クレジットカードの審査と割賦販売法の関係

この記事では、クレジットカードの審査と割賦販売法の関係について、平成20年の改正に着目しながら解説していきます。

割賦販売法の改正によって、ショッピング枠の利用上限額が決められるということと、指定信用情報機関に個人信用情報が登録されるということの2点がクレジットカードの審査に関わる大事なポイントになります。


もくじ

割賦販売法とは

まずは、割賦販売法について簡単に解説します。

割賦販売法は、ざっくりといえば消費者が安心・安全にクレジットを利用できるようにするために定められた法律です。

割賦販売法は、平成20年と平成28年に改正が行われました。

平成28年の改正は、クレジットカードの不正利用を防ぐための内容が中心となっており、クレジットカードの審査に関わるような改正ではありませんでした。

しかし、平成20年の改正では、クレジットカードの審査に関わる内容が制定されています。

平成20年の改正で義務付けられた事柄がクレジットカードの審査に関わってくるのですが、まずは割賦販売法の対象となる範囲を明確にしておきましょう。

割賦販売法が適用されるのはショッピング枠

クレジットカードにはショッピング(信用販売)枠とキャッシング(消費者金融)枠があります。

クレジットカードを使ってものやサービスを購入するときに利用するのがショッピング枠です。

一方、キャッシング枠はクレジットカードを使って現金を借りるために利用します。

キャッシング枠には「貸金業法」という法律が適用されますが、ショッピング枠には「割賦販売法」が適用されます。

1回払いは割賦販売法の対象外

平成20年の割賦販売法の改正により、割賦販売法の対象となる取引の内容が変更されました。ちなみに、改正前も改正後も、ショッピング枠の利用であっても1回払いの場合は割賦販売法の対象にはなりません。

改正後の割賦販売法の対象になるショッピング枠のカード取引は、支払い期間が2ヶ月を超えるものです。

たとえば、2回払いや分割払い、ボーナス払い、リボルビング払いが割賦販売法の対象になります。

改正前は「2か月以上かつ3回払い以上」の分割払い取引が割賦販売法の対象でしたので、改正によって対象となる取引の幅が広くなったといえます。

支払可能見込額の調査が義務付けられる

割賦販売法の対象になる範囲がわかったところで、クレジットカードの審査に関わる改正内容の解説にはいっていきます。

まず、クレジットカードの過剰な利用によって生活が立ち行かなくなったり、多重債務に陥るのを防ぐために、クレジットカード会社は利用者の支払可能見込額を調査することが義務付けられました。

支払可能見込額とは?

利用者の年収から生活を維持するために必要な支出や債務などを引いたものです。

支払可能見込額は、利用者が1年間に無理なくクレジット代金として支払うことができる金額を想定したものとなっています。

支払可能見込額=年収-年間請求予定額-法律で定められた生活維持費

年収は、クレジットカード会社に自己申告したものです。

原則として収入証明書などは求められません。収入がない専業主婦や年金生活者は、配偶者や扶養者などの収入(世帯の収入)に基づいて計算します。

ただし、2親等以内で配偶者や扶養者が同意している場合に限ります。

年間請求予定額は、指定信用情報機関から得た情報をもとに1年間で支払う予定のあるクレジット金額のことをさします。

また、法律で定められた生活維持費とは、経済産業省令で決められたものであり、個々の生活費を計算したものではありません。法律で定められた生活維持費によって算出することで、利用者のプライバシーに立ち入る必要がなく、クレジットカード会社が調査をする必要もありません。

法律で定められた生活維持費

こちらの表に法律で定められた生活維持費をまとめました。

収入など生計を同一にする人の人数、持ち家か賃貸か、住宅ローンの有無といった条件によって算出されています。

また、生活維持費は地域ごとで異なります。お住いの地域によって、表の金額の85%~100%の範囲で変動します。

単位=万円

4人世帯以上 3人世帯 2人世帯 1人世帯
住宅所有
住宅ローン無し
200 169 136 90
住宅不所有
借賃支払い無し
200 169 136 90
住宅所有
住宅ローン有り
240 209 177 116
住宅不所有
借賃支払有り
240 209 177 116

