老後2千万円問題に反応した若者に知ってほしい「幸せを実現するバランス」~ゆめプラニング 大竹麻佐子氏インタビュー

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ゆめプラニング 大竹麻佐子氏インタビュー
「お金の話って、親子で、友達同士で、職場で、なかなかしませんよね。タブーだとか、恥ずかしいとか、下品だとか…そんな文化を変えていきたい」。

そう語るFPの大竹麻佐子氏は、今後の夢や希望をふまえたコールに向けたライフプランの実行援助をはじめ、セミナーや講座講師、相続コンサルティングなどを行っている。

通帳の残高を増やすだけでは得られない、幸せのためのカラダとココロとお金の「幸せバランス」について伺った。

「もともとやりたかった仕事」に出会うまで

大竹さんは証券会社でお勤めされていたのですね

バブル真っただ中の昭和63年に、新卒で証券会社に入りました。

当時の証券会社はカウンターで投資相談をするというイメージで、入社後はどこの支店に配属されるんだろうと思っていました。

結局配属されたのは国際業務部という、海外の機関投資家が日本株を売買するにあたっての代理人業務をするバックオフィスでした。

予想していた仕事とは違いましたが、日本のマーケットを動き、経済の最先端を感じることのできる場所でした。

その後、外資系の銀行に転職し、同じ業務を計10年続けました。

外国人投資家相手ですから時差はないし、仕事は変わらずずっとハードでしたが、当時の経験は、現在の自分にも大きく役立っています。

まさに24時間働いていたわけですね

1999年、結婚を機に辞めて家に入って、それまでは文字通り24時間働いていましたから収入も多かったのですが、出ていく額も多く、家庭に入って家計を回していくのは結構大変だということを知りました。

子どもの頃は、それほど豊かな家でもありませんでしたが、辞書を買う、塾に行くと言えばお金は泉のように湧き出るように感じていたので、お金のことをちゃんと考えたことがなかったんですね。

時間ができたから何かやろうかなと思って、ハローワークで当時創設された教育訓練給付金制度を利用してファイナンシャルプランナーの講座を受けました。

勉強して知らなかった知識に触れて感動したことがファイナンシャルプランナーの第一歩になりました。

ただ、当時は家計を回していくことで精いっぱいで、これを仕事としようという気はさらさらありませんでしたね。

あくまでも自分のために役立てようと

知識はそこそこ得られましたが、今で言うライフプランニングなんて全然興味なく、ただ資格を取っただけの状態でした。

その後、2011年に、FP協会東京支部主催のイベント「FPフォーラム」に参加しました。一般の方にファイナンシャルプランナーという仕事やファイナンシャルプランニングを知って頂くことを目的としたイベントでした。

そこで初めて無料相談をされたのですね

すごく緊張して、その日何を聞かれて何と答えたかはまったく覚えていません。

でも終わった後に相談者(60歳くらいの女性)が、「来てよかったわ、ありがとう。話をしたことですっきりした」とおっしゃってくれました。

そこで何か自分の中に残るものがあり、この経験が2回目の転機になりました。

ファイナンシャルプランナーという仕事は人の役に立つ、私でも誰かの人生に関わることができるんだ、これを自分の仕事にしようと思いました。

思い起こせば、ずっと忘れていたけど、証券会社に入ったときにやりたかった仕事はそういうことだったんです。

それで2011年にFPとして活動を始めることになりました。

本格的に活動をされるにあたって着手されたことは?

当時はまだ独立系FP事務所はあまりなく、そもそもファイナンシャルプランナーの認知度もありませんでした。

たまたまニッセイの方から「FPの資格を持っているのなら働いてみれば」という言葉をかけていただき、保険会社で募集人を始めました。その後、外資系保険会社に移り、保険代理店に転籍しました。

