年100回のセミナーをこなす人気FPが語る「老後資金の不安」の解消法~ライフプランナビ 澤木明氏インタビュー

年100回のセミナーをこなす人気FPが語る「老後資金の不安」の解消法~ライフプランナビ 澤木明氏インタビュー
年に100回の講演やセミナーをこなすベテランFP、澤木明氏は、自信を失ったシニアに「今こそチャンス、働き続けよう」と声をかける。

澤木氏自身、51歳で会社勤めからスピンアウトして独立、大手企業や官公庁のライフプランセミナーや相談業務、新聞・雑誌の取材対応などを通じて、多くの感謝を寄せられる理想の人生を実現してきた。

多くのシニアが不安に陥っている老後資金問題にどう対応すべきなのかなどを澤木氏に伺った。

28年間の会社勤めを経て独立、ベテラン講師に

まずご経歴について伺います

私はもともと28年間、カメラメーカーでサラリーマンをしていました。

研究開発部門から人事部に行ったのですが、会社員生活が合わないと思い、2002年、51歳のときにその会社を早期退職して、社会保険労務士やファイナンシャルプランナーの資格を取って独立開業しました。

以来、18年になります。

人事部に移ったことから独立を意識するようになったのですか

もともと研究開発部門からスタートしたんですが、技術者としてはあまり能力がなく、人事部に行き、人材育成・開発部門で社員研修や社員採用に携わり、中高年のライフプラン作りをするようになりました。

当時、カメラ業界はフィルムカメラからデジカメへの移行期で、経営が大変厳しく、リストラを始めたんですね。

私も人事部で早期退職優遇制度の応募者の相談に乗っていたのですが、社員に次のキャリアを勧めるなら、自分も次のキャリアにトライしてみたいと思うようになりました。

割増の退職金をもらって会社を辞めて、万一収入がなくても何とか生きていけるということを確認して、独立しました。

独立されて、集客はどうされましたか

元の勤め先は最初のお客様になってくれて、社会保険の手続き業務やセミナーなど、その後もずっと付き合いがあります。

社員が7千人いる会社ですので、その7千人の社会保険関係の手続き業務、セミナーや個別の相談業務などをやらせてもらっていました。

だから集客にあまり苦労せずに仕事ができ、また別のコネクションで違う会社の仕事もいただき、今はいろいろな企業や官公庁で年間100回ほどセミナーを開いています。

年間100回とは忙しいですよね。全国ですか?

中高年の方が対象で、北は北海道から南は九州まで全国です。

短いものは2時間ほどですが、長いものは1泊2日で10時間に及ぶようなものもあり、一方的に話すだけでは受講者も飽きてしまいますから、実際に参加者に自分のライフプランを立ててみるところまでしたりしています。

澤木さんのお話を聞いた方が全国にたくさんいらっしゃるのですね

年間100回として、これまでに大体1800回近くやっていて、1回に20人受けたとすると4万人近くいることになりますね。

大ベテランですね

一応、この世界ではベテランになっていますね。ライフプランセミナーの講師をすること、中高年のライフプランの相談に乗ること、それから本やWeb、雑誌記事などの執筆ができるようになり、描いていた自分の考えていたプランは今ちゃんと実現できました。

リストラでへこむな、自己実現のチャンスととらえよ

澤木明氏 リストラでへこむな、自己実現のチャンスととらえよ

昔は早期退職することにはネガティブなイメージがありましたね

昔は中高年をターゲットにして会社から追い出す感じがありましたが、最近は中高年社員も覚悟を決めているというか、会社も社員も次のキャリアは自分で築こうという姿勢を持つようになっています。

