマネー代表
ファイナンシャルプランナー・キャリアカウンセラー

<著書>
北欧式 お金と経済がわかる本 12歳から考えたい9つのこと
35歳を過ぎた女性に贈る「これからのお金」のお作法
いちばんよくわかる 結婚一年生のお金
子どもの年代別 大学に行かせるお金の貯め方
手取りが減った人のお金のルール
など。

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