自己破産とは?家族への影響やデメリット・手続きの流れ

PR

借金問題を解決する方法といえば自己破産と思っている人も多いのではないでしょうか。

自己破産は裁判所を介して借金の返済を免除してもらう手続きです。

自己破産の種類やメリット・デメリット、手続きの流れ、費用、必要書類、自己破産後の生活はどうなるのか、家族への影響などを詳しく説明しています。


もくじ

自己破産とは?

自己破産は借金の返済ができないことを裁判所に申し立てて、返済を免除してもらう手続きになります。

返済が不可能であることを裁判所が認めて免責許可を出すと、法的に借金を返済する必要がなくなります。

自己破産のメリット

まずは自己破産を行うことのメリットや自分にとって利益となることを確認しておきましょう。

自己破産すると全ての債務の支払い義務がなくなる

自己破産の申し立てを行い、裁判所から免責許可が出ると全ての借金がなくなります。

これは自己破産を行う最大のメリットで、自己破産の目的でもあります。

債務整理には任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4種類があるのですが、唯一自己破産だけが全ての借金を免責にできる方法です。

借金の額が100万円だろうと3,000万円だろうと自己破産の場合、支払い義務をなくすことができるので、まっさらの状態から人生をやり直すことができるとても前向きな手続きになります。

自己破産すると借金の取り立てが止まる

自己破産を検討している状態ということは、毎月の返済で生活が圧迫されて非常に苦しい状態かと思います。

債権者からの取り立てに不安を抱えている人も多いと思いますが、自己破産を専門家に依頼すると、この取り立てがすぐに止まります。

自己破産を依頼された弁護士・司法書士は、各債権者に「受任通知」を発送します。受任通知は債務者から自己破産の依頼を受けたことを債権者に知らせる通知になります。

この通知を受け取った債権者は、これ以降債務者に返済を求めることができなくなるので、自己破産の手続きを開始すると取り立ての電話、ハガキ、メールなどがピタッと止まるのです。

破産手続きを開始すると強制執行ができなくなる

債権者への返済が大幅に遅れてしまうと、裁判所への申し立てが行われて給料が差し押さえになるなどの強制執行に進んでしまうことが実際にあります。

破産手続きを開始した後はこの強制執行ができなくなるため、債権者による差し押さえが行われるリスクがなくなります。

自己破産のデメリット

自己破産は法律に基づいた救済措置になりますが、債権者からするとそれこそ法律に基づいてきちんと貸したお金を踏み倒される形になるので、債務者もそれなりのペナルティを背負うことになります。

自己破産すると一定以上の財産は処分される

持ち家、車、20万円を超える財産、99万円を超える現金などはすべて処分の対象になります。処分されたものはお金に変えて、各債権者に分配されることになります。

自己破産で借金を帳消しにする代わりに、払える分だけでも払いましょうということですね。

自己破産すると「官報」に記載される

官報とは国が発行している新聞のようなもので、国の政策の周知、法律の改正、各省庁の人事異動などが掲載されています。

債務整理においては個人再生と自己破産を行うと、その情報が官報に記載されることになります。

官報に記載されるタイミングは?

自己破産によって官報に記載されるタイミングは、破産手続開始決定時と免責許可決定時の2回です。

官報に記載される内容は?

氏名、住所、決定の日付、自己破産をする理由など、裁判所名など

官報にはインターネット版があり直近30日分は誰でも閲覧することができますので、実際にチェックしてみると良いでしょう。

<参考>:インターネット版官報

自己破産の情報は、「本誌」 → 「裁判所」 → 「相続、公示催告、失踪、破産、免責、特別清算、再生関係」に記載されています。

氏名と住所が載ってしまうのが大きなリスクになりますが、官報はその存在を知らないという人の方が多く、一般の人が隅々まで読み込むようなことはあまりないので、知人や会社の人が官報から自己破産をしたことを知ってしまう可能性はとても低いと思います。

