シンガポールにロングステイしたい!どのくらいお金が必要?【FP岩永真理氏執筆】

執筆:ファイナンシャルプランナー 岩永真理氏

シンガポールにロングステイしたい!どのくらいお金が必要?【FP岩永真理氏執筆】

地球は狭くなり、思いたったらいつでも海外へ行ける時代です。短期で名所を見て回る観光旅行もよいですが、少し時間をかけて一つの場所で暮らすように旅することも可能です。

海外で2週間以上滞在をすることを「ロングステイ」と呼びます。今回はこのロングステイを東南アジアで人気のシンガポールでするなら、どのくらいお金がかかるのかを費目ごとに検証します。

リタイア後にゆっくり海外で過ごしたい方はもちろん、ネットさえあれば出社しなくても世界中どこからでも仕事ができる方或いはフリーランスの方などにとっても、ロングステイの魅力を知っていただき、楽しんでみてはいかがでしょうか。

なぜシンガポールなのか?

シンガポールは東南アジアの中でも先進国です。

2018年IMFの調査によると、1人あたりの名目GDP世界ランキングでは8位(US$64,579)です。ちなみに1位ルクセンブルグ(US$115,536)、2位スイス(US$83,162)、9位アメリカ(US$62,869)、日本は26位(US$39,304)です。

失業率は2.1%、物価上昇率は0.4%(2018年・共に外務省データより)と治安も物価も安定していることが大きな要因です。

加えて、以下の不安にも十分対応が可能なので安心です。

<健康面>
日系の医療クリニックがあります。

<生活面>
日系のデパート(伊勢丹、高島屋)、食料品店(明治屋)、書店(紀伊国屋)、量販店(ドン・キホーテ)、電気店(ベスト電器)、100円ショップ(ダイソー)などがあります。必ずしも日本語が通じるとは限りませんし、価格も日本の設定とは異なりますが、日本でなじみのある店が多いため、買い物の行先に迷うことは少ないでしょう。

<言語面>
公用語が英語のため、英語ですべてのことがまかなえます。

<対日感情>
歴史的な背景にも拘わらず、親日的な人が多いです。

<インフラ面等>
整備されているので、困ることはありません。
水道水も飲めますし、ネット環境も普通です。ATMもトラブルや故障は少なく、クレジットカードも普及しています。

<気候面>
いつ訪れても平均気温は30度前後で多湿ですので、大きな違いはありません。3月~10月までが乾季、11月~2月までが雨季になりますが、雨季でも一日中雨というよりは、一時的なスコールが多いです。

<移動時間・時差>
東京(成田・羽田)から、直行便でおよそ6~7時間、時差1時間なので体力的な負担も少ない距離です。

海外では日本の常識は通用しないことも多くあります。長期滞在であればあるほど、日本人にとってストレスが少なく、住みやすい国であることは重要なポイントです。シンガポールは多くの面で理想的な環境です。

シンガポールへの渡航費用

時期により大きく変動するのは、渡航費です。一般にゴールデンウィークや年末年始、お盆などの出入国はピーク料金になります。

そのほか、日本の連休やシンガポールの旧正月、週末出発なども価格が高くなりがちです。ただし、長期滞在の場合は、出発と帰国の日にちをその前後に多少ずらせば、ピーク期間を丸々含んでいても安くとれる可能性はあります。

一般に人々が休みを取らない時期、例えば2月、6月、10月などが安くとれる確率が高いといえるでしょう。航空会社によってはキャンペーン価格を提供する場合もありますし、早期割引、LCC(格安航空会社)などの利用で割安にできることもあります。

例えば、全日空のエコノミークラス運賃(各種税込み)の東京(成田・羽田)発、シンガポール行きの最低料金は下記の通りです。(2019年11月23日現在)

出発日 帰国日 航空券価格 予約変更
2019年12月4日(水) 2020年1月3日(金) 208,800円 可(手数料あり)
2019年12月4日(水) 2019年12月31日(火) 65,800円 不可
2020年1月31日(金) 2020年2月29日(土) 65,800円 不可

