家族と専門家がChatで相続問題を話し合えるツール『レタプラ』~株式会社FP-MYS 工藤崇氏インタビュー

家族と相続について専門家が気軽に相談でき、「争族」を未然に防げるツール『レタプラ』(LettePla、開発・提供=株式会社FP-MYS)が話題になっている。

相続とフィンテックという新たな分野でイノベーションを起こしつつある代表取締役社長CEOの工藤崇氏に「レタプラ」の開発・提供や背景などについて伺った。

株式会社FP-MYSの代表取締役社長CEO 工藤崇氏

レタプラを開発・提供した株式会社FP-MYSの代表取締役社長CEO 工藤崇氏

 

相続はまず話し合う環境が重要

「レタプラ」を開発した背景を教えてください。

我々のテーマは、「相続の対策」です。様々なメディアでも、相続の際に起きる家族間のトラブル「争族」が増加していることが報じられていますよね。

一旦起こってしまうと、兄弟姉妹や親族の間に修復しがたい亀裂が入ってしまい、場合によっては絶縁状態にさえなりかねません。このため、本来は相続人と被相続人が事前に相続をどうするかを話し合うことが大切なのです。

とくに被相続人が事業を行っている場合や、ビルやマンションといった不動産を保有しているケースだと、相続の専門家が間に入っても1年や2年では解決しないこともあります。

強引に解決しようとしても、死後になってトラブルになるケースがあるのです。

私は2016年ごろからFPとしてフィンテックの記事を書いているのですが、「不動産×フィンテック」「保険×フィンテック」といった組み合わせのテーマの記事を書いてほしいという依頼はありましたが、「相続×フィンテック」という組み合わせでの依頼はありませんでした。なぜかというと、両者に詳しい方がいなかったからです。

私はFPとして、被相続人、相続人、専門家が早い時期から日常的に相続について話し合う場が必要だということを感じていましたので、株式会社FP-MYSを立ち上げ、その業務の一環として、相続・贈与プラットフォーム『レタプラ』を提供・開発したところ、注目が集まるようになったのです。

専門家がWEB上で相続の最適解を提示

士業だけでなく、金融機関や不動産会社でも活用されていますね。

「レタプラ」のターゲットは50代ですが、一般的に相続を考え始める70歳以降の人が利用する場合も視野に入れ、アプリではなくWEBサービスで展開しています。

検索サイトで「レタプラ」と入力すると出てきますので、サイトに入りサービスを利用します。

サイト上では「財産を入力する」を選択し、必須項目である現金、不動産、生命保険や、任意項目である証券、贈与、負債を入力すれば、現状の資産額から相続税を自動的に試算してくれます。

2018年9月からは、専門家×相続のChatサービス「レタプラBiz」の提供も開始しました。税理士、公認会計士、弁護士、司法書士などの士業に加えて、FP、生命保険会社、不動産会社、金融機関の方々などの「相続の専門家」と、相続の当事者とを繋げるChat機能を提供しています。

当事者と専門家が繋がるChat、そして専門家のみで当事者の「相続の最適解」を相談するクローズのChatがあります。費用は顧客1アカウントあたり2,000円(税込)です。

その中で、レタプラで算出した相続税試算の概要を共有し、的確なアドバイスに繋げることができます。

そのような専門家が「レタプラ」を使うメリットは?

専門家がレタプラを使うメリットは次の3点です。

1.ユーザーの資産を事前に把握できる
2.ユーザーを介して相続人とつながる
3.相続人と永続的な関係を築ける

税理士やFPはよくセミナーを開催しますが、そこで参加者に質問を促しても、個人情報ですから、集団の方々の前では質問が出ません。家に帰ってから相談したいというニーズがあります。

そこで、セミナーでレタプラのアカウントを渡して個別相談を誘い、終了後に個別でChatで相談に乗れば、今後の見込み客につながるわけです。

とくに相続トラブルが発生しそうな案件では、相続人と早くから情報を共有することで、早期に対策を打つことができるようになります。

専門家サイドから見ると、スマートフォンを使った相続の相談、問い合わせチャネルの増加、遺言の下書きなどのユニークなサービスを提供できます。

被相続人や相続人再度から見れば、専門家に相談しやすい環境が整います。事務所に訪問して相談するのは敷居が高くても、Chatでの相談なら気楽にできるというメリットもあります。