ただし、公務員、法律関係の仕事の人、金融機関は仕事柄チェックしている可能性があります。

また、お金に困っている人に高利で融資を行うことを目的として、闇金などもチェックしていることがあるようです。

自己破産するとブラックリストに

これは自己破産だけでなく、4つの債務整理全てに当てはまることなのですが、債務整理を行うと信用情報に事故情報として記載され、一定期間ブラックリストとなってしまいます。

ブラックリストの間は、ローン審査やクレジットカード審査に通らないので、これらを利用することが一切できなくなります。

今お持ちのクレジットカードも解約されてしまうので、生活に不便が生じることもあるでしょう。

ブラックリスト期間は、「5年~10年」です。

なぜこんなに幅があるのかというと、日本に3社ある信用情報機関によって登録機関が異なるからなんです。

▼信用情報機関と登録期間

信用情報機関 自己破産の登録期間
JICC 5年
CIC 5年
全銀協 10年

 

全銀協だけが10年となっていますね。全銀協は銀行が加盟する信用情報機関なので、登録内容が厳しいと考えることができます。

ちなみに全銀協では、「官報に記載された破産・民事再生が、開始決定日から10年を超えない期間」で掲載されることになりますので、個人再生をした場合も10年間ブラックリストということになります。

就けない職業がある(職業制限)

自己破産の手続きが開始されてから免責許可が確定するまでの間は、次のような職業に就くことはできません。

・弁護士、税理士、司法書士、公認会計士、行政書士などの「士業」
・生命保険の外交員
・警備員
・宅地建物取引主任者
・古物商、質屋
など

例えば現在警備会社に勤めていて自己破産を行う場合は免責許可が決定するまでは警備の仕事を離れなければなりませんし、自己破産をすることが会社に知られることになります。

自己破産すると保証人に迷惑がかかる

連帯保証人は主債務者が返済不能に陥ったときに代わりに返済をする人になります。

連帯保証人がついている借り入れを自己破産すると自分の借金は免責となりますが、連帯保証人が返済を求められることになります。

相手との関係にも影響しますし、経済状況を著しく悪化させてしまうでしょう。

自己破産後の生活はどうなるの?

自己破産をしてしまうと人生が終わってしまうかのような強いネガティブなイメージを持っている人もいると思いますが、全くそんなことはありません。

むしろ自己破産は、生活を再建するためのとても前向きな手続きと言えます。

ここでは、自己破産後の生活後におこること・おこらないことを正確に解説します。

借金の支払いが全て免除

消費者金融、銀行カードローン、クレジットカードのなど借り入れ先は人それぞれ違いますが、自己破産を行うと全ての借金の支払いが免除されます。

ただし返済義務がなくならない借金もある

自己破産は借金の返済を免除してもらうための手続きですが、免責許可が出ても支払い義務がなくならないものもあります。

例えば税金です。

自己破産をしても税金の支払いが免除となることはありません。支払わないとどんどん延滞金が増えてしまいます。

税金はあまり厳しい取り立てが行われないことからつい支払いを後回しにしがちですが、自己破産でも免責にならない種類の支払いになるので、支払い期限を迎える前に自治体の窓口に相談して猶予を設けてもらうか、優先して支払っておく必要があります。