私はあまりリストラ教育はやりませんが、中高年の方にこう言っています。

会社を追い出されるというと寂しい気もするかもしれないけど、これから自分のやりたいことができると思えばひとつチャンスじゃないですか、私の生き方見てくださいと。

私の生き方は、50歳そこそこで会社を離れて自由業で自分のやりたい仕事をして、定年もないから80歳になっても仕事が続けられるわけです。

年金なんてあてにしなくてもちゃんと収入があるので生活が安定する。

好きなことをやって老後の心配もなくなるのだから、悲観せずに、自分の好きな道を選んで、会社に残る社員よりも自己実現できるじゃないかと。

それだけ終身雇用が当たり前ではなくなっているのですね

私が独立した18年前は、まだそこまでの覚悟ができていない人が多かったから、会社から見放されたという悲痛な気持ちがありました。

今は自分の人生に向き合う覚悟ができ、ポジティブに受け止めることができるようになった

作家の五木寛之さんは、『林住期』という本で、人生を学生(がくしょう)期、家住(かじゅう)期、林住(りんじゅう)期、遊行(ゆぎょう)期という4つの期に分けて生きることを紹介しています。私はその考え方が大好きなんです。

学生期は学生時代、24歳くらいまでは学ぶ時期。
家住期は、家庭をつくり、家をつくり、子どもを育てるという時期。
林住期は50~75歳で、自由に生きましょうという時期。
遊行期は75歳以上で、この世への一切の執着を捨て去って巡礼する時期。

50歳になったら自由な生き方をしましょうというこの考え方には私も非常に賛同していて、実際にそれを実現している、とセミナーの受講者に話しています。

とくに最近では人生100年時代と言われていますから、25年ずつ区切って、自由に自分の好きな人生を歩むのもひとつだ、だからリストラはチャンスととらえることができるのです。

仕事一筋でやってきた方だと、いきなり自由にしていいと言われても戸惑う人がいそうですね

一度しかない人生なので、もう少し楽しみましょう、仕事に追われて、住宅ローンに追われて、子どもの教育費に追われて、何のための人生か分からなくなっていませんか、だったら自分の人生楽しみましょうと話しています。

澤木さんは、資格もお取りになったし、すごく勉強されたと思いますが

勉強はぜひ勧めたいです。

会社ではいろいろなスキル、ノウハウが身につきますが、それを他社でも通じるようにするためには勉強が必要です。そうするとリストラを恐れなくても済みます。

私は、資格取得に限らず、どこでも通用するようなスキル、ノウハウを身につけることをお勧めしています。

とくにお勧めするのは、「副業」ならぬ、会社と会社以外の両方の仕事で能力を身につける「複業」ですね。

40歳くらいになったら準備を始めるべきだと

サラリーマン時代、40歳くらいになると、出世している同期仲間も自分の先行きが不安だし、出世しない同期仲間はさらに不安になることを身近に実感してきました。

不安を抱えたままの人生は面白くないから、いつでも会社を飛び出してやる、見返してやるという気持ちを持たなければ、守りの姿勢になってしまいますよね。

最近は定年が延長され、シニアの再雇用も進んでいますね

会社に長く残って働くことでちゃんと会社に貢献できていればいいですが、ぶら下がりで残るのは、本人も本意でないと思います。

会社にとって不要と思われているなら早く辞めて、自分の好きなことをやればいいと思います。極論ですが。

一度でも不要と思われてしまった人は邪魔にされたりして、会社から優遇されませんから、そんな人生はつまらないし、そういう人ほど不満を言うので周りに悪い影響を与えることになる。

そんなに嫌なら早く辞めて、自分の好きな道を歩めばいいと思うんです。ちょっと言いすぎでしょうか?

シニアには、若い人にはできない仕事があると思います

中高年は中高年なりのよさがある、長い人生を歩んだからこそできることがありますよね。
パソコン等の作業では、新しいこと覚えられませんし、覚えたとしてもすぐに忘れますから、若い人に絶対負けますよ。