セミナーの参加者が「このセミナーは良かったから何かあったら相談しよう」とせっかく思ってくれても、その「何か」が来ないと、そのままになってしまいます。

本来は数年にわたって相続の相談と対策をすべきですが、機会を逃してしまう場合もあります。そういうわけで、「レタプラ」は専門家の業務支援ツールとして役立っています。

どのような事例がありますか。

居住用不動産を保有している方が、今から20年後に相続問題が発生することを予想し、早めに今の不動産の測量を行い、価格設定して、どうするかという点についてレタプラで専門家と話し合いました。

日本には、現金はそれほどないが居住用不動産を保有しているご家庭がたくさんあります。改正相続法の施行など相続新時代を迎える中、「レタプラ」は時宜にマッチしていると自負しています。

金融機関や不動産会社での導入進む「カスタマイズ版」

金融機関や不動産会社などの法人が「カスタマイズ版」を導入を進める例が増えているそうですね。

現在は士業、不動産会社、生命保険会社、資産コンサルタントなどの相続の専門家に導入していただいていますが、その一方で、自社製の相続実務ツールをもっている事業会社や金融機関からも、「自社機能にはないレタプラの機能を使いたい」という声を頂いています。そこでレタプラの機能を分解し、各パーツを既存システムに追加実装し、レタプラで各社のCRM機能を強化できる「カスタマイズ版レタプラ」の試験を開始しました。

「カスタマイズ版レタプラ」で利用できる機能は次の通りです(2019年11月現在)。

・スマートフォンを使った相続試算
・UIを磨いた家族情報の入力
・専門家とのchat機能
・公的遺言の下書きとなる音声レコーディング機能
・自筆証書の財産目録を活字入力する機能
・親子間で相続試算結果を共有するLINE共有機能などです

これにより、相続ビジネスに進出したいがノウハウがない、あるいは何を開発していいかわからない、新規開発はお金も時間もかかるという課題を解決できるようになります。

北洋銀行から出資を受けて本社を札幌市に

レタプラの株式会社FP-MYSは北洋銀行から出資を受けて本社を札幌市に

北洋銀行本店

 

本社を北海道に移転しましたね。

じつは私の出身地、ホームグラウンドは北海道です。北海道で大学を卒業して上京し、資格予備校で働きつつFPの資格を取得し、不動産会社を経て現在に至ります。

このたび、北洋銀行が出資する「北洋SDGs推進ファンド」を引受とした第三者割当株を発行し、株式会社FP-MYSの新たな株主として参画いただきました。

この出資は非常に重要なものです。北海道には農業や漁業といった個人事業主が多く、残された子孫が農地、酪農、漁業関係の資産についてレタプラのサービスを活用し、解決したいというニーズがあります。

それに応えて北海道の行政や産業と連携するために札幌に本社を置くことには、とても価値があります。

札幌市は現在、冬季五輪開催を目指しており、北海道全体が開拓者精神にあふれた土地柄です。さまざまなイノベーションが起こる中で、株式会社FP-MYSも存在感を示していきたいと思います。

株式会社FP-MYSは東京を中心にしながら、今後は京都支店と合わせて3拠点体制として、より一層の事業拡大を北海道で進めていきます。

これまで兜町本社だった茅場町オフィス(Fingate)は、今後東京支社として整備します。

社会的課題にも取り組みたい

今後の展開を教えてください。

やはり「レタプラ」をより一層広げていくことです。「『レタプラ』を使っているから専門家に気軽に相談できる」という形を確立したい。「カスタマイズ版レタプラ」では、不動産会社や金融機関が各種機能を使っています。地方中核都市で多い空き家問題や所有者不明土地問題といった社会課題も解決していければと思っています。

会社名 株式会社FP-MYS
所在地 北海道札幌市中央区南2条東2丁目7-1-2F
代表者 代表取締役社長兼CEO 工藤 崇
設立年月日 2016年7月22日
事業内容 ・ウェブ、書籍及び雑誌の執筆及び編集業務
・ウェブメディアの企画及び運営
・セミナーの企画、運営及び講師業
・個人、法人及び団体の資産運用及び管理に関するコンサルティング業務
・前各号に付帯関連する一切の事業

取材日:2019年12月20日

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