養育費も免責の対象にはなりません。

養育費は自分の子供の扶養義務があることから支払わなければならない費用です。

離婚してから自己破産をするとしても親子関係がなくなるわけではないので、養育費の支払い義務は継続します。

他にも、離婚した相手への慰謝料なども免責の対象外となっています。

一定以上の財産が差し押さえ・処分されます

自己破産では、一定額以上の財産は処分の対象となり売却して債権者に分配されることになります。

処分される主な財産はこちら。

・住宅、土地などの不動産
・20万円以上の価値がある財産
・99万円を超える現金

住宅、土地などの不動産

自己破産に関するネットの噂の中には信憑性が全くないものもあるのですが、「自己破産をすると持ち家がなくなる」というのは本当のことです。

住宅ローンの返済中であっても完済済みであっても、自分の持ち家は売却されてしまうため、引越しを余儀なくされてしまいます。

引越しによってお子さんの転校が必要になるなどの懸念も考えられます。

なお、土地・建物などの不動産は自己破産を行う本人名義のものだけが処分の対象となります。

例えば、自己破産を申し立てるのが夫で、所有しているマンションの名義は妻である場合は不動産の差し押さえはありません。

20万円以上の価値がある財産

ここで言う「財産」には様々なものが含まれます。

わかりやすいのは車、宝石、貴金属などでしょう。他にも腕時計、絵画、大型テレビ・パソコン・ゲームなどの家電製品、ピアノ・ギターなどの楽器類、スノボーなど趣味性の強いものも含まれます。

現金に換算して20万円を超える価値があると判断されたら、差し押さえになると思っておきましょう。

99万円を超える現金

99万円を超える現金がある場合は、その超えている分だけは処分されてしまいます。

生活に必要な現金・財産は残すことができる

自己破産をしても、何もかもを持って行かれてしまうということはありません。
まず、住んでいる家が持ち家ではなく賃貸物件の場合は、住まいに影響はないのでそのまま住み続けることができます。

また、財産・現金に関しても以下のものは残すことができます。

・生活必需品となる家具、家電製品など
・20万円以下の預貯金
・99万円以下の現金

生活必需品となる家具、家電製品など

実際に何が処分されてしまうのかはケースバイケースとなり必ず手元に置いておけるとは言い切れないのですが、例えばパソコンが2台ある場合、1台は処分される可能性がありますがもう1台は残せることが多いようです。

また、ベッドや電子レンジなどの現代の生活に欠かせない家電製品も残すことが可能です。

車がないと通勤ができないような場合は、車も処分の対象から外されます。ただし、所有している車が高級車である場合などは処分となるケースもあります。

20万円以下の預貯金

銀行口座に入れている預貯金は20万円を超えない分はそのまま残すことができます。
20万円を超える部分は処分となります。

99万円以下の現金

自己破産の場合、預貯金と現金は別のものとして扱われます。手持ちの現金は99万円を超えない部分は処分の対象とはなりませんので残すことができます。

自己破産の種類について

自己破産には、
・同時廃止
・管財事件
・少額管財

の3種類の方法があります。

どの方法で自己破産の手続きを進めるのかは所有財産などによって決まるため、自分で選択することはできません。

同時廃止:財産がない場合の方法

同時廃止は、持ち家がなく財産と言えるようなものが少ない時に適用される方法です。

申立人に明らかに財産がないことがわかっている場合は、破産管財人の選任も必要なくなります。

破産手続きの開始決定と同時に破産手続きも終了(廃止)となり、免責が認められるのが同時廃止です。

同時廃止になると破産管財人の選定もないため費用負担が大幅に軽減されて、申立と同時に破産手続きが終了となるので必要な期間も短くなります。

ややおかしな言い方になりますが、自己破産をするならこの同時廃止が利用できればもっとも負担が少なくなります。

▼同時廃止となるケース
・免責について何も問題がない場合
・処分の必要がある高価な財産がない場合

管財事件:財産が多い場合の方法

自己破産の通常の形式が、この管財事件になります。

管財事件では、裁判所から破産管財人が選任されて、財産の調査・換金処分が行われます。
換金された財産は債権者に配当されることになります。

▼管財事件となるケース
・処分する財産が多い
・免責不許可事由の調査が必要な場合

少額管財:予納金が少ない方法

少額管財は管財事件のひとつで、手続きをできるだけ簡略化して破産管財人の負担を軽減することで、裁判所に納める予納金も少なくできる手続きです。

個人の自己破産で管財事件になる場合は、こちらの少額管財になるのが一般的です。ただし、お住いの地域によっては、この少額管財を利用できないこともあります。

どの自己破産の方法が一般的なの?

