「クオリティの高い節税」で経営者と企業の未来デザインをサポートする~石関剛士税理士事務所インタビュー
クオリティの高い節税提案ができる税理士
事務所の紹介をお願いします。
子どもの頃、祖父が自宅で税理士事務所を営んでおり、私も税理士という職業に興味をもちました。
資格を取得したのち、他の事務所で実務経験を積み、31歳で今の石関剛士税理士事務所を開業しました。
もう13年になります。豊川市、豊橋市、田原市、蒲郡市、新城市など東三河地区を中心に多様な業種のお客様がおり、相続・相続税・贈与税、会社設立・開業支援、資金調達、税務調査対応、公益法人会計、節税対策、経理代行、給与計算、事業再生、補助金アドバイスなどのサービスを提供しています。
年商数億円規模のお客様から個人事業主のお客様まで、幅広く対応しています。
他の税理士事務所に負けない特長はありますか?
私が得意としているのは、単純に経費を使いまくることを勧める「クオリティの低い節税」ではなく、もう少し頭のいい、「クオリティの高い節税」を提案することです。節税対策にも「品質」があると私は考えているのです。
たとえば決算前2か月の時点で、例年よりも利益が上がってしまったということは、会社を経営しているとよくあると思います。
そんな場合、税理士によっては、「あと2か月で経費を使いまくりましょう」などというアドバイスになりがちです。
従業員さんを連れて旅行に行くとか、期末賞与を出すというアドバイスもあるかもしれません。でも、賞与の場合でいうと、一度出してしまうと従業員が期待するので、のちのち不満につながるケースもあり、あまり良い方法ではありません。
クオリティの節税方法としては、どんな提案をしますか。
私の場合は、たとえば、投資案件を組み合わせた提案ができます。ある投資資材を仕入れて、それをリースするという事業を行うことにすれば、その仕入額が丸々経費として損金扱いできることになり、節税できます。
翌月からはリース代金が入ってきますから、5年ぐらいかけて、元々の利益を均していくことができるわけです。具体的な設備投資の案件についても、業務提携先がありますので、机上の空論ではなく、具体的な提案ができます。
13社の保険を活用した提案をできることが強み
なるほど。ほかにはどんな節税提案ができるのでしょうか。
とくにこれから力を入れていきたいのは、生命保険を活用した、節税対策や経営支援を提案していくことです。
そうすることによって、顧問先ごとの現状に見合った対策を「オーダーメイド」でデザインできると考えています。
普通、税理士が保険を扱う場合には保険会社の代理店となります。すると、ノルマを課せられてしまいます。これが足かせとなってせいぜい3社ほどの保険しか扱えません。
保険会社はたくさんあり、各社特徴のある商品をあつかっているのに、顧問先にうまくマッチする保険を探したり、有利なものを選んだりすることができません。
当税理士事務所では提携先を介しているのでそのような足かせがなく、13社の保険を扱うことができ、さまざまに組み合わせた提案が可能です。
保険を使った提案とは。
保険は、事業経営上の節税にも使えますが、相続税対策にも使えます。最近は皆さん、相続の心配をしていますから、まずは相続の分野からお話ししますね。
相続においては、被相続人(お亡くなりになった方)が契約者であり、被保険者でもある場合、死亡保険金は「500万円×法定相続人の人数」分まで非課税となります。
つまり、お父さんが亡くなり、母、長男、次男という3人の法定相続人がいたら、合わせて1,500万円が死亡保険金の非課税枠になり、1,500万円以内の死亡保険金には相続税がかかりません。これが相続で保険を使うことの第1のメリットです。
もう一例あげましょう。
もうひとつのメリットは、生命保険を活用すれば、特定の相続人に、より多くの相続財産をスムーズに遺すことが可能になるということです。
「財産に宛名を付ける」と言い方があるのですが、いってしまえば“えこひいき”ができるわけです。
たとえば、長年父親を介護している長女がいるとします。民法では、この貢献に対して、寄与分(きよぶん)と呼ぶ、法定相続分以外の財産を与えるものと規定されています。
