債務整理すると生命保険は解約になる?解解約返戻金は?再加入もダメ?

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債務整理をしたからといって、生命保険を必ず解約しなければいけないということはありませんが、生命保険の種類と債務整理の種類によっては解約せざるを得ないこともあります。

そもそもなぜ生命保険と債務整理が関係してくるのかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

債務整理と生命保険の関係・影響について解説いたします。


もくじ

生命保険には「掛け捨て型」「積立型」があります

生命保険には「掛け捨て型」と「積立型」があります。

掛け捨て型の生命保険は、保障のみを目的としているため掛け金も少額です。

積立型は生命保険と貯蓄の両方を兼ね備えた保険です。

掛け捨て型と比較すると保険料は割高になりますが、貯蓄型であることから、将来、お金を受け取ることができる安心があります。

生命保険が「掛け捨て型」であれば解約する必要なし

加入している生命保険が掛け捨て型であれば、債務整理をしても解約する必要はありません。債務整理後も掛け金の支払いに問題がなければ、継続して加入し続けることができます。

生命保険が「積立型」であれば解約の可能性が

積立型の生命保険に加入している人が債務整理をすると、その生命保険は解約しなければならない可能性が出てきます。

積立型は掛け捨て型と比較すると毎月の掛け金も多くなっていますが、これは積立型の生命保険が貯蓄を兼ねているためです。

積立型の生命保険を解約すると「解約返戻金」というお金が戻ってくるのですが、この解約返戻金は自分が貯めたお金とみなされます。

こういった性質から積立型の生命保険は財産として扱われるため、債務整理をすると解約が必要になることがあるのです。

解約の可能性が出てくる債務整理は「自己破産」

債務整理には「任意整理」・「特定調停」・「個人再生」・「自己破産」の4つの方法があります。

積立型の生命保険に加入していても解約の必要がないのは、任意整理と特定調停になります。

任意整理・特定調停には財産を処分しなければならないなどの規約がありませんので、積立型生命保険に加入していても解約する必要はありません。

個人再生では基本的に解約は不要ですが、注意しなければならないことがあります。

自己破産は生命保険の解約を求められる可能性が出てきます。

解約返戻金の金額が20万円を超える場合には生命保険を解約することになってしまいます。

解約返戻金が「合計20万円」を超えると解約

自己破産で差し押さえになる財産の種類は法律によって決められているのですが、預貯金については20万円を超えるものは差し押さえとなります。

解約返戻金がある生命保険も換金可能な財産となってしまうため、20万円を超える場合は強制解約ということになってしまいます。

つまり、債務整理によって生命保険の解約が求められるのは、以下の3つの条件が揃ったときということになります。

1.債務整理の種類が自己破産である
2.加入している保険が掛け捨て型ではなく積立型である
3.自己破産の申し立て時点で解約返戻金が20万円を超える見込みがある

解約返戻金が20万円を超えない場合は解約の必要なし

生命保険の解約返戻金が20万円以下の場合は「自由財産」とみなされることになります。

自由財産は自己破産をする人が手元に残すことができる財産でで、以下のようなものが含まれることになります。

1.新得財産
自己破産の開始決定後に得た財産

2.差押禁止財産
生活必需品など、生活や仕事に必要不可欠なものは差押禁止財産として扱われます。

3.99万円を超えない現金
99万円以下の現金は自由財産になります。(預金は除きます)

4.自由財産拡張が認められた財産
本来は自由財産に含まれていなくても、裁判所から生活に必要と認められた財産は手元に残すことができます。

5.破産管財人が破産財団から放棄した財産
そもそも処分することが困難な財産であったり、処分費用が高額な場合などは破産財団が処分を放棄することがあります。
この破産財団から放棄された財産も自由財産として扱われることとなります。

解約返戻金は合計で計算します

複数の生命保険に加入している人もいますが、解約返戻金は合計で計算されることになります。

まず、1社でも解約返戻金が20万円を超える見込みがあったら解約を求められることになります。

では、A社で3万円・B社で5万円・C社で15万円で、合計20万円を超える解約返戻金がある場合はどうでしょうか。

この場合は、各社の解約返戻金は20万円を超えていませんが合計で20万円になるため、やはり解約が必要ということになります。

戻ってきた解約返戻金はどうなるの?