引用:経済産業省

支払可能見込額によって利用可能枠が決まる

支払可能見込額によって利用可能枠が決まります。

「支払可能見込額=利用可能枠」ではありません。ショッピング枠の利用可能額は支払可能見込額に0.9を掛けた額が支払可能見込額になります。

利用可能見込額を調査するのは、利用可能な上限額を設けるためなのです。上限額を設けることで、使いすぎを防ぐことが目的です。

クレジットカード会社によっては、割賦販売法よりも厳しい独自基準で利用可能枠を設定することもあります。

ちなみに、割賦販売法によって決められる利用可能な上限額は、翌月1回払いの取引においては適用されません。

さきほども述べましたが、割賦販売法の対象になるのはあくまで支払い期間が2ヶ月以上に及ぶ利用分だからです。

2回払や分割払い、リボ払いなどの限度額が法律によってまっているだけであって、1回払いの限度額が制限されているわけではありません。

支払可能見込額が調査されるタイミングは?

支払可能見込額が調査されるのは次の3つのタイミングです。

1.クレジットカードの新規申込み時
2.クレジットカードの有効期限の更新時
3.クレジットカードの利用可能枠の増枠時

それぞれのタイミングで、「支払可能見込額×0.9(=利用可能枠)」を超える場合、クレジットカードを発行したり更新したり、増枠することはできません。

つまり、割賦販売法によって制限された利用可能枠を超えてしまうからという理由で審査時に利用可能枠が減ることもあるのです。

ただし、限度額が30万円以下のクレジットカードを発行する場合であれば簡易な審査で発行してもらうことができます。

過剰な債務や延滞などがなければ、細かく計算される可能性は低いです。また、更新の場合、債務残高が5万円未満であれば改めて審査をすることは義務付けられていません。

ちなみに、緊急の医療費、旅行や引越、冠婚葬祭といった使途が明確で一時的な目的のために、利用者が一定期間だけ限度額の増額を希望する場合は、審査なしで利用限度額を増額することができます。

ただし、使用の目的や使用場所をクレジットカード会社に伝える必要があります。

法律上は審査を義務付けられていなくても、クレジットカード会社は独自で定期的または不定期で個人信用情報をチェックしていることがあり、審査を実際におこなうかおこなわないかはクレジットカード会社の判断となります。

指定信用情報機関の利用が義務付けられる

平成20年の割賦販売法の改正により、支払可能見込額の調査が義務付けられたことは先ほど解説しました。

支払可能見込額を算出するためには、利用者が他社から借入れたり利用している割賦払いなどの債務を調査しなくてはなりません。

そこで、割賦販売法によって、クレジットカード会社が指定信用情報機関に加入し、個人信用情報を提供することが義務付けられました。

指定信用情報機関は、CIC、JICC、全銀協の3つがあり、ほとんどのクレジットカード会社はCICに加盟しています。

3つの指定信用情報機関は互いに情報を共有していますし、2つ以上の指定信用情報機関に加盟している会社もありますので、自分の信用情報がクレジットカード会社に照会されないということは、ローンや割賦払いなどを利用したことがある人であればありえません。

指定信用情報機関に登録される情報

氏名、住所、生年月日、電話番号、勤務先といった利用者本人に関する情報のほか、運転免許証の番号など本人確認書類の番号が登録されます。また、契約年月日やクレジット債務残高、年間支払見込額、支払の遅延の有無なども登録されます。

指定信用情報機関に延滞や他社からの過剰な債務の情報があると、審査に通りにくくなります。

クレジットカード審査と割賦販売法「まとめ」

割賦販売法は、クレジットカードの新規作成時や審査時、増枠時に関わってくる法律です。対象となっているのは、ショッピング枠を2ヶ月以上にわたる支払い方法で利用するぶんです。

法律によって利用可能枠が制限されてしまうのは少し窮屈な感じを受けるかもしれません。

しかし、割賦販売法が制定され改正された背景には、利用者が過剰に使いすぎるのを防ぎ、安心してクレジットカードを使うことができるようにするという目的があります。

割賦販売法によってある程度は過剰利用に制限をかけてくれますが、クレジットカードを使いすぎないように計画的に利用するのは本来であればクレジットカードを持っている本人の意思次第ではないでしょうか。

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