自己破産のパターンは本当に人それぞれなのであくまでも目安ですが、個人で自己破産を行う場合に多額の財産があるというケースは稀です。

持ち家がある場合は自己破産ではなく個人再生(自宅を残せる方法があります)という選択肢があるので、個人で自己破産を行う多くのケースで同時廃止となるようです。

ただし、申立人が個人事業主であったり、中小企業の代表などの場合は、処分する財産が発生しますので少額管財として扱われることもあります。

自分のケースだとどうなるのかは、弁護士・司法書士に相談すればハッキリと分かります。

自己破産の「免責不許可事由」について

自己破産をしても、税金・養育費・慰謝料などの支払いは免責とならないことをお伝えしましたが、他にも「免責不許可事由」に該当する借金は免除とならないことがあります。

免責不許可事由は法律によって規定されていて、自己破産を初めて行う場合は主に以下のようなものが該当すると思っておいてください。

財産を隠した・不当に売却した場合

本来であれば債権者への配当に回されるはずの財産を隠したり、債権者に損害を与える意図で不当な価格で安く売却するなどの行為がこれに当たります。

隠そうとする意図はなくても、例えば生命保険の解約返戻金があることをうっかり忘れていた場合なども該当しますので要注意です。

破産手続きの開始を遅らせるために不当にお金を借りたり、換金した場合

ちょっとややこしいので、ひとつずつ見ていきましょう。

「不当にお金を借りる」の部分は、破産法では「著しく不利益な条件で債務を負担」と表現されます。

これは簡単に言うと闇金などの法外な高利貸しからお金を借りることになります。闇金から借りた分は免責不許可事由に該当することがあるということなので借りないようにしましょう。

続いて「換金」の部分は「信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分」となっています。

例えば、Aさんがクレジットカードを使って、10万円分のビール券を購入して、すぐに5万円で売却したとします。

Aさんは手持ちの現金を一切使わずに5万円を手に入れたことになりますが、自己破産によって免責が決定されるとクレジットカード会社は返済を求めることができずに一方的に損をすることになり不公平です。

こういった流れを阻止するために設けられている免責不許可事由と考えられます。

「破産手続きの開始を遅らせるために」に関しては文章の通りです。不当にお金を借りたり、不当に換金をしてしまうと破産手続きの開始を遅らせる目的があったのか?と疑われてしまうことになります。