でもたとえばクレーム対応などの仕事なら、若い社員は嫌がりますが、60歳以上のシニアが受ければ、クレームを言ってきた人も納得することがあるでしょう。

中高年は打たれ強いですから、説得力を持って故障などの原因を論理立って説明し、納得してもらうような仕事は、シニアだからこそできるものだと思います。

それを自覚していないシニアも多いと思います。セカンドキャリアセミナーなどでは、若い上司の指示を受けることに抵抗をもつ人も多いとか

おっしゃる通りで、その自覚をするのが大変なんですよ。

若い上司の言うことを聞けないなら、自分が会社を興せばいいだけの話なんです。俺のほうがベテランなんだ、と若い上司に指導する立場になるのは本末転倒です。

「老後2千万円問題」は働き続ければ解決する

「老後2千万円問題」は働き続ければ解決する

老後2千万円問題などがあって不安に思っている方も多いと思います。どういう準備、どういう気の持ち方をするべきでしょうか

少子高齢化が進んでいますので、年金制度をはじめとした社会保障制度はこれから厳しくなると思いますから、それに備えることが必要ですよね。

老後2千万円問題は、60歳までに2千万円なんて貯められないと若い人たちがショックを受けましたが、私は安心してくださいと話しています。

たとえば60歳までに2千万円がなければ、60歳以降も働き続ければいいんです。

年収200万円ぐらいの仕事は結構ありますから、それを60~70歳、あるいは65~75歳という10年間続ければ、2千万円はちゃんと獲得できるわけですから。

60歳までに2千万円貯まっていなくても、働き続ければちゃんと2千万円を確保できるんです。

なるほど、おっしゃる通りですね

働きたくないという人もいるかもしれませんが、年収200万ということは月16万円ですから、特別なスキルやノウハウが要らない、無理のない軽い仕事は世の中にたくさんあります。

そういった仕事を楽しんで、老後も10年間くらい続ければ問題解決です。

もうひとつは、年金を本当にもらえるかどうかです。

30代くらいまでの若い人は、年金をもらえないと思って諦めている人が多いです。

標準的な給料だった場合、40年働いた夫と専業主婦の妻がもらえる生涯年金額は、6千万ほどですから、年金をもらえなくなるということは、老後資金の6千万円が消えてなくなってしまうことになります。

そんなことが現実的にあり得るかというと、私はまずあり得ない、年金制度は破綻しないと皆さんに伝えています。

なぜなら、年金制度は支え合いだからです。

必ず子どもは生まれますから、それが社会人になって年金保険料を払えば、結果的に老後世代に送られます。

つまり、働いて払った保険料を貯めて自分たちがもらうのではなく、いま老後を迎えている人たちに仕送りをする支え合いなんです。

子どもが生まれれば、必ず保険料払ってくれる人はいるのですから、必ず年金はもらえます。

もちろん十分な額をもらえるかどうかはわかりませんので、やはり長く無理せず楽しく働くというプランを立ててくださいと話しています。

年金などなくても、勤労収入があれば生きていくことはできます。

私自身、今69歳ですけれども、じつは年金をもらっていません。

新聞などでも、繰り下げ受給で年金額が増えるということは2年ほど前からさかんに言われてきました。

70歳になったら私も年金をもらいますが、70歳からだと42%増額されますから、立派な老後資金になります。

半端な資産運用よりよほど率がいいですね

資産運用をしなければいけないのは、20代、30代の若い人です。

地道にお金を預貯金するのもいいですが、株などにも投資しながら長いスタンスで20年、30年で資産運用していけば、世の中というのは発展していくわけですから、必ず増えます。

少しずつ若いうちから株や債券に投資していけば、20年、30年の間に必ず資産は増えます。

でも、60歳を過ぎたら資産運用などしなくてもいいと思っています。

誰もがお金が増えると思って資産運用しますが、慣れない資産運用すると失敗することが多いのです。

世の中には、せっかく退職金をもらっても1千万減らしちゃったという人がたくさんいます。

世の中にそんなうまい話はない、冷静に考えると儲からないと分かっているはずですが、退職金もらうと増やさなきゃいけないと思って、幻想を抱いてしまうんですね。

親から遺産を相続しても、多額のお金をそのままにしてはもったいないと考えて資産運用する人が多いですが、結構減らしてしまう人が多いんです。

自分が働かずお金に働かせようという考え方を私はお勧めしません。
自分自身が無理せず楽しく長く働くことが一番現実的です。

働けば人間関係も生まれて孤独になることもなく、認知症にもならないし、健康にもよいので、働くのが一番です。

じつは働きたくないと思う人が多いのですが、私は無理せず楽しく働くことを考えましょうとしつこく言っています。

最初にやるべきなのは、何をやりたいかという夢をもつこと

実際のご相談事例を紹介してください

ご相談に来るのは企業年金がもらえる大企業の人が多いですね。

企業年金の受け取り方で一時金と年金の割合をどうすればいいかとか、公的年金の繰り下げを選んだときのメリットやデメリットは、という質問や相談が多いです。

また、定年後の働き方として、社会保険に加入する働き方と、自営業や短時間労働ではどちらがいいかという相談も受けますし、退職金や相続した遺産の資産運用も相談されますが、これは今言った通り積極的に資産運用などしないほうがいいと回答しています。

