債務整理を行政書士に相談できる? 資格は?
債務整理を検討するにあたり、「誰」に相談・依頼をするのかという点は非常に重要です。
テレビやラジオのコマーシャルで、弁護士事務所(法律事務所)や司法書士事務所には相談可能ということをご存知の方は多いと思いますが、では、行政書士に債務整理(自己破産や任意整理など)の相談をすることはできるのでしょうか?費用が安いってネットに載ってたけど行政書士の資格で債務整理を行ってよいのでしょうか?
行政書士の資格では債務整理を行えません
債務整理は債権者と交渉をしたり、裁判所に申立を行うことで借金を減額・免責としてもらう手続きです。
結論から申し上げますと、これらの債務整理手続きを行政書士が行うことはできません。
債務整理で弁護士・司法書士などの専門家が行うことは、債務者の代理人になって債権者と交渉をしたり、裁判所に提出する書類を作成する、裁判所に赴いて必要な手続きを行うなどですが、行政書士がこれらの業務を請け負うことはできないのです。
行政書士のお仕事とは?
そもそも行政書士がどんなお仕事をする人なのかというと、日本行政書士連合会は次のようにまとめています。
▼行政書士とは?
行政書士は、行政書士法(昭和26年2月22日法律第4号)に基づく国家資格者で、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成、行政不服申立て手続き代理等を行います。
行政書士は、個人や企業の依頼を受けて官公署に提出する書類を作成ことが主なお仕事になります。
債務整理はこの範囲に含まれないことから、行政書士が債務整理を行うことはできないのです。
ちなみに、税理士、社労士なども債務整理を行うことはできません。
全く制限を受けずに債務整理が行えるのは弁護士のみで、司法書士は1社あたりの債権が140万円以下の場合のみ手続きができることになっています。
⇒債務整理は【弁護士と司法書士】どちらに依頼する?違いは何?
弁護士・司法書士・行政書士の違い
弁護士・司法書士・行政書士の主な違いを見ていきましょう。
弁護士
弁護士は法律のエキスパートで、私たちが日々健やかかに生きるための自由、財産、健康に関する権利などを法律の専門家として守っています。
法律に関する業務の全てに携わることが可能で、法律問題が発生した場合のアドバイスはもちろん、訴訟を行なったり債務者の代理人として交渉をすることも可能です。
弁護士と債務整理
債務整理に関しては、任意整理・個人再生・自己破産の全ての手続きを借金の金額に関係なく引き受けることができます。
債務整理に関する手続きを全て引き受けてもらえるのは、唯一弁護士のみとなります。
司法書士
司法書士は専門的法律知識に基づいて、裁判所、法務局、検察庁などに提出する書類を作成するのが主な業務です。
司法書士も債務整理を受けることができるのですが、不動産登記や商業登記などの「登記」に関する専門家になります。
司法書士と債務整理
債務整理に関しては、2003年に司法書士に関する法律の改正が行われたことで示談交渉件・簡易裁判所代理権が認められ、認定司法書士に限って140万円までの債務整理手続きが行えることになりました。
1社あたりの債務が140万円を超えない任意整理なら問題なく引き受けてもらえるのですが、司法書士には行えない債務整理もありますので、確認しておきましょう。
債務が140万円を超えるとき
司法書士が関わることができるのは債権者ごとの借金の合計が140万円以下の場合に限られます。
1社あたりの借り入れ額が140万円を超えてしまうと司法書士が債権者と交渉をすることはできませんので、司法書士に依頼することはできません。
ただし、1社からの借り入れが140万円を超えなければ良いため、2社から合計190万円を借りているというケースでも、A社が100万円、B社が90万円などひとつの債権者からの借り入れ額が140万円を超えていなければ依頼可能です。
個人再生・自己破産は書類作成のみになります
個人再生・自己破産は裁判所に認可をもらう債務整理になるのですが、司法書士は書類作成代理人となり、債務者本人の代理人になることはできません。
個人再生・自己破産では、裁判所で裁判官との面談(審尋)が行われることがあるのですが、書類作成代理人である司法書士はこの場に同席することができません。
一方、弁護士は本人の代理人となることが可能なので、同席することが可能です。
弁護士と比較すると制限があることになりますが、その分、債務整理費用の相場は弁護士よりも司法書士の方が安くなっている傾向にあります。
行政書士
行政書士は許認可を受けるために官公署に提出する書類を作成するエキスパートになります。
例えば、会社を設立したり、建設許可を得る際には非常に複雑な必要書類を作成して国や地方公共団体に提出しなければならないのですが、これらの手続きは行政書士が行います。
行政書士と債務整理
行政書士に債務整理を依頼することはできません。
そのため、債務整理をはじめとした借金問題を行政書士に相談するメリットはありませんが、相談することは可能です。
例えば、任意整理では債権者からこれまでの取引履歴を取り寄せて債務を確定して、無理なく返済ができるような和解案を作成して交渉するという手続きが必要になります。
この工程のうち、自分で考えた和解案を書類にする部分を行政書士に行ってもらうなど手続きの一部を代行してもらうことはできます。
しかし、そもそも和解案の作成には法律が絡んできますし、お金を借りている本人が債権者に和解交渉を申し入れても大きな減額には期待できないでしょう。
行政書士は「受任通知」の送付もできません
行政書士は「受任通知」を送ることもできません。
受任通知は債務整理を依頼されたことを債権者に知らせる通知で、通常は債務整理の依頼を受けた弁護士・司法書士がすぐに発送してくれます。
受任通知を受け取った債権者は、それ以降取り立てを行うことができなくなりますので、電話や郵送での催促がピタッと止まります。
また、受任通知送付後は債務整理が終了するまで返済が一時的にストップされますので、経済的にも余裕が生まれることになります。
行政書士は受任通知を送ることができないため、債務整理の手続きを始めても取り立てが続きますし返済も継続して行わなければいけません。
行政書士は債務整理とは違う分野では活躍していますが、借金問題を最も良い方法で解決できる専門家ではないということになります。
ネットで「債務整理を行政書士に依頼したら費用が安い」って見かけたけど?
ネットの情報で、
「債務整理を行政書士に依頼した体験談」
「債務整理は行政書士に依頼すると安い」
などの情報を見かけたことがある人もいると思いますが、どのようなケースでも債務整理の手続きそのものを行政書士に依頼することはできません。
債務整理を業務として受けることができるのは、弁護士と司法書士のみなので、おそらく司法書士と行政書士を勘違いしているのではないかと思います。
費用に関しては、一般的な相場でいうと弁護士よりも司法書士に依頼した方が安い傾向にあります。
一般的なイメージで「弁護士の方が安心」と思われる人もいるかもしれませんが、「140万円以下の任意整理」であれば弁護士も司法書士も業務内容は変わらないため、費用を重視するなら司法書士に依頼するのが希望に合っていることになります。
債務整理に関する弁護士・司法書士・行政書士のまとめ
債務整理において、弁護士・司法書士・行政書士の違いをまとめると次のようになります。
弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | |
任意整理 | 代理人になれる | 1債権者あたり140万円以内に限り代理人になれる | 依頼不可 |
個人再生 | 代理人になれる | 書類作成代理人 | 依頼不可 |
自己破産 | 代理人になれる | 書類作成代理人 | 依頼不可 |
行政書士が業務として債務整理を引き受けることはできませんので、はじめから債務整理に強い弁護士か司法書士に相談することを強くおすすめいたします。
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