特定の債権者にだけ支払ったり担保をつけた場合

自己破産は債権者を選択して免責としてもらうことはできないので、全ての借り入れ先が対象となります。

そのため、特定の債権者に利益を与えること、逆に損害を与えることを目的として支払いをしたり担保を設定することは免責不許可事由に該当することがあります。

浪費や賭博

破産法では「浪費又は賭博その他の射幸行為」も免責不許可事由になるとされています。客観的に見たときに明らかな無駄遣い、ギャンブルなどがこれに該当します。

他にも、収入に見合っていない高級車や絵画などを購入することも浪費とみなされます。

最も気をつけたいのが「賭博その他の射幸行為」に関する部分です。

パチンコ、競馬、競輪、競艇などはわかりやすい賭博ですが、その他の射幸行為には株取引、先物取引、FXなども該当するんです。

近年は副業感覚で株取引を始める人も増えているのですが、株やFXの損害は自己破産でも免責とすることはできないのです。

支払不能であることを隠したり嘘をついて信用取引を行なった場合

自分が支払不能状態であることを隠して、破産手続きを開始する1年前から開始決定までの間にローンを組んだ場合などがこれに該当します。

どう考えても全額支払うことはできない状態なのに、嘘をついて給料を多く申告してローンを組んで家電製品を購入した場合は免責不許可事由に該当してしまいます。

書類の偽造・捏造

財産を隠すために財産目録に嘘の記述をしたり、書き換えるような行為は免責不許可事由となります。

また、債権者に迷惑をかけるような意図を持って、あえて一覧に掲載しなかったり架空の債権者を捏造して載せるような行為もいけません。

裁判所の調査を拒む、嘘をつく行為。管財人などの職務を妨害した

これは文字通りです。破産申立を行うと、裁判所からの調査や管財人からの聞き取りが行われます。

これに協力的ではなかったり、嘘をつく、業務を妨害するような行為は全て免責不許可事由になります。

免責許可を出すのは裁判所なので、これらは自分にとっても不利益となる行為とも言えますね。

自己破産にかかる費用は?

自己破産は弁護士・司法書士に依頼して手続きを進めることになります。

また、裁判所へ支払う費用もあり、これらは全て申立人が負担することになります。

▼費用の目安

裁判所費用 弁護士費用 合計
同時廃止 1万円~3万円 17万円~30万円 30万円~
管財事件 50万円~ 30万円~80万円 80万円~
少額管財 20万円~ 30万円~50万円 50万円~

 

これらは、自己破産を弁護士に依頼した場合の費用となり、司法書士が設定している費用はもう少し少額になるのが一般的です。

自己破産にかかる費用は、弁護士・司法書士事務所がある程度自由に設定できるので、相場にも幅があります。

できるだけ自己破産の費用を安く抑えるためには、複数の事務所に相談して比較してみる必要があります。

自己破産の手続きの流れ

自己破産は債務者がひとりで行うのではなく、弁護士・司法書士に依頼して手続きを進めてもらうのが一般的です。

そのため、自己破産の最初の一歩は信頼できる弁護士・司法書士を見つけることになります。

ステップ1:弁護士・司法書士に相談する

気になる弁護士・司法書士の事務所に来所して、借金の内容や家計の収支、自分の希望などを相談します。

費用の案内もありますので、不明点はなんでも聞いて確認してください。

この借金問題の相談は非常に多くの事務所が無料で引き受けてくれています。専門家からのアドバイスが無料でもらえる機会なので、気軽に問い合わせてみると良いでしょう。

ステップ2:契約・受任通知の発送

自己破産を依頼することを決めたら契約を結びます。契約が完了したら速やかに受任通知が送られます。

この時点から債権者からの取り立てが止まり、返済もストップできるので、経済的な余裕も生まれてきます。

ステップ3:書類の作成(約3ヶ月間)

裁判所に提出する書類を作成します。
実際の作成作業は弁護士・司法書士が行うことになります。あなたは書類作成に必要な書類(源泉徴収票や戸籍謄本など)を用意することになります。

必要書類と取得方法は弁護士・司法書士から丁寧に案内がありますのでご安心ください。

ステップ4:裁判所に破産申立手続きを行う(書類が揃ったらすぐ)

必要書類が揃ったら、裁判所に破産申立て手続きを行います。提出先は、あなたが住んでいる地域の裁判所になります。

ステップ5:裁判所での面接(約2週間後)

破産申立を行なってから約2週間後に裁判官と面接を行います。この面接は「破産の審尋(しんじん)」と呼ばれています。

面接では借金の金額、資産の状況、返済ができなくなった経緯などを説明することになります。(東京地方裁判所で少額管財となった場合は、手続きが異なります)

弁護士に自己破産を依頼している場合は弁護士も同席できます。

ステップ6:破産手続き開始

破産手続きが開始されますが、この後の流れは、同時廃止と少額管財で変わってきます。

同時廃止の場合

破産手続き開始と同時に手続き終了となるため、管財人の選任がありません。同時廃止決定の日に免責審尋の日取りを決めます。ステップ7に進みましょう。

少額管財の場合

破産手続き開始と同時に破産管財人が選任されます。
それから1~2週間で管財人面接が行われ、借金の内容や理由の再確認や、財産の内容や借金の収支についての調査が行われます。ここでも弁護士は同席可能です。