自営業と社保にもう一度加入するのでは、どちらがいいのですか?

その人の状況に応じて変わりますので、まず、あなたはどのような人生を送りたいのですかと聞きます。

ご自身のライフプランとしてどんな夢を実現したいかがベースになりますので、一時金がいいのか年金がいいのかも含めて、一律には答えようがないんですよね。

将来の夢、生き方が決まらないのに、何が損か得かと聞いても答えられませんから、その話からするんです。

多くの人は損得で判断したいと思っていて、セミナーでもお得情報を期待されますが、お得情報はありませんと話しています。

50代などでは親の介護問題なども切実だと思いますが、そういった相談もありますか?

介護にかかる費用や介護施設などのご相談を受けたときには、現状の話をしています。

介護期間というのは1年か2年で亡くなってしまう場合もあるし、10年以上と長くなることもあるから、介護費用は一律にいくらと言えず、ピンキリになります。

けれども介護費用がたくさんかかることは間違いありませんから、老後2千万円がないことで驚いている場合ではありません。

何歳で完済するのか分からないローンを借りるようなものですよね。

漠然と不安があるんだけれども、考えるのが嫌だから考えないから余計不安になるという。

そうなんです、みんな考えないようにするんですが、現実は考えないと乗り切れません。

そうすると、国がちゃんと教えてくれないからとか、考えてくれないからとか、国を不満のはけ口にするのですが、国にお金が無尽蔵にあるほど日本は豊かではありません。

やはり国民一人ひとりが自分で備えなければならないのですが、その自覚がないんです。

セミナーに参加された方で面白いことをおっしゃった方、ユニークな方はいらっしゃいましたか?

セミナーでは、将来自分が70歳になったときにどういう人生を歩みたいかということをいつも書いてもらうのですが、夫婦の支配関係、つまり支配する側と支配される側が逆転するだろうから、自分の人生を変えなくちゃいけないだろうと書いてきた人がいました。

奥さんに従わないと老後は幸せになれないと書く人もいます。

多いのは家庭菜園や野菜作りなどですが、将来の夢を考えてもらうと、皆さんいろいろな夢を描きますよね。

お金のことも必要かもしれないけれども、将来に夢を持ってほしいと思っています。

私の話を聞くまでは60歳、65歳で仕事を辞めたいと思っていたけれども、これから長く働き続けたいと考え方を変える人が多いです。

具体的な構想として面白いと思ったのは、若いときに考えていた夢を実現するということで、俳優になりたい、大学時代にクラブ活動でやっていた演劇をまた始めたいというんです。
とても面白いと思います。

歳をとったからこそできる役もありますしね

テレビドラマでのお医者さんの役、弁護士の役、会社の取締役の役は歳をとってからできるものですからね。

そういった話を聞くのは面白いですね。

あとは、将来は温泉旅行をしたい、海外旅行をしたい、という夢を書く方が多いです。

人間関係に疲れたから寅さんのように、日本全国をさすらいの男一人旅をしたいと書いてきた人もいるんですよ。

事務所名 ライフプランナビ
代表者 澤木 明
保有資格 CFP®
社会保険労務士
キャリアカウンセラー(CDA)
年金コンサルタント
CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。
事業概要 ライフプランセミナー講師
中高年向けライフプランセミナー
定年退職準備セミナー
マネープランセミナー
(公的年金、社会保険、資産運用、生命保険、相続・贈与、退職金や年金にかかる税金などについて)
その他
社会保険労務士業務
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人事コンサルタント
年金相談
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取材日:2020年3月18日

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