 
現地で年を越すかどうかで、143,000円の大きな差があります。

ただし、1と2及び3は航空券の種類が異なり、1は手数料がかかりますが予約変更は可能、2・3は不可能という違いがあります。安いチケットはそれだけ制約も多いことは念頭においておくとよいでしょう。

LCC(格安航空会社)のチケットの1年間の平均価格は、67,100円程度です。

滞シンガポールの在費用

高級マンション(コンドミニアム)を契約するためには2年以上の契約が一般的ですので、ロングステイには向きません。

一か月程度のロングステイの場合は、サービスアパートメントが最も合理的と考えられます。

キッチン、家電、家具などが備え付けられていて、一週間に一度の掃除やリネン交換もしてくれるので、すぐその日から暮らすことができます。滞在期間は一か月でなくても調整できる物件もあります。

ただし、費用はその分中級ホテルよりは高めです。一か月1LDK(36㎡程度から)の部屋で、およそ40万円~60万円程度(光熱費・水道代・インターネット代込み)が相場のようです。

それなら、ホテル一泊1~2万円の所に泊まるという考えもありますが、ホテルの場合は寝室のみでキッチンや洗濯機もないため、外食代や洗濯代を考えると、経済的にはホテルの方が割高になる可能性もあります。

また、長期滞在中に全食外食では、日本食レストランも多いとはいえ、外国では胃袋も疲れてしまうこともあるでしょう。多量の汗をかくシンガポールでは、洗濯機がないのも不便です。

もう一つの方法は、air bnb(エア・ビーアンドビー)などを通じて一般の人から借りる「民泊」を利用することも考えられます。

マンション(コンドミニアム)貸し切りの場合は20万円台から、一部屋のみを借りる場合は10万円程度から探すことができます。ただし、部屋の快適性はマンションや部屋のオーナー次第なので、当たりはずれの幅は大きいといえます。

シンガポールの生活費

<食料品>
現地スーパーで食材を買って調理をするなら、費用は東京で自炊するのと同程度かやや高いくらいの水準でしょう。例えば日本で食料品を一か月5万円程度購入する人は、5~7万円相当を準備するとよいでしょう。

ただし、日本食を現地で作るために、明治屋のような日本食材店ですべて日本製のものを購入する場合は、価格は日本で買う2倍以上することも多いでしょう。

<外食費>
屋台(ホーカー)なら一食500円程度から、高級レストランまで、様々な選択肢があります。

料理のジャンルは中華系が最も多いですが、アジア系、インド系、日本食、フレンチ、イタリアンなど幅広く、日本人が食べるのに困ることはないでしょう。

せっかく長期滞在するので、現地で人気のレストランなどで食の楽しみも加えてみるのも一興です。

本場の中華、インド、マレー系の料理を味わうことができるのもシンガポールの魅力で、おいしいお店も多くあります。

中華系のシンガポール人が家族と並んでいる、或いは予約をしているようなレストランは、おいしく値段もリーズナブルな中華料理店である確率が高いです。

ただし、同じレストランでも、昼は混んでいるのに夜はメニューが変わりガラガラ、ということもあるので注意が必要です。

<日用品>
日本ではドラッグストアで手ごろな価格のイメージがありますが、一般に海外では高価なことが多いです。ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの紙類やシャンプー、ハンドソープ、洗濯洗剤などの洗剤類など、日本と比較すると割高です。

シンガポールの交通費・レジャー費用など

<観光>
一般にシンガポール人の娯楽は、買い物と食事といわれます。屋外は暑いので、屋内での楽しみが主流なのかもしれません。シンガポールの国土はそれほど広くないので、観光する場所はある程度限られます。

博物館、植物園、動物園、マリーナベイエリア、セントーサ島などが人気です。
入場施設は、およそ2~3千円程度が多いですが、ユニバーサルスタジオなどのもう少し高額な施設もあります。

<交通費>
地下鉄(MRT)やバスが発達していますので、地下鉄駅やバス停のそばに滞在すれば、多くの場所へ出かけていくことができるでしょう。価格は距離により異なりますが、遠いところでも片道200円以内です。