破産管財人によって財産の処分が行われます。財産の種類や数によって期間は大きく変わりますが3ヶ月程度かかると思っておきましょう。

その後、債権者にも意見を聞く債権者集会が行われます。
弁護士の同席も可能なのですが、非常に多くの場合で債権者は出席せず形式的に行われるのが一般的で、問題がなければ5分程度で終了します。
債権者集会が何事もなく終了すると、すぐに免責審尋が実施されます。

ステップ7:免責審尋

裁判官と面談を行なって借金の免責を行うかどうかの確認がなされます。少額管財の場合は破産管財人が免責についての意見を言います。

ステップ8:免責許可

免責審尋から1週間程度で免責許可決定が出されて、借金返済が免除となります。

ただし、この時点ではまだ確定しておらず、免責許可決定日から約1ヶ月で免責許可決定が確定となります。

弁護士・司法書士への依頼から免責許可となるまでの期間は、同時廃止では約6ヶ月~、少額管財では6ヶ月~1年間程度となります。

自己破産の必要書類

自己破産は借金を全て免除する手続きなので、必要書類も多岐に渡ります。

数は多いですが難しいものはありませんので、ひとつずつ取得していけばそう時間をかけずに揃えることができるでしょう。

・破産手続開始及び免責申立書
・債権者一覧表
・資産目録
・陳述書
・家計状況
・住民票
・戸籍謄本
・給与明細書(写し)
・源泉徴収票(写し)
・市民税・県民税課税証明書
・預金通帳(写し)

【以下、該当するものを用意します】
・賃貸契約書(写し)…賃貸契約の場合
・不動産登記簿謄本…不動産をお持ちの場合
・退職金を証明する書面…退職金がある場合
・車検証(写し)…車、バイクをお持ちの場合
・自動車の査定書…車、バイクをお持ちの場合
・保険証券(写し)…生命保険等に加入している場合
・保険解約返戻金証明書…生命保険等に加入している場合
・年金等の受給証明書(写し)…年金受給者の場合

自己破産のよくある質問

最後に、自己破産に関わるよくある質問や、ネットでささやかれている誤解をQ&Aでまとめます。

自己破産すると選挙権がなくなるって本当?

自己破産をすると選挙権がなくなると聞いたことはありませんか?これは間違った情報になります。自己破産して選挙権がなくなるなんてことは一切ありません。

自己破産すると住民票・戸籍に記載されるって本当?

自己破産をしたことが住民票や戸籍に記載されることもありません。ですので、住民票や戸籍から自己破産の事実が知られることはありませんのでご安心ください。

自己破産すると賃貸物件の契約ができなくなるって本当?

これに関しては、一定の条件の場合に契約できなくなることがあると言えます。

自己破産をすると、信用情報機関に登録されてブラックリストとなってしまいます。

ブラックリストの間はクレジットカードやローンなどの審査に通過することはできません。

賃貸物件を借りるときには、これまでは親や親族に保証人になってもらうのが一般的でしたが、近年は保証人の代わりに保証会社を利用するケースも増えています。

保証会社は審査の際に信用情報機関に照会をかけて、利用者が金銭的なトラブルを起こしていないかを確認します。このときにブラックリストであることが必ず発覚するので、審査に通過できないため、保証会社が必須となる物件には住めないということになります。

従来通りの保証人を求めるタイプであれば問題なく借りることができますし、自己破産をしたからといって現在のお住まいから退去を求められるようなこともありません。

自己破産によって家族への影響はどれくらいあるの?