上級資格CFPを取得したことでFPとして独立しようかなと思ったのが2015年です。

今も解決策のひとつとして保険の募集は継続していますが、独立系の個人事業主としてセミナー、相談、執筆の業務を行っています。

「老後2千万円問題」に反応したのはシニアではなく、20代、30代

ファイナンシャルプランナー 大竹麻佐子

どういったお客様を対象にしていますか

バブル世代の50代は、私と同じようにお金に向き合って来なかった人が多いんですね。

定年退職後の老後は何とかなるだろう、といった感じで、私は「何とかなるだろう世代」と呼んでいるんですけれども(笑)、あまりちゃんと向き合わないで生きてきている。

だからこの人たちにお金のことをきちんと考えてほしいと考え、50代がお金のことをきちんと考えないと、70歳、80歳になったときに大変なことになる、枯渇や老後破産は無縁ではないよとアプローチしているのですが、苦戦しています。

それは実際に「何とかなっている」からですね

そうなんです、何とかなっちゃっているからなんですよね。

なかなかこちらを向いてくれない人たちに「やろう」と言い続けるのも疲れてきた頃に、2019年の「老後2千万円問題」が起こりました。それに敏感に反応したのが20代、30代で、若い人たちの相談が爆発的に増えました。

この世代は年金にもすごく不安があるし、結婚してお子様が生まれ、家が欲しいと思う世代で、住宅購入の相談もすごく増えています。

本当に客層が変わりました。

シニア層は、もうあきらめてしまっているということでしょうか

70代、80代になると認知症や介護、相続という問題が出てきます。

シニア層のご相談もコンスタントにありますが、これから何かをするというより、継続的に会って「元気?」と話をかわすことが主目的ですね。

私のお客様には相続税対策(納税資金対策)の相談はあまりいないですね。それよりも、揉めない相続を考えていくことに注力しています。想いを遺すことが大切だと思っています。

今あるものを仲良く分けられるようにということで、亡くなる前に遺言をみんなに見せてしまおうという方も多く、そのときに私が間に入ることでコミュニケーションしやすくするわけです。

だからたまに会って「どう?」「元気だね、また来るね」と会話をかわすことが重要なんです。

若い方の老後に対する不安とは、具体的にはどういうものでしょうか

漠然とした不安ですね。

年金がもらえないのではないか、そもそも年金って何?というところから始まり、公的年金と自分で貯める個人年金との違いも知らない人もいます。

私も若い頃はそうでしたが、金融リテラシー不足を感じています。

自分で勉強もしているけれども、ネットでは情報が多すぎて訳が分からなくなってしまった人から、本当はどうなのかと相談されることもあります。

2019年から多くなったのは、子どもが生まれるか、生まれたくらいの世代の住宅購入のご相談ですね。

感心するのは、家を買うことだけではなく、教育費など将来に向けてのライフプランを明確に意識していて、全体を通して中立的なファイナンシャルプランナーに相談したいと希望される方が多いことです。

はじめは住宅購入相談というテーマなのですが、最終的には人生をトータルで話をします。

私は基本的にキャッシュフロー表を作るのですが、このままでいくと大体こうなるね、この辺りでここを目指してこれくらい貯めておこう、ということをグラフや数字で見える化すると、イメージできるようになり、安心されます。

選択肢はなるべくたくさんもっておく

インタビュー中の大竹麻佐子FP

積極的にライフプランを立てようと思う方が多いのは心強いですね

漠然とした不安から明確な不安に変わるので、ではその不安を解消するためにはどうしたらいいかということを考えられるようになるんです。

とくに30代だと、この先いろいろなことが起こりますから、これでもうずっと安心ということは絶対にありません。

ですから一度だけ見直したのではダメです、年に1回でいいから継続的にキャッシュフロー表をアップデートしましょうと言っています。

若い方たちは柔軟ですから、話をしていて楽しいですね。

ライフプランを立てるにあたり、どういうことを意識すべきですか?

初めに、夢や希望など、本当にやりたいことを全部出してもらって、その夢を実現させるためにはどうするかを考えていきます。

ゴールが見えたら、今度は「今」を見ます。

年収がいくらなのか、月の給料がいくらなのか、支出がいくらなのか、光熱費がいくらなのか、そういうことを見ていくと、意外と使途不明金があったりすることがわかり、それを節約することで別な用途に振り分けることもできる。

まずはゴールを決めて、現状を把握し、いろいろなリスクを想定して、なるべく多くの選択肢を持っておこうということをお勧めしています。

選択肢を絞る必要はなく、たとえば子どもの学校は公立・公立・公立と書いてくる人が多いのですが、子どもが頑張ってもダメなこともあり得るのだから、そのリスクはちゃんとヘッジしておかないといけないし、今の会社を転職することもあるかもしれないし、というように、ある程度想定されるリスクをちゃんと考えておくことが必要です。