タクシーも日本よりは割安です。街中から空港まで、高速などを使いおよそ20分~30分(約20キロ)利用して、およそ2~3千円程度です。ただし、夜間料金になると割り増しになります。

<ゴルフ、その他>
折角時間があるのであれば、ゴルフが好きなかたは東南アジアでのゴルフを楽しみたいかもしれません。日系の業者に手配を依頼することもできます。平日料金で一人32,400円~です。クラブやシューズのレンタルは、別途費用がかかります。

滞在施設にバーべーキュー場、テニスコート、プール、ジムなどがあれば、利用することができます。費用は施設により発生することがあります。

総合するとシンガポール滞在費の概算はいくら?

夫婦二人でシンガポールに一か月(30日)滞在する費用の一例は下記の通りです。生活費やレジャー費はライフスタイルや嗜好により大きく変わる可能性はあります。

<例>

シンガポールのロングステイは、渡航費を含めて二人で741,600円と決して安くはありません。

しかし、30日間旅行に行く代金として一人37万円と考えると、一週間でそのくらいの旅行代金がかかるツアーもありますので、決して手の届かないものでもないでしょう。

滞在中に日本の自宅をair bnb(エア・ビーアンドビー)などで「民泊」に貸し出すことが可能であれば、現地滞在費が50万円かかっても、例えば20万円で日本の自宅を貸し出すと、差額30万円の滞在費負担ですむと考えることもできます。

ロングステイで気を付けておきたいこと

<医療費>
日本の医療費とは異なる料金体系であること、また日本の健康保険はあとで海外療養費(後述)として保険負担分を請求できますが、まずは100%自己負担で支払うことなどから、海外の医療費は高額になりがちです。

クレジットカード付帯の海外旅行保険があれば、きちんとその内容を確認しておきましょう。特に渡航してから何日間有効なのか、滞在期間はすべてカバーされるのか、けがや病気になったときや、万一入院した時などの保障額は十分にあるか、航空券などの旅行費用をそのカードで払わなくても保険は有効なのか、などのチェックが必要でしょう。

クレジットカード付帯の海外旅行保険がなければ、別途加入すると安心です。

日本の健康保険には「海外療養費」という制度があります。海外渡航中に急な病気などでやむを得ず現地で治療を受けた場合、加入する健保組合に申請手続きを行うと、海外で支払った医療費でも保険負担部分の払い戻しを受けることができます。

ただし、日本で治療を受けたことを想定した費用を基準(日本基準)に払い戻し額を算定するため、実際に支払った現地費用の保険負担割合の金額(現地基準)が払い戻されるわけではありません。

例えばシンガポールの治療費が100万円で、同じ治療が日本で50万円だった場合、3割自己負担のかたは、日本で治療をした際(50万円)の保険負担7割(35万円)はもどってきますが、100万円の7割(70万円)がもどってくるわけではありません。そのため海外旅行保険の補助として考えるとよいでしょう。

<現地での支払い>
シンガポールではクレジットカートが広く普及しているので、現地の支払い用に多額の現金を持ち歩く必要はありません。

紛失などのリスクを回避するためにも、数万円程度の少額の現金で大丈夫です。更に現金が必要になった場合は、ATMでクレジットカードなどから現地通貨で引出すことができます。

<ロングステイの価値とは?>
ロングステイの魅力は、現地の人々の生活や文化に直接触れる時間をより多く持つことで、普段日本では気づかなかったこと、考えもしなかったことなどに出会うきっかけになることです。こうした体験は、その後の人生にも無形の財産として残っていくことでしょう。
また、追加費用はかかりますが、シンガポールを拠点に近隣の東南アジア諸国に数泊で観光旅行へ行くことも可能です。

<最後に>
シンガポールは安全で快適ですが、物価は安くはありませんので、旅立ちの前に資金計画をしっかり立てることが大切です。楽しいシンガポールでのロングステイをぜひ実現してください。

<執筆者>岩永 真理 (いわなが まり)氏
岩永 真理 (いわなが まり)氏
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、スカラシップ・アドバイザー。
IFPコンフォート代表

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