ブラックリスト、職業制限、差し押さえなどは本人のみが背負うペナルティになりますので、例えば夫が自己破産をする場合でも妻の財産はそのまま残すことができます。

ただし自己破産では、持ち家、車などの財産は処分の対象となりますので、家族と一緒に住んでいる場合は、家族も引っ越しを余儀なくされて生活環境が変わってしまうことになるでしょう。

また、夫の借り入れの連帯保証人が妻である場合は、夫が免責となった後は連帯保証人である妻に返済義務が移ります。

この場合は一括返済を求められることがほとんどなので(分割払いの相談は可能です)、支払いができなければ妻も自己破産を選択せざるを得ないこともあるでしょう。

子供に関しては不利益を被ることはありません。就職や結婚に親の自己破産が影響することもありません。

ただし、ブラックリストの間は保証人になることができないので、自己破産をした本人が子供の奨学金の保証人になることはできません。

また、20万円を超える財産は処分されるため、子供のための学資保険の解約返戻金が20万円を超える場合は解約することになります。

会社から給料を前借りしている場合はどうなるの?

自己破産では特定の債権者を除いて手続きを行うことはできません。この場合は会社も債権者となるため裁判所へ申告する必要があり、会社に知られずに自己破産をすることはできません。

ここで気をつけたいのは、会社に知られたくないからといって勤務先だけに返済をしてしまうと免責不許可事由に該当してしまう可能性があることです。

会社からの借り入れがあることも、弁護士・司法書士にかならず相談してください。

自己破産手続きを依頼するなら司法書士と弁護士はどっちがいいの?

自己破産において弁護士・司法書士の違いは大きく2つあります。

1.代理人になれるか?

弁護士は自己破産を申し立てる「本人の代理人」として手続きを進めることができるので、裁判官との面談(審尋)、管財人面接、債権者集会に同席することができます。

債務者は不安でいっぱいだと思いますので、心強い存在になることは間違いありません。

司法書士も自己破産案件を引き受けることはできるのですが、本人の代理人ではなく「書類作成代理人」となるため同席はできません。裁判所へもひとりで行くことになるでしょう。

2. 費用

司法書士は代理人になることができず書類作成などのサポートが業務の対象となるため、弁護士と比較すると費用が抑えられているのが一般的です。

どちらが優れているとは一概に言いにくいのですが、相談したい司法書士事務所がある場合は、この点についてしっかりと確認することをおすすめします。

自己破産手続きの費用が心配なのですが?

借金問題を解決する手続きとはいえ、もっとも費用がかからない同時廃止でも30万円程度の費用(もっと抑えられることもあります)がかかってしまうので、決して安くはありません。

費用に関しては、非常に多くの弁護士・司法書士事務所が分割払いに対応していて、無理のない支払い方法を提案してもらえます。

また法テラスの法律扶助を利用すれば、費用を全額立て替えてもらうことができます。

立て替え制度を利用するには一定の条件をクリアする必要がありますが、生活保護を受給している人であれば返還免除(返済の義務が免除されます)となることもあります。

自己破産しないほうが良いこともあるの?

債務者にとっては借金を帳消しにできる手段ですが、債権者からすると本来ならきちんと返してもらえるはずのお金が元金すら返ってこなくなるわけなので、簡単に自己破産されたら困ってしまうことになります。

また、自己破産は債務者にとってももっともペナルティが大きい方法になります。

生活再建に向けて前向きな一歩を踏み出せる手続きであることは間違いありませんが、総合的に考えると自己破産は4つの債務整理方法の中でも最後の手段と判断できます。

弁護士・司法書士に相談することで、あなたにとって最適な債務整理方法を提案してもらえますので、なるべく早い段階で相談してみると良いでしょう。


 

「債務整理」と「闇金対応」が得意なおすすめの専門家をご案内していますで、以下のボタンからランキングをご覧ください(※すべて全国対応)。

 

この記事の監修者

この記事の監修者 この記事の監修者は、株式会社タンタカの代表取締役「丹野貴浩(⇒プロフィールはこちら)」で、簿記1級の資格を持ち、10年以上、クレジットカードやローンなど金融系のWEBメディアを運営・管理している実績があります。
   

PAGETOP