ですが、いざ相続が発生した際に、他の法定相続人が、この長女の寄与分を認めることはまずない。もし、長女の寄与分を認めれば、自分が相続できる財産が減ってしまうからですね。
調停や審判まで発展した例でも、寄与分は立証が難しいので、これが認められた身近な例を私は知りません。生前に遺言書に記しておけばいいのですが、ちゃんとした遺言書を作成するためには弁護士や司法書士に依頼するなど手がかかります。
そのような手間をかけなくとも、長女に感謝している父親が、より多くの財産を長女に残す手段はあります。それは、父親が、自分を被保険者とした生命保険を契約し、受取人を長女にしておくのです。
死亡保険金を受け取ることにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
死亡保険金は受取人の固有財産ですから、民法上、相続財産になりません(税法上は「みなし相続財産」として課税の対象になっています)。
ということは、つまり遺産分割の対象にならないわけです。つまり、法定相続分の遺産を受け取れるうえに、死亡保険金が受け取れるわけです。
「そんなことをいっても、自分は高齢だから今さら生命保険には加入できない」という心配も、大抵の場合は杞憂です。
「一時払い終身保険」というタイプの保険があります。これは、一時に多額の保険料を一括で支払うタイプの保険で、このタイプの保険であれば相当の年齢まで契約可能です。
とはいえ、やはり加入できる年齢制限には、各保険会社でばらつきがあります。3社程度の保険会社の代理店をしている税理士事務所では加入可能な保険を提案できないかもしれません。
先ほど申し上げたとおり、当事務所では全13社の生命保険を扱えますから、相当の年齢であっても提案できる可能性が高いのです。
なるほど。それであれば、長女に感謝している父親の思いを、スムーズに財産として長女に受け渡すことができますね。
死亡保険金は、相続が発生した時点で、すぐに受け取ることができる。遺産相続の完了を待つ必要がありません。これはとても大きな利点です。
相続が発生すると、銀行は被相続人の口座を凍結します。この凍結を解除するためには、ときには、厄介な手続きが必要です。相続の発生直後には何かとお金が必要となる場合があります。
代表的には、葬儀費用。家族葬で100万円、一般葬で120万円かかるといわれています。相続財産を葬式代につかった場合、そのお金には相続税か課税されません。しかし、銀行が凍結されたままでは、預金を葬式代に充てることもできません。
もちろん、相続税が発生する場合には、その納税資金の確保が最重要な課題となります。遺言書がない場合、相続は、遺産分割協議で決めます。要するに相続人同士の話し合いですね。
遺産分割には期限が定められていないので、もめたりすると、長い時間がかかります。遺産分割に期限はありませんが、相続税の納付には10カ月後には期限がやってきます。
納付を1日でも遅れると追徴課税されます。被相続人が亡くなってすぐに受け取れる死亡保険金があれば、納税資金として活用できるわけです。
死亡保険金として現金をすぐに用意できることが、相続にまつわる様々なリスクに対応できるのですね
ええ。そして逆に、「相続しない」場合にも、死亡保険金は有益なのです。
――それは、どういうことでしょうか?
被相続人の財産は、プラスの財産ばかりとは限りません。マイナスの財産、代表的には借金などの負債があるケースもあるでしょう。
マイナスの財産の方が明らかに多ければ、相続にによって得たプラスの財産の限度において、被相続人の債務などのマイナスの財産を相続する「限定承認」か、あるいは、相続そのものを放棄したほうがいい。
ちなみに、限定承認や相続放棄ができるのは、相続発生を知った日から3カ月以内に限られますから、注意が必要です。
当たり前の話ですが、相続放棄してしまえば、プラスの財産も相続することができません。しかし、死亡保険金は受け取ることができます。なぜなら、先ほども申しあげたとおり、死亡保険金はそもそも「相続財産」ではないからです。
あくまで受取人固有の財産なので、税法上は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となりますが、民法上の所有権は受取人にあります。ですから、相続放棄しても、受け取れるのです。
相続税の案件は、増加傾向にありますか?