生命保険を解約するわけなので、保険会社は解約返戻金の支払いを行うことになります。

この戻ってきた解約返戻金は、債権者に配当を行うことになりますので破産者が受け取ることはできません。

個人再生と生命保険の解約返戻金について

個人再生は、借金を5分の1~10分の1に圧縮する債務整理になります。

個人再生には借入額に応じて最低限返済をしなければならない最低弁済額が決まっていて、再生計画が認められたら、今後は基本的には最低弁済額の支払いだけを継続していくことになります。

▼個人再生の最低弁済額

借金総額 最低弁済額
100万円未満 全額
100万円~500万円未満 100万円
500万円~1,500万円未満 借金総額の5分の1
1,500万円~3,000万円未満 300万円
3,000万円~5,000万円未満 借金総額の10分の1

 

例えば借金が500万円の場合は100万円まで圧縮されることになるため、自己破産に続く非常に効果の大きい債務整理方法になります。

個人再生には財産の処分がありません

自己破産は借金を全て免責にできる手続きですが、債務者も一定額以上の財産や持ち家は処分・換金されて、債権者に配当されることになります。

全額免責となる代わりに、ペナルティも受けることになるんです。

一方、個人再生には財産の処分がありません。

持ち家も財産も残したまま借金だけを大きく減額することができるのです。

しかし、これではあまりにも債務者が有利になってしまいます。

債権者は法律に基づいて正式に融資を行っていて、本来であれば利息を含めて全額返済してもらえるはずのお金が元金すら返済されないことになってしまうため、これでは債権者は誰も個人再生に納得することはできません。

そこで個人再生では、財産の処分がない代わりに「清算価値保証の原則」を設けています。

個人再生には「清算価値保証の原則」がある

清算価値保証の原則は、個人再生をする人は現在所有している財産以上の返済は必ず行わなければならないというルールです。

例えば、借金が500万円で財産が何もない人が個人再生を行なった場合、借金は最低弁済額の100万円まで圧縮されます。

同じく借金が500万円でも、生命保険の解約返戻金が100万円あるとどうなるのかというと、最低弁済額の100万円に、清算価値保証の原則として解約返戻金(財産)の100万円が追加され、合計200万円の返済が必要になるのです。

個人再生では解約返戻金があることで返済額が大きくなる

少なくとも個人再生では生命保険の解約は不要です。

しかし、解約返戻金が多いと清算価値保証の原則によって返済しなければならない金額が多くなってしまいます。

大きな解約返戻金があることで今後の返済が苦しくなったり、生命保険の支払いそのものが苦しくなってしまうような場合は、解約して解約返戻金を受け取って清算価値を下げるという方法もあります。

自己破産で生命保険の解約を避ける方法はある?

自己破産を行う人が解約返戻金の見込み額が20万円を超える生命保険に加入している場合は、原則として解約を求められることになります。

しかし、生命保険を解約するとなると保険としての意味合いが失われてしまい、もしもの時の生活ができないくらいダメージを負う可能性もありますので、解約だけは避けたいというケースもあるでしょう。

どうしても生命保険の解約を避けたい場合は、以下のような方法を検討することが可能です。

「保険法の介入権制度」を利用する

ここまで注目してきたのは生命保険の解約返戻金についてですが、そもそも生命保険の本質は自分に万が一のことがあった時に、自分と家族が困ることがないように加入しておくという意味合いが強いものです。

しかし、若い頃に加入して継続してきた生命保険などは1度解約してしまうと同じ条件で加入することはできませんし、年齢や健康状態によってはそもそも再加入ができないこともあります。

いくら自己破産のためとはいえ、保険を解約してしまうと万が一の時に家族みんなの生活に不安を与えることになってしまいます。

こういった場合に被保険者を守るために2010年にできたのが「保険法の介入権制度」です。

保険法の介入権が適用されれば、被保険者側(破産する人の家族など)が解約返戻金相当の金額を支払うことによって、保険の契約はそのまま継続することができるのです。

20万円を超える分の解約返戻金相当額は支払うことになりますが、契約を解除する必要がなくなるので生命保険としての意味合いは残すことが可能となります。

「契約者貸付制度」でお金を借りておく

契約者貸付制度は、解約返戻金がある生命保険でお金を借りることができる仕組みです。

⇒生命保険 契約者貸付制度でお金借りる方法【解約返戻金があるので低金利】

借りられる金額は加入している生命保険によって異なりますが、解約返戻金の範囲内で借りることができます。

契約者貸付制度では、解約返戻金として返ってくるお金を前借りするようなイメージになり、借りている間に生命保険を解約すると解約返戻金そのものが減額されることになります。

自己破産において生命保険の解約が必要になるのは、解約返戻金が20万円を超えるケースなので、この契約者貸付制度であえてお金を借りて解約返戻金を20万円以下に抑えておけば、解約を求められることがなくなります。

ただし、なぜ契約者貸付制度を利用したのか、その理由は裁判所で必ず聞かれますので、きちんとした説明ができなければ逆に不利になってしまう可能性もあります。

自己判断で借りることはせず、必ず弁護士・司法書士に相談してください。

解約返戻金相当額の支払いを行う

繰り返しになりますが、自己破産において生命保険の解約が必要になるのは、解約返戻金が20万円を超える場合に財産として配当する必要があるためです。

ですので、細かくいうと解約返戻金に相当する金額を別途支払うことができれば、保険の契約そのものは継続しておいても良いということになるのです。

そこで、解約返戻金相当額を破産管財人に支払うことによって、保険契約そのものは継続させてもらう方法もあります。

「お金は払うから、契約は続けさせてほしい」と交渉をすることで、契約を維持させてもらうということですね。

考え方としては保険法の介入権制度と似ています。

裁判所に「自由財産の拡張」を認めてもらう

自己破産では20万円を超える財産は処分・換金の対象になるのですが、20万円を超えない分に関しては自由財産として残しておくことが可能です。

あくまでも裁判所の判断になりますが、解約返戻金の見込み額が20万円を超える場合でも自由財産の拡張が認められると生命保険の契約を維持できることもあります。

▼いずれの方法も自己判断は禁物です

上記でご紹介したように、自己破産せざるを得ない場合でも生命保険の解約を防げる方法はありますが、ご紹介したいずれも方法も、自己判断で行うことは避けてください。

場合によっては財産隠しを疑われてしまい破産手続きが認められないこともありますので、必ず弁護士等の専門家に相談してください。

債務整理でブラックリストになっても生命保険に再加入できる?

債務整理をすると信用情報に傷がつくブラックリストとなってしまいます。

これは自己破産以外でも同じで、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の全ての手続きで5~10年はブラックリストとなります。

ブラックリストの間はクレジットカード審査やローン審査には通らないことから、生命保険の契約もできなくなるのでは?と心配されることがありますが、ブラックリストと保険の審査には関わりはありません。

加入の際には職業・健康状態などの審査は行われるのですが、融資審査のように信用情報を調べることはありません。

万が一掛け金の支払いができなかった場合は契約を強制解除すれば良いだけの話なので、信用情報を調べることはないのです。

ただし、年齢や健康状態が理由で希望している生命保険に加入できなくなることは考えられますし、通常は年齢が上がるほど保険料も上がってしまいます。

自己破産において生命保険の解約が必要になるケース(まとめ)

債務整理の方法として自己破産を選択すると、生命保険の解約返戻金が20万円を超える場合は解約を求められてしまいます。

また、個人再生においても「清算価値保証の原則」によって、解約をした方が今後の返済がやりやすいこともあるでしょう。

ただしこれは何も策を講じなかった場合の話で、専門家に相談をすることで継続を維持できることもあります。

また、自分では「もう自己破産しか選択肢がない」と思っていても、専門家からのアドバイスによって、任意整理で解決できたり、別の解決方法が見つかることも珍しくないことです。

どの債務整理を選択する場合でも、早めに相談して自分にライフスタイルにあった解決方法を提案してもらいましょう。


 

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この記事の監修者

この記事の監修者 この記事の監修者は、株式会社タンタカの代表取締役「丹野貴浩(⇒プロフィールはこちら)」で、簿記1級の資格を持ち、10年以上、クレジットカードやローンなど金融系のWEBメディアを運営・管理している実績があります。
   

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