多彩なビジネスキャリアを経てFPというライフワークにたどり着いた~ライフ&ビジネス・デザイン合同会社 梅田雅美氏インタビュー

多彩なビジネスキャリアを経てFPというライフワークにたどり着いた~ライフ&ビジネス・デザイン合同会社 梅田雅美氏インタビュー

梅田雅美氏(東京都目黒区の事務所にて)

 

航空会社のキャビンアテンダントとして20年空を飛んでいた女性が、「お金のことを何も知らなかった」と一転、年金や保険、税金や資産運用を学び、ファイナンシャルプランナーへ。

「マネー相談」、「マネー教育」を行うライフ&ビジネス・デザイン合同会社のCEO代表社員・梅田雅美氏にお話を伺いました。

海外を飛び回る日々からFPに転身

梅田さんのご経歴からお伺いします

高校生の頃までは芸術の道に進もうと思って藝大美術学部を目指していたのですが、美術を観る側になりたいと思って進路変更しました。「本物に触れる側になりたい」と思ったんです。

当時の日本ではインターネットで美術館の展示を見ることはできませんでしたし、「モナリザ」が来て大騒ぎになったりして、良い作品はあまり日本に入ってきませんでした。

藝大を出て画家としてやっていくか、美術教師になるかと迷いましたが、当時は職業の選択肢が少なかったこともあり、航空会社に入ろうと決意しました。

当時の女性は短大に行く方も多かったですし、私も早く自分のやりたいことをしたくて短大に進み、卒業後は日本航空のCAとなりました。

CAになられて海外を飛び回る日々ですね、いかがでしたか。

大まかにいうと、当時はアメリカならニューヨーク、ヨーロッパならロンドン中心という2つのベースがあったのですが、20年ほどCAとして勤めましたので、まんべんなく欧米を回ることができました(笑)。

日本航空を退社されたきっかけは?

20年の間に結婚・出産もし、育児等は両親の協力もあってCAの仕事を続けることができました。

子どもが小さい頃は、1週間のフライトがあると、曜日ごとに保育園の準備を全部まとめたり、大変でしたが、辞めようと思ったことはありませんでしたね。

なぜ退社したかとよく聞かれるのですが、20年勤務して60歳を定年とすればちょうど折り返しの年齢となり、先輩方を見て、このままだとあと何年かで役員になったり、終着点が見えてきました。

地上に降りて後輩を教える立場になる道もありましたが、現場が楽しかったこともあり、現場を離れてまで続けることは考えず、辞めることにまったく未練はなかったですね。

それだけ充実していたということでしょうか。

そしてまったく別の仕事を選ばれたのですね

当時、ちょうど年金の第3号被保険者のデータがなくなる事件があり、マスコミで盛んに報道されていて、それで、そういえば自分は無頓着だったけれど、年金ってどんな仕組みなのかをちょっと調べてみたのです。

すると、「こんなに知らないことが多かったのか」「社会人1年目で知っていれば」ということがすごくたくさんあることに気づきました。

同じような人たちがいるのであれば助けてあげたいと思い、今までに培ったCAのサービス精神のスキルも役に立つと考えました。

お金の知識には疎かったわけですね

保険の入り方や、年金とは何のために積み立てるのか、どんな時に使えるのかとか、自分の老後の資金はどうやって貯めるのかなど、いろいろなことが分かりました。

65歳定年になる3年前になって老後資金が1000万円足りないと気づいて、3年間で1000万円貯めるのは大変ですが、20歳の頃から毎月1万円貯めていればそんなに大変ではありませんから、準備は早ければ早いほど楽になります。

そこでファイナンシャルプランナー(FP)の資格をお取りになった

一番下のFP3級は退職前に取っていましたが、CFPまで取るのはちょっと大変でしたね。

得意な科目はすぐ取れましたが、私は法人税の科目がなかなかイメージつかずに苦労しました。

ほとんど独学でしたが、最後の税金科目のときには資格学校に行きました。

証券業界を渡り歩き、ついに独立


 

FPの資格を取った後は?

世間知らずでしたから、FPの会社があるかと思っていたのですが、そんなものはありませんから(笑)、AFPを取った頃に野村証券に入社しました。

そこでは一般のお客様への営業を行い、1年弱勤めましたが、家庭の都合もあって一度退職しました。

次に、欧米のファイナンシャルプランナーと同様のスタイルを取り入れた部署を立ち上げていた三井生命保険のFP事業部に入りました。

そこでは保険営業とは別に有資格者を集めたチームを作り、お客様のニーズに合ったサービスを提供していたのですが、保険営業部との兼ね合いなどから、当初とは違う雇用形態などに変わるなどの不都合が生じ、そこで独立したいという仲間と会社を作ったわけです。

起業されたのは、現在とは違う会社ですね

アルハン・インシュアランスという会社で、数名で、FP相談や講師の担当、損保や生保の担当と得意な担当分野を持って始めました。

数年間続けましたが、方向性がそれぞれ違ってきたので、いったん清算しました。

FP部門の仲間と合同会社も作ったのですが、友人に任せて、みずほ銀行に入りました。

みずほ銀行に入社したのはFPとして?