最初はざっくりでいいから予定を立てるところから始めて、その上で全体を見ればひとつひとつが見えてきます。

将来を明確にイメージするのは難しくありませんか

短期、中期、長期とよく言うのですが、遠い未来のことなら甘く考えて「そうなれたらいいな」でいいと思いますが、近く=短期のこと、5年以内の見える範囲は、はちゃんと考えようと言います。

中期は多少のリスクの選択肢を残しつつ、長期に関してはざっくりこのくらいというイメージでもかまいません。

たとえば資産形成もそれによってやり方が変わってきます。

ご相談は年間契約とスポット契約に分けて受けています。

スポットの方は1回、2回で終わるのですが、年間契約の方は、「銀行でこういう商品を紹介されたけどどう思いますか?」という相談をされることがあります。

「ここを確認してみて」と言うと、やっと見方が分かったとか、こういうリスクをとってもいいかなと思いましたとか、その方がご自分で考えてくれるようになりますから、すごく良い傾向だと思います。

投資の相談を受けることもありますか?

iDeCoやNISAのご相談などもあります。

「どうしてiDeCo、NISAなの?」と聞くと、「何かしら投資をしたほうがいいと思って」と答えるのですが、じつは聞きたいのは資産形成のことだったということもよくあります。

iDeCo、NISAは税制面で優遇されているので、それはそれでいいけど、全体感からすると他にもやっておいたほうがいいものがあるとアドバイスすることもあります。

たとえばiDeCoは60歳まで引き出せないので、これから何があるか分からない世代がつぎ込みすぎてしまうと、いくら税制面で良くても、何か起こってお金が必要になったときにどこかから借りなければならなくなるかもしれません。

そう考えると、そこは抑えて、増えなくても普通預金に入れておく必要もあるわけです。

全体のバランスもお伝えしてそういったことを考えてもらうと、だんだんみんな分かってくるんですよね。

そうか、NISA やiDeCoを最大限でやろうと思っていたけれどもダメですね、ということがわかっていただけるので、そういう考える機会を提供するというイメージでやっています。

お金だけでは豊かにはなれない

「お金だけでは豊かにはなれない」とおっしゃる大竹麻佐子FP

大竹さんのHPには「ココロとカラダとおかねのバランスを整えよう」と書かれていますが

豊かに生きる、幸せに生きるには、お金の問題だけではありません。

私はファイナンシャルプランナーだからお金のことはお話しできますが、お金がたくさんあれば幸せかといったら絶対そうではないし、やっぱり健康で生きがいもなければ幸せに豊かには生きていけない、ということが大前提です。

すごく元気で生きがいがあって、お金もたくさんあれば、大きな「円」になりますが、そんなに大きくなくても、バランスがとれている円を目指せば、幸せになれます。

「ココロとカラダとおかね」の3つは絶対に必要で、そのバランスを大切にすることを考えれば、たとえば健康についても、がん検診にはちゃんと行ったほうがいいわけですし、おいしいものを食べに行くことも大事です。

通帳残高が増えたときの笑顔ではなく、心から人生を楽しむ笑顔になること。

その中で、お金に関してはプロですからちゃんとやりますよと言っています。

――いつ病気になるかもしれない、そういうときにも笑顔でいるためには、やはりお金が必要になるということもありますね。

先ほども言いましたが、選択肢をたくさん持つということですね。高齢者の方によく言うのですが、今すぐに終の棲家を決める必要はないと。

最後まで自宅に住みたいのか、元気なうちは自宅に住んで動けなくなったら施設に入るのか、元気なうちに施設に入るのか、という自分がどうしたいのかを漠然とでいいから今のうちに考えておけば、たくさんある選択肢から選べますよ、と。

選択肢が少ないと、我慢しなければいけなくなってしまいますから、動けるうち、元気なうちに、たとえば介護施設をいくつも見ておけば環境や値段の差も分かるし、それによって自分がどのくらいのところに入れるのかも分かる。