平成17年に相続税法が改正されて、相続の対象者が倍増しましたし、よく言われているように、今、資産は高齢者層に偏っていますから。事前にできる相続税対策としては、暦年贈与がよく知られていますね。実際、この対策は、とても有効です。
贈与税には110万円の非課税枠がありますから、1月1日~12月31日に受けた贈与が110万円以内であれば、贈与税は課税されません。
毎年、子や孫に110万円以内の贈与を行っていけば、相当の金額を生前贈与することができます。この対策法は、雑誌や新聞などでも頻繁に掲載されていますから、ご存知の方も多いでしょう。
しかし、実務では、そう簡単には行きません。
1億5,0000千万円のキャッシュを7人いる孫たちに渡していきたい、という相談を受けたとします。孫一人につき110万円ずつ、10年与え続ければ、7,700万円を非課税で生前贈与できます。
ただこの際、贈与者はお金を振り込んだ通帳や印鑑を自分たちで管理しようとする場合が、多い。これはNGです。贈与を受けた孫たちが自分たちで通帳を管理できる状態でなければ、暦年贈与は認められません。
じゃあ、孫に通帳を管理させれば問題ないじゃないか、と思われるかもしれませんが、孫が遊びたいざかりの年齢だったらどうなるか。
あっという間に無駄遣いしてしまうかもしれません。せっかく、大切な財産をを孫に受け継がせようと思っているのに、それを浪費されては意味がない。
こんなときに私が提案したいのは、孫に贈与したらそのお金で、贈与した自分たちを被保険者とした保険に契約してもらうというわけです。これなら、贈与する人が亡くなるまでは受け取れませんから、せっかくの生前贈与を浪費される心配がありません。
あるいは、ある一定の年齢になったら払い戻すなど、さまざまに運用をチューニングして設計できます。これは一例ですが、相続対策においても、相談者やその家族の事情にみあった、「オーダーメイド」の提案をします。
節税で未来をデザインする
保険をそのように使えるとは知りませんでした。
相続税の話ばかりしてしまいましたが、保険はもちろん、事業経営上の節税にも利用できます。
「法人保険」と呼ばれる生命保険があります。法人名義で契約し、掛け金を法人の経費として落とす。
これは当面、税金を大きく減らすことができますが、解約時に大きなお金が収益として入ってきますから、結局多額の税金が課税されます。
節税ではなく、課税の繰り延べにすぎません。このようなタイプの保険に加入する際には前もって「出口戦略」を考えておかなければなりません。
たとえば社長が、後継者にしようと考えている息子を修行させ、5年後に勇退して息子に事業を承継させようと考えているとします。この場合には、5年で解約返戻金がピークに達する法人保険を組めばいいわけです。
5年後に解約返戻金がピークに達した保険を解約します。この保険金は法人の利益となり、本来なら課税対象になりますが、ここで社長が勇退すれば、退職金という経費を支払うことによって、両者が相殺されるわけです。
もちろん、代替わりの時期は、7年でも10年でもOKです。その時期に解約返戻金がピークに達する保険を組めばいいのです。(ただし、掛金の全額が経費にできるこの保険は、今、国税庁の意向で各保険会社が販売をストップしています。何割程度を経費にできる保険が今後売り出されるかどうか、近いうちにはわかると思います)。
――深いですね。
これは注意が必要ですが、法人で契約した保険を個人が買い取ることによって、有効な節税対策を立てることもできます。法人税の節税になるだけでなく、個人の所得税・住民税の節税にもなります。
さらに会社の株価が大幅に圧縮される効果もあり、これが事業承継の際には大きく貢献します。事業承継は、「会社の相続」です。
会社を相続するということは、要するに会社の株式(出資金)を後継者に贈与するということですから、業績がよく株式の評価額が大きな場合では、多額の贈与税が発生する場合があります。だから、事業承継を計画する際には、会社の株価をできるだけ圧縮させたいわけです。
こういう対策は、注意深くやらなければなりません。
平成30年に改正された事業承継税制を利用できるケースでは、株式の譲渡にかかる贈与税が100%納税猶予されますから、株式の譲渡に贈与税がかからない。
さまざまな打ち手の中から、顧問先の課題の解決にもっとも適合するものを、オーダーメイドでデザインするわけです。
クオリティの高い節税というものがどういうものか、少しわかってきました。
私に言わせれば、目の前の税金を何が何でも避けるという近視眼的な節税は、前もって考えるということをしていないのですよ。
相続対策と相続税対策は別物で、相続対策とは、円満な相続を生前からデザインすることです。同じように、決算によって未来をデザインするような提案をしていきたいと思っています。
名称 | 石関剛士税理士事務所 |
所在地 | 〒442-0013 愛知県豊川市大堀町153番地 |
設立日 | 平成18年5月25日 |
代表者 | 石関剛士 |
事業内容 | 税務申告、税務相談、記帳代行、電子書籍出版プロデュース |
事務所HP | http://ishizekitax.com/ |
登録 | 東海税理士会豊橋支部(登録番号:105396) |
関連会社 | 株式会社オフィスあおい |
取材日:2019年7月20日