はい、契約社員のような形態でしたが、1期間のみの勤務でした。

銀行の営業の方を日々間近に見ていましたが、ちょっと甘いなと思ってしまいました。

当時はデフレになりかけていた時期でししたが、銀行の営業の方には危機感が感じられなくて。

安定はしていましたし、好条件の提示をいただきましたけど(笑)、物足りなさを感じて更新はお断りしました。

みずほ銀行退職後はどのように

「保険の窓口」などでお手伝いをしていましたが、三越百貨店のCFPだけのコンサルティングチームから声がかかりました。

ゴールド会員以上のステータスの方がお客様で、興味をもってコンサルタントとして加わりました。

富裕層のコンサルティングのお仕事ですね

はい、資産運用や相続、不動産等、いろいろなご相談を受けました。チームのメンバーにも見識の深い方が多く、私自身、非常に研鑽できました。

ただ百貨店が営業時間を延長していた時代で、子どもの受験などで深夜までは働けない家庭事情になり、自分で時間を自由に設定して働きたいと思って独立しました。

複数の会社と委託業務契約を結んで定期的にご訪問したり、セミナーの講師をしたり、10年近く自宅で個人事業主としてやっていました。

その後、専門知識のある仲間と合同会社を立ち上げました。

個人事業主のままではできないビジネス展開を考えることもあって法人化して、現在に至っています。

とどまることなく、次々と新しい仕事へのチャレンジを続けた原動力は?

まだ自分の理想ではない、ということでしょうか。

どこかに所属して働いていると、やはり縛りがどうしても出てきてしまいます。

企業は利益を追求するのですから、それは当然のことですが、本意でない部分でお客様にお話ししなければならないこともありますから、それを我慢しながら稼ぎたいとは思いませんでした。

梅田さんは忙しいほうが性に合っている


 

ライフ&ビジネス・デザイン合同会社の主要事業は「ライフデザイン」「ビジネスデザイン」とのことですが、具体的にはどのようなご相談事例があるのですか

ライフデザインの分野では、私が担当してFP相談をおこなっており、キャッシュフロー作成、資産運用の見直し、保険の見直しなどの相談が多いですね。

ビジネスデザインの分野では、パートナーが企業の労務問題を行っていて、就業規則、働き方改革、コーチングなどの対応をしています。

最近は、コロナ禍でテレワーク推進の依頼なども受けました。

お客様の層は?

主に個人相談が多いですね。FP協会のご相談サイトを通じての申込みが多く、年齢は幅広いです。

20歳の学生から、定年を過ぎてだいぶたつ年齢のお客様もいらっしゃいます。
男性も女性もいろいろですね。

今のお客様が一番幅広いのではありませんか

これから完成形になればいいなと思います(笑)。
これまでのキャリアでもそれぞれ充実感がありしたが、公私ともに楽しめたのは、この会社を始めた3年前くらいでしょうか。

ご自身でスケジュールなど決められるようになったから?

3年前くらいからの1年間ほど、3ヵ月働いて1ヵ月休むというサイクルで過ごしていました。

当然、サラリーマンのように有給休暇を取っているわけではありませんから、個別相談に支障が出ないようにして、メール対応したり、相談やアフターフォローの必要があれば仕事をしました。

1か月の休みには、主にホストファミリーがいるドイツへ2週間ほど行くことが多かったですね。

リフレッシュと海外の現況確認をしながら、外から日本を客観的にみる時間に費やしていました。

今はまたお忙しくされていらっしゃいますね、お忙しい方が合うのでしょうか

たぶんそうですね、育児休業中はやることなくてつまらなかったくらいです(笑)。

マネー教育から介護、防災まで様々な分野に挑戦

ファイナンシャルプランナーとして訴えていきたいことは何でしょう

じつは昨年から区議会議員をやっています。

今までいろいろな方のお話を聞きましたが、日本人は「マネー教育」がないために、損をしてしまったり欺かれたりということが非常に多いと痛感しております。

ライフワークとして、マネー教育や、一般の方が公平性をもって理解できるようなマネー相談の場所を、行政を絡めて作っていきたいと思っています。

とくにマネー教育は、小学生から始めるのが望ましいと思います。

決められた科目に取り入れるのは難しいため、まず年に1、2回特別授業として開始するのが良いのではないでしょうか。

FP協会の仲間でも、小学生と保護者が参加できる小遣いゲームなどを行っています。

保険や年金といった商品の話以前に、「お金ってどこから来るの?」といった非常に基本的なことを学ぶことが大切だと思うんです。

その後で段階を追って必要な支出を考える、税金や社会保障を加えていくという学び方が理想です。

小学生からというのは早すぎる、と思う人もいるかもしれませんね

2022年4月から成人が18歳に引き下げられ、高校生でもクラスに成人者がいる時代になります。

成人になれば単独で様々な契約が可能となりますから、事件や事故に巻き込まれることが今から危惧されています。

また、今は高齢化、長寿の傾向に連動して生活費が不足する傾向があり、早くから知識を得て、自分の身を自分で守る準備が必要だと思います。

あれこれ検討している余裕はほとんどありませんから、少しの時間でも、すぐにマネー教育を取り入れてほしいと思っています。

議員として他にはどのようなことに取り組まれていますか

区議会議員に当選したのは昨年春です。

当時、個人的に両親の介護の必要が出てきたので、行政にどのような体制があるのかを調べたところ、本当に助けていただけるような制度があまりないことを知りました。

生まれ育って今も住みつづけているこの地域で、小さい頃からお世話になってきた方々が皆さんご高齢になっていらっしゃいます。

自分も安心してこの地域で高齢者となることができるのかと考えたときに、介護制度には問題があると思いました。

介護の問題も、結局お金がついてくる問題で、個別相談だけでは変えられません。

いろいろな制度を根本的に変えられるポジションに就きたいと考え、行政にモノを申していきたいと思っています。

CFPの仕事と議員の仕事の両立は大変ではありませんか

ファイナンシャルプランナーは私のライフワークと考えておりますし、マネー教育、マネー相談が身近になるような社会を作るために議員になったと思っています。

自分が思うところまで結果が出せれば、1期でもいいと思います。

ひとりのファイナンシャルプランナーが一生に出会える人数には限りがありますから、なるべく広くお伝えできるようになりたいです。

梅田さんは防災士の資格もお持ちなのですね

建物の材料を扱っている商社に委託された仕事があったんです。

当時、マンション管理組合の大規模修繕のキャッシュフローをリサーチしていたのですが、「いろいろなマンションに行くなら、防災計画をどのように立てているのか聞いてほしい」というご要望でした。

そこでいろいろなマンションで聞いてみたところ、ほとんどのマンションでは何の計画も立てていませんでした。

消防署に提出する消防計画はあるのですが、何か災害があった場合に、誰が中心となり、どうやって逃げるのかといったことは何も決まっていないんですね。

そこでネットで調べてみると、ちゃんとした専門家の方がいて、皆さん、防災士資格をお持ちでした。

そこで、「これは防災士の資格を持っていないと」と思って取得しました。

防災ビジネスも展開されているのですね

マンションの管理組合からのニーズがありましたから、新しくビジネス展開を始めました。

FPの勉強をしたときと同じように、防災の勉強をして、「えっ、こんなことも知らなかったんだ」と驚くことがたくさんありました。

たとえば「消火活動を中止して逃げるタイミング」。

火が出て燃えていたら消火しますが、いつまで消火すればいいのか、知らなかったらいつまでも消火活動を続けて、自分の命も危うくなってしまいます。

じつは火が天井に当たったら、そこで逃げるべきなのです。
そんな小さなことから勉強しました。

今は新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい社会状況ですが、どんなことを訴えたいですか

今の状況を境に、社会全体が大きく変わっていくと思います。

他の諸国と比べると、日本人は近年戦争も経験していませんし、貧困にあえいでいるわけでもなく、「何とかなる」と過ごしてしまいがちでした。

これを機に自分の人生をしっかり見直し、何が大事かをよく考えていただくきっかけづくりをしていきたいと思います。

社名 ライフ&ビジネス・デザイン合同会社
所在地 東京都目黒区柿ノ木坂2-20-22
CEO 代表社員 梅田 雅美
事業内容 ライフデザイン工房
 1. ファイナンシャルプランニング
 2. セミナー講師
 3. リスク管理(共同住宅等の防災計画策定、避難訓練の実施等)
ビジネスデザイン工房
 1. 会社規程・規則の整備、労務問題対策、担当社員の教育等
 2. 人事制度等の作成と経営戦略とのマッチング
 3. 新卒・中途採用の実施(採用計画策定含)
ホームページ http://life-dk.com/

取材日:2020年5月12日

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