先延ばしにしていると選択肢は大抵減っていってしまいますから、少しでも早いほうがいいです。

働き方や社会が変わりつつある今、ライフプランを立てることは難しくありませんか

本当にそうですね、ファイナンシャルプランナーという存在の認知が進んでいるのはそういう背景があると思います。

20~30年前は、結婚して子どもができて、というのがモデルプランでしたが、今ではそれに当てはまらない人が珍しくない多様な状況だからこそ、FPの存在意義があるのだと思います。

大切なことはどう生きたいかということであり、ライフプランというよりもライフデザインを自分で描くことだと思います。

だから収入源は大切にして、何があってもケンカして勢いで辞めたりせず、ある程度の事業計画をひそかに立てるべきだと言っています。

自分の人生の失敗談も伝えつつ、事業者としての自覚をちゃんと持たなきゃダメだと自分にも言い聞かせています。

若者がよく勉強しているのは極端に言うと守りに入っているからでしょうか

そうとは言いきれません、決して悲観的ではないと感じています。私も、先行き不安なところはあるかもしれないけれども、「やりたいことやろうよ」と煽っています。

たとえば公的年金が先延ばしになったり額面が下がったりしても、今その状況を知ることができるのだから、それに対して対策をしていくことで不安を解消すればいいと思うんですよね。

ただ、迷っていますね。
「この間はこう言ったけど、やはりやめました」という方もいますし、踏み込む勇気がないんだろうなと思います。

私の年齢になると、あのときやっておけばよかったという思いがあり、つい、「やっちゃえば」と言いたくなりますが、自分が20代、30代だった頃を考えれば、やはり勇気がなくて迷っていました。

あんまり何でもかんでも突っ走ってしまうと、それこそ何をやってもいいことになってしまうので、守る気持ちを持つことも大事です。

子どもたちの感性はすばらしい!

今後はどういったことを手掛けていく予定ですか

私がちょっと危機感を感じていることがあります。

そもそもなぜ50代を対象にしたいと思っていたかというと、自分と同じ世代で、相続のご相談などある程度フォローし続けていくことができるからですが、20代、30代のファイナンシャル・プランニングをしていて、「この人が会社を定年退職するとき、私は100歳?」と思うと、怖くなるんです。

人生に寄り添うパートナーと言っているくせに、実際には今20代の方が60歳になるまで私は付き合えないのですから。

そう考えると、ふたつの対策が考えられます。

その方が自分できちんとファイナンシャル・プランニングが立てられるようにすること、もうひとつは、私が私の後継者をつくること。

これが今の私の課題ですね。

やっていきたいことは、若い人からお年寄りまで、お金にきちんと向き合う人を一人でも増やすということです。

日本人はお金の教育を受けておらず、お金について話をすることをタブー視する文化がありました。

お金のことについて学ぶことは本当にどの世代にとっても必要なことですし、考えることによってその人の人生がよりよいものに絶対なると思っています。

お金に向き合う人を応援すること、サポートすることが私の仕事だと思っているので、それは伝えていきたいです。

お金のことを教える特別授業なども増えていますね

私も品川区の中学校で話をする機会を頂きました。

中学1年生対象の特別授業で、「将来の職業を考える」というテーマだったのですが、カメラマンや弁護士、建築家といった職業の方たちの一人としてFPの私が呼ばれたんです。

FPはこういう仕事だよ、こういう思いで仕事をしているよという話をしたら、「お金との付き合い方は友達関係でも今日から使える知識だと思う」「お母さんに教えてあげたい」「人の人生に寄り添える仕事って素晴らしいと思った」という反応があり、子どもの感性はすばらしいと感動しました。

それは大変良いお話ですね

みんな目がキラキラしていて、私も新たな発見をもらったし、有意義な時間でした。

中学生がそういうことを真剣に考えてくれる場があることはすごく嬉しくて、今後も機会があれば関わりたいなと思いました。

名称 ゆめプラニング
代表者 大竹麻佐子(ファイナンシャルプランナー)
所在地 東京都品川区南大井1-17-7-803
お問い合わせ m-ootake@fp-yumeplan.com
090-5419-0532
受付時間 9:00~18:00
ホームページ https://fp-yumeplan.com/

取材日:2